カルタゴ帝国奪還作戦 その10
可愛い顔したあの子は、、、、、300歳!?
これは究極のあの問題に似た内容であるのは言うまでもない。
1、300歳のロリフェイスの可愛いおにゃのこ
2、300歳ぐらいのお婆さんだが、実は10歳のおにゃのこ?
2は、日本が誇るアニメに出てくるソフィーさんみたいな状況ですかな。
わたしは喜んで、げふんげふん!!!
と言う事で、3分の1がこれで佳境です。
「なぁ・・・グリよ、この状況はどうなっている?」
「アニキ、それはこっちが聞きたいですよ」
「おい、レオ」
「わたしに振られても・・・」
英雄の弟子達は小声でボソボソ言葉を交わしていた。
「では、仲間が酒場で待っているので失礼します」
そう言うと、返事を待たずに歩き出すビッグフィッシュ。
「おい、待て!!!!」
「はいぃぃぃぃいい」
ナディアに呼び止められて背中を向けたまま固まるビッグフィッシュ。
「酒場の人間にライオンマスクの葬儀をやるから、村の広場に集まるように言っておけ」
「ナディア?」
ジャンはナディアの言葉を聞いて思わず顔を見る。
「村の為に命を掛けた英雄を送り出すのなら、村人全員で見送った方が良いだろ」
「そ、そうだな。そうだ、皆で見送ってほしい」
「よし、決まりだ。ビッグフィッシュ、ついでに酒場のマスターに食べ物、飲み物を全て広場に並べて
賑やかに送ってやろうと伝えてくれ。
金はオレが出す」
ナディアはそう言うと胸をポンッと叩いた。
「いやいや、金は俺たちが、だな・・・」
慌ててポケットの中のお金を出すジャン。
それを見て、グリフォン、レオもポケットの中の金を出す。
「賑やかには出来ないですよね、これだけだと・・・」
3人の手持ちを見て、グリフォンは呟いた。
「くくくっ、本当の大人の財力と言うのを見せてやろう!!!
あーはっはっはっはっ」
そう言うと両手を両腰において胸を張り、高笑いをするナディア。
英雄の弟子達と魔王の力を持つビッグフィッシュすらも
凍てつかせる恐怖の存在となりつつあった。
2時間後、ジャンが作った木の棺桶にライオンマスクの遺体を入れて
村の広場で村人全員で弔った。
場には、木のテーブルを数台並べた上に食べ物と飲み物が溢れ、皆が今日、目の前で起こった出来事を口にしながら
ライオンマスクの話をしていた。
ジャン達は、無言のまま棺桶に一番近いテーブルに座り、思い出したかのように食べ物を口に運ぶ。
「アニキ、本当にあの時、助けに入らなくて良かったのでしょうか・・・」
グリフォンは視線をテーブルの食べ物に落としながら呟いた。
「戦う意思を示したのは、師匠だ。本人の意思を尊重するのは当然だ」
「でも、あそこで止めていたら、今も師匠は!!!」
「わたしが思うに、その話は何も生み出さないでしょう。
グリフォンさんの気持ちは皆が持っているものなのでしょうから」
「!!!」
レオの言葉を聞いて、グリフォンはジャンの顔を見た。
そこには苦々しい表情を浮かべたジャンが同じようにテーブルの上の食べ物を見ていた。
何処からともなく笛の音色が聞こえてきた。
皆は思わず笛の主を探す。
「ナディア・・・か」
ジャンは横笛を吹くナディアを見つける。
その音色は悲しく、切なかった。
そして、気付く。
この音色は英雄を称えて送りだす為である事を。
皆は食べる事、飲む事をやめて、その音色に聞き入っていた。
その音色を聞いて、涙する者、必死に涙を流さないように堪える者。
無表情を貫く者、星空を見上げる者、その行動は様々だったが、
皆が英雄を思った。
「師匠、俺たちは師匠の生き様を受け継ぎ、弱い人々を助ける事を誓う!!
敵が魔物でも、神の使いだろうが、関係ない。
立ちふさがる厄災は、全て払いのけてみせる。
何よりも師匠を追い詰めた奴をこのままにしておくつもりはない。
必ず借りを返してやる。おまけ付きでな!!!!」
ジャンはそう言うと、踵を返してその場を去ろうとしたが、グリフォンとレオに止められる。
「アニキは向こう見ずな所があるので、僕がきちんと側についていますから安心してください、師匠」
グリフォンはそう言うとジャンの背中をバンバンと叩く。
「行動派の2人は、熱い魂がなければいけないのは口にする必要すらないでしょう。
このわたしは非戦闘員として、彼らを支えていく事にしましょう、ライオンマスク師匠」
レオはそう言うと深々と一礼をする。
ジャンは2人の言葉に感謝しつつ、ナディアの方を見る。
ナディアは横笛を吹き続けていた。
「ナディア、師匠の弔いの音色、ありがとうな。
そろそろ明るい音色で、かつ、賑やかなのを頼めるか?
師匠は賑やかなのが大好きだったから、そちらの方が喜ぶと思う」
「!?」
ジャンのリクエストにナディアは驚く。
「わかった、俺たちも参加する」
酒場にいた大柄のコックが椅子ぐらいの大きさの木箱を持ってくる。
「!!?」
ナディアは自分の横に座る大柄な男に驚くが、笛の音色は絶やさない。
コックが木箱を小刻みに叩き出すと、ナディアも音色を明るく、賑やかなモノに変えた。
それは仲間を見送るのと同時に、これからの旅路を祝福するような音色だった。
村人達は各々、音がなる道具を持ち寄って、演奏に参加し始めた。
仕舞いには、歌いだす女性すらも現れて、どんどん賑やかになっていく。
「コイツはいい葬式になったな、グリフォン」
「はい、師匠も好きだった明るい村の人達の姿が最後にもう一度見れて喜んでいると思います」
「いい村ですね、この村は守らないといけませんね」
英雄といわれた男の弟子達は同じタイミングで頷いた。
その日は夜通し宴が終わる事がなかった。
朝、村の墓地に英雄を埋葬した。
ほとんどの人達が自分の家に帰り、泥のように眠りについた時、
一部の男連中は、酒場に集まっていた。
理由は、【従属】についてだった。
【ところでお前らは、盗賊団に就くのか、就かないのか、どうするつもりだ】
酒場に座り込んで無言を貫いて、しばらくしてから村の男がその場にいた全員に問いかけた。
その場には、英雄の弟子達、ナタリー達もそれぞれ別れて、テーブルについていた。
【自由が一番だ。だけど、命を捨ててまで守りたいってわけじゃない】
【ふざけんな!!あいつらに従属を誓ったからといって、命が無事なわけじゃないだろう。
所詮は盗賊団だ。気に入らなければ誰でも殺すぞ】
【女は回され、下手すりゃ殺される。子供は奴隷にして金を儲ける】
【村を出てしまえば、いいじゃないか?】
【バカか、何処かの町に行っても、土地無し、家無し、仕事無し、行き場無し、
貧困で死ぬのがオチだ】
【あーあー、せっかく、ここまで大きな村になったんだ。この村から離れるのは嫌だ】
【じゃあ、戦おう!!あいつらを倒そう】
【倒そうって、俺たちでか】
【英雄の弟子達がいるじゃねぇか】
【確かに俺達が戦うよりも、向いている奴がいるな】
そう言うと、その場の男達は、ジャン達の方に視線を向ける。
グリフォンは、その視線にゾッとするものを肌で感じた。
人の思惑が入り混じった視線、何か嫌らしさの含んだネットリとした視線。
ナタリーが立ち上がろうとしたが、ヘルムートが引きとめた。
そのジャンが立ち上がり、酒場を見渡してため息をつく。
「申し訳ない。俺達がこの村のために命を張る事が出来るが、
俺達だけで挑んでも被害は確実に出る。
村で一丸となって挑めば、被害は最小限に留めて勝利を勝ち取る事が出来る。
だから、一緒に戦ってくれませんか」
ジャンは包み隠さずに本心を村人に告げる。
そして、1人づつ目を合わせていく。
しかし、視線を合わせた村人達は皆、目を逸らした。
そして、そこからは誰も一言もしゃべらず黙り込んでしまい、しばらくして酒場から去っていった。
酒場に残ったのは、店の人達と、英雄の弟子達、そしてナタリー達だった。
「今更だが、なぜ、あなたがココにいるのか、理由を聞いてもいいか?」
ヘルムートがナディアの方を振り向いて、ため息まじりに話す。
「ヘルムート、驚いただろ」
小さな胸を張って、屈託のない笑顔で答えるナディア。
「あ・・・ああ、それは驚くだろ。ここにいる筈がない人間がいるからな」
「ひゃひゃひゃ、なんだ、このガキは?ヘルムートの子供か」
クラッシュが小馬鹿にした笑い声を上げながら左手でナディアの頭を撫でようとした。
「おい待て、クラッ・・・」
(ガブッ)
「いぃぃぃぃいいいっ」
噛み付いた音が聞こえてきそうなぐらいクラッシュの左手に派手に噛み付くナディア。
声にならない声を上げるクラッシュ。
しかし、噛み付きを一向に止めないナディア。
「悪かった、悪かった、頼むから噛み付くのを止めてくれ」
懇願するように頼むクラッシュ。
「あのナディアさん、クラッシュが悪いのだけど、それぐらいで許してあげてくれませんか?」
ナタリーがたまりかねてフォローに入る。
ナディアはナタリーの顔をジッと見て、やがてクラッシュへの噛み付きを止める。
「いってぇー、歯型ついてるぞ!!」
「俺はお前達の中で一番年上だぞ!!!もっと、うやまえ!!!!」
そう言うと、両手をそれぞれ両腰において、胸を張るポーズを取るナディア。
「おい、ちびっ子、その身長や、見た目で、年上なわけが・・・」
「おい、クラッシュとやら、噛むぞ?」
「すみません・・・・」
クラッシュは頭を下げると、椅子に座り直して、ナディアがいる方向の反対に顔向けて、ブツブツと独り言を呟き出していた。
クラッシュの左手だけではなく、精神を傷つける事にも成功していたナディアだった。
次回更新予定日は2016年5月27日の12時ごろです