表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/45

5

 翌朝。起きると右手の手のひらがヒリヒリと痛む。右腕は少しズキズキする。昨日、御手洗陽菜に右腕を引っ張られる際に、少しひねったようだ。

 学校へ行くと、学校中に昨日の屋上の出来事が知れ渡っていた。生徒二人が屋上から飛び降りたのだ。無理も無い。逆に話題にならないほうがおかしいだろう。

 昨日まで見向きもされなかった僕は、今日は皆の注目を浴びていた。まわりの視線が、僕の全身をかゆくさせた。しかし、僕に直接、話を聞きにくる者はいなかった。むしろ、その方が有難い。僕は人と話をすることは苦手だ。話しかけられてもまともな返答はできないだろう。

 昼休み。今日はどう過ごせばいいだろうか。昨日のように屋上に行くのはためらいが生じる。かといって教室は居心地が悪い。机にうつぶせになって寝ているフリをしてやりすごすのもいいが、起きたときに机に水滴がつく。それをほかの人にみられるのが妙に恥ずかしい。

 考えた末、僕は一階の図書室へと向かった。本はあまり読まないタチだし、あまりに静か過ぎて息苦しいから行きたくなかったが、教室よりはマシだ。

 図書室の戸を開けると、中には誰もいなかった。いつも図書委員が座っているカウンターにも誰もいない。トイレにでも行っているのだろうか。これなら人目を気にせず昼休みを過ごせる。都合がいい。

 そう思って、窓際の席の椅子に腰掛けて、外の風景を眺めていると、図書室の入り口の戸が開く音がした。

「あ…」

 僕は思わず声を出した。戸を開けたのは、なんと御手洗陽菜だった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ