表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/45

4

 教員たちによる説教が終わり、僕と御手洗陽菜(みたらいはるな)は保健室を出た。御手洗は、自分の右手をじいっと見ていた。僕の右手の手のひらから剥がれた皮膚が、御手洗の右手の手のひらにくっついている。どうやら僕の皮膚は、御手洗の皮膚より弱いらしい。右手と右手をくっつけた接着剤を引っ張って剥がすときに、僕の皮膚だけ一方的に彼女の手のひらに持っていかれた。僕の右手には包帯が巻かれたが、彼女の右手はそのままだ。

 御手洗は、自分の右手と僕の顔を交互に見てきた。何かを言いたそうな顔をしていたが、結局何も言わずに、彼女は去っていった。

 彼女は本当に、接着剤の粘着力を確かめるために屋上の手すりに立っていたのだろうか。なぜ手すりにだけでなく、自分の右手にも接着剤を塗っていたのだろうか。いろんな疑問を抱えながら、放課後、僕は家へと戻った。

 彼女に手を握られたときの温かい、やわらかな感触が、家に帰ってからも頭の中に残っていた。誰かと手を握ったのは、小学校以来無い。

 同じフレーズを繰り返す、壊れたレコードのような僕の日常は、彼女、御手洗陽菜によって、変えられようとしていた。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ