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8.8-23 鬼の町?23

……その光景は異様だった。


何がどう異様だったのか、その例を上げるのは難しいと言えるだろう。

なにしろ……48人もの少年少女たちが、一糸まとわぬ姿で、意識なく森の中に倒れていたのである。

それを何か事象に当てはめるなら……大量殺戮事件、といったところだろうか。

まぁ、意識を失っているだけで、死んでいるわけではなかったようだが。


そしてそんな彼ら――変身した地竜たちの姿が目の当たりになると同時に――


「…………?!ちょっ、やめr」


ズドォォォォォン!!


と、前触れもなく、急に地面へと沈み込むロリコン。

なぜ彼がそんな目に遭わなくてはならなかったのかについては、その名前が語っていた、と言えば分かってもらえるのではないだろうか。


「しっかし、マナってホント不思議よね……。変身するなら、人間以外の何かに変身してもおかしくないと思うんだけど、なんでよりにもよって人間なのかしら?」


と、ロリコンを超重力で沈めた後で、人化した地竜たち全員を空中に浮かべながら、そんな疑問を口にするワルツ。

彼女が地竜たちに飲ませたマナは、ミッドエデンのサウスフォートレスの地下にあった地底湖から汲んできたものだったが……。

それ自体は、特段、人化の効果がある液体、というわけではないはずだった。

ボレアスの首都ビクセン近郊に、迷宮の消滅と共に現れた巨大な(マナ)たまり(?)のマナを飲んだ飛竜も人化したので、ほぼ間違いないと言って良いだろう。


だとすれば、ドラゴンたちは、マナを飲めば、とりあえず人化する、ということになるのだが……。

それがなぜ『人間』なのか、ワルツには分からなかったようである。

尤も、この世界の誰も知らない可能性も否定はできないが。


そんな中、マナを管理していたイブが、こんな仮説を口にした。


「やっぱり、人になりたい、って考えてたからかもじゃない?もしかすると……マナを飲んだ時に、なりたい姿を想像すれば、いろんな姿に変われるかもだったりして?」


「ふむふむ……そう考えると、妾も狐になりたい、と思いながらマナを飲めば、狐になれるかもしれぬ、というわけじゃな?」


「じゃぁ、試しに飲んでみたら?でも、半分以上機械化してるから、半端な姿になっちゃうかもしれないわよ?あるいは、そのままの姿で、元に戻れないかもしれないわね。まぁ、その時はその時で、首輪を付けて、王城の中庭の蛇口にでも繋いでおくから、安心してマナを飲んでもらってもいいわよ?」


「……やっぱり止めておくのじゃ……」げっそり


狐のことが大好きとは言え、永久的に狐の姿に変わってしまうのはどうかと思ったのか、マナを飲むのを止めることにした様子のテレサ。


ワルツはそんな彼女に対して苦笑を向けてから……。

浮かんでいた地竜たちに目を向け直して、そしてこう言った。


「まずは、風邪を引く前に服を着せなきゃね。というわけで……誰か、服持ってる?」


「「「…………」」」


「まぁ、持ってるわけ、無いわよね……」


と、48人分の服を誰も持っていない事に気づいて、腕を組みながらどうするかを考え込む様子のワルツ。

もちろん、その場にいる者たちが持っている服をすべてかき集めたとしても、まったく足りなかったようである。


結果、彼女は、一つの結論にたどり着いたようだ。


「……うん。彼らが意識を失ってる間に、ミッドエデンに移動しちゃいましょうか?そうすれば、後はどうにでもなるんじゃない?」


ようするに、地竜たちが変身のショックで眠っている間に、急いでミッドエデンに移動し、そこで服を調達して、彼らに着させよう、というわけである。

もちろん食事も然り……。


そんなワルツの提案に、イブが怪訝そうな表情を浮かべながら、こんな指摘を口にする。


「でも、もしかすると、飛んでる間に、目を覚ましちゃうかもだよ?皆一斉に目を覚ましたら、ポテちゃんの中で、大混乱になっちゃうかもじゃない?」


「それはもう……超特急で帰るしか無いでしょうね。元の地竜の姿のままだったら、1匹暴れただけでも大変なことになっちゃうかもしれないけど、今の姿なら多少暴れてもなんとかなるでしょ……きっと」


「う、うん……。ワルツ様がそう言うなら、大丈夫かもなの……かな?」


「そこはまぁ……成り行きよ?成り行き。というわけだから、飛竜?もしも何かあったら、ポラリスと一緒に、どうにか対応してくれるかしら?空を飛んでる30分間だけでいいから、地竜たちを我慢させてくれれば、後はどうにかするわ?(……アトラスがね)」


「……今、何か悪寒がしたような気がするんだが……気のせいか……」


「うむ……ポテちゃん殿の中で暴れられても困るゆえ、我らでどうにかしてみるのでございます」


「頼むわね?」


そう言つつ、弟に意味深げな視線を送って……。

人の姿に戻っていた飛竜カリーナと共に、彼女と同じく人化した大量の地竜たちを、ポテンティアの方へと運んでいくワルツ。


そして彼らのことを、無事にポテンティアの内部へと送り届けて……。

こうしてワルツたちは、ミッドエデンの王都に戻るための帰路についたのである。


なお、ポテンティアの中で引きこもっていたポラリスが、人の姿になってしまった親族(?)たちの姿を見て、どんな反応を見せていたのかについては説明を省略する。

まぁ、特に変わった反応を見せていたわけではなく、ポカーンと口を開けたそのままの姿で、唖然として固まっていただけだが。



「シラヌイ!てめぇ!ふざけてんのか!心配かけさせやがって……!」


「ブレーズさん……すみません……」しゅん


ワルツたちがエネルギアの艦橋に戻ってきたところで、飛んできた怒号に対し、申し訳なさそうに謝罪するシラヌイ。


そんな彼女のことを怒鳴りつけたのは、シラヌイの言葉通り、ブレーズで……。

彼は本当にシラヌイのことを心配していたらしく――


「……だけど、元気そうで良かったぜ……」


その場にいた者たちに聞こえるかどうかの小さな声で、そんな言葉を呟いて、そして大きなため息を吐いていたようである。


艦橋の中には、そんなブレーズの他にも、シラヌイの帰りを待っていた者たちの姿があった。


「無事でしたか〜。そうですかそうですか〜…………これは困りましたね〜……」


アトラスの腕に貼り付いていたシラヌイの姿を見て、目が笑っていない笑みを浮かべるコルテックスと――


「元気そうで何よりです。後で健康診断をしたいと思いますので、医務室に来て下さい。……ちょっと痛い注射をするのと灸を据えさせてもらいます」


「…………」にゅるっ


にっこりと微笑みながらも、怒っている様子のカタリナと、今日も彼女の白衣の下から見え隠れしているシュバル。


そして――


「あなたが……シラヌイ様ですのね?私、ベアトリクス=オリージャという者ですわ。テレサの嫁ですの。以降、お見知りおきを……」


カタリナに結界魔法を教えてもらう、と言ってエネルギアに残っていたベアトリクスもいたようである。


「えっ……テレサ様の……えっ……」


「これ、シラヌイ殿。こやつの戯言を鵜呑みにするでないのじゃ?妾にはワルツという夫がすでにおるのじゃからのう……」


「えっ……ワルツ様の嫁の……嫁?」


「「えっ……」」


「はいはい。そういうわけ分かんない話はそのくらいにしておきなさいよ?」


そう言って、混沌とし始めていた空気を一掃して、エネルギアに目配せするワルツ。


すると、艦橋から見えていた景色から、森の姿が急速に遠ざかっていき……。

エネルギアの船体は、隣りにいたポテンティアの船体と共に、宙へと舞い上がったようである。


そんな景色を眺めながら……。

ワルツは、物理的にエネルギアに絡まれていた剣士へと、不意にこんな質問を投げかけた。


「そういえば、剣士?貴方たちのリーダー、どこいったの?外にはいなかったみたいだけど……」


「レオか?あいつは今、医務室にいるはずだが……」


そこまで言って、なぜか言い淀んでしまう剣士。

それだけでなく、剣士は、カタリナに視線を向け、まるでそこから先の言葉を口にしていいか、と彼女に許可を伺っているような素振りを見せていたようである。

どうやら、ワルツたちがいない間に、何か大きな出来事があったらしい。


それを察したのか……。

ワルツはカタリナに対し、問いかけた。


「……何?何かあったの?ベアトリクスに結界魔法を教えている最中に、勇者のことを間違って吹き飛ばしちゃって、大怪我負わせちゃったとか?別にいいんじゃない?」


「いえ、そういうわけではありません」


「あ、そう。じゃぁ、またリアんところに顔を出してるのね」


「それはそうなんですけど……」


と、ワルツの言葉に対し、なんとも返答し難そうな反応を見せるカタリナ。


そんな彼女の表情を見て――


「えっ……まさか……リア、死んじゃった?」


ワルツは最悪の状況を想像するのだが……。

実際には、それとは大きく異なる出来事が起こっていたようだ。


「実は、リアさん…………目を覚ましました」


「「「…………え?」」」


カタリナが何と言ったのか理解できなかったらしく、一斉に耳を疑ったような反応を見せるワルツたち。

だが、それは、聞き間違えでも何でも無く――


「リアさん、目を覚ましたんですよ。それを報告するために、ワルツさんのところに来たんです」


笑みを浮かべながらそう口にするカタリナの言葉通りの吉報だったようである。


どうやら、長きに渡るカタリナの治療は、ワルツたちがキビの町にシラヌイを迎えに行っている間に、大きな転換点を迎えていたようだ。



この文は、昨日の妾が書いたものなのじゃ。

いつもは前日までに書き終えて、当日に修正をしてからあっぷろーどしておるのじゃが、今日は忙しくて、書いておる暇がない可能性が高かったのでのう……。

ゆえに昨日の内に、予約投稿しておいた、というわけなのじゃ。


それで一つ、気がついたことがあるのじゃ。

いつもは大抵、『うわっ…妾の駄文酷すぎ…?』と思いながら、当日修正しておるのじゃが、こうして連続投稿する場合は、そう思うことがあまりないのじゃ。

それは何故なのか……。


いつも仮眠を摂った後でスッキリした頭で書いておるゆえ、駄文に違和感を感じるのか。

それとも、仮眠を摂ったせいで、頭が眠っておるゆえ、しっかりと文が理解できていないだけなのか……。


もしも、後者だった場合……妾の2年半は一体何じゃったのか、ということになりかねぬのじゃ。

つまり、修正するつもりで駄文を作成していたということになるからのう……。

これは、しっかりと検討したほうが良いかも知れぬ……。

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