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8.4-16 いばらの道16

そして、あまり気が強い方ではないユキBが、姉のヌルと同じく鑑定を回避しつつも、穏便に登録を済ませて。

次はその後ろに並んでいたイブの番である。


ちなみに彼女は、既に冒険者として登録済みだったりする。

父親を失ってからの数ヶ月間、彼女はビクセンの周囲に生えていた薬草などを採集して一人で生計を立てる必要があり、採取したモノを買い取ってもらうために、冒険者として登録していたのである。

その際、毎日、冒険者ギルドに通い詰めていたこともあってか……実はEランクだった。

ただ今回は、身分を隠してビクセンに忍び込む必要があるので、再度登録をして、Fランクからの再スタートだが。


「次の人、どうぞ?」


「はい。イブも新規登録でお願いしたいかも」


と言って、他の者たちと同じように、町の検問所で発行した身分証を受付嬢に渡すイブ。


「それでは鑑定しますので、こちらに手を載せて下さい」


「はーい」


イブはそう返答すると、気軽な気持ちで鑑定用の魔道具に手を乗せた。


「(前のジョブは『荷物持ち』だったんだよね……。今度はもう少しまともなジョブだと良いかもなんだけど……)」


そんなことを考えなら彼女が受付嬢の返答を待っていると、どういうわけか、受付嬢の表情が曇り始める。

その様子を見て、イブは心配そうに問いかけた。


「えっとー……あのー……何かあったかもなの?」


「申し訳ありません。もう一度、手を載せていただけますか?」


「えっ?う、うん……(なんか嫌な予感がするかもだね……)」


そんなことを考えながら、イブがもう一度手を載せると……


「……やっぱり、結果が変わんないな……」


受付嬢はより一層、深刻そうな表情を浮かべた。

それから彼女は、魔道具を何回か叩いて、それでも表示が変わらなかったのか、席から立ち上がると、イブに対してこう口にする。


「もしかすると魔道具が壊れてしまったかもしれないので、交換しますね?」


その言葉に、


「い、いや、良いかもだよ?自分で決めるかもだから」


と、少々必死な様子で返すイブ。

穏便に事を進めるために、皆で冒険者になってビクセンに忍び込む、というワルツたちの作戦を理解していた彼女は、ジョブを自分で決めることで、余計な騒ぎを回避することにしたようだ。


すると受付嬢は、イブの意図通りに椅子へと座りなおすと、改めて質問を口にした。


「ではジョブをお決め下さい」


その言葉に、


「ジョブ……ジョブ……(『荷物持ち』はもう嫌かもだし、『剣士(ソードマン)』も『魔法使い(ウィザード)』も向いてないかもだし……)」


と、悩むイブ。


それから暫くの間、彼女はなりたいジョブを考えるのだが、どうしても決められず。

結果、彼女は、受付嬢に対して、ヒントを求めるように質問した。


「ちなみにだけど……さっきの鑑定には、なんて出てたかもなの?」


そんな彼女の質問に、受付嬢は苦笑を浮かべると、誰にも聞かれないようにカウンターに乗り出しながら、小さくこう口にしたのである。


「……ドラゴンナイトです」


竜騎士(ドラゴンナイト)…………あー、なるほどかも」


「えっ……?」


「でも流石に、竜騎士じゃ目立つかもだから……テイマーにしておくのが無難かもだね(テイムしたことないかもだけど)」


「は、はい……。テイマーでよろしいですか?」


「うん!」


目の前にいた少女が、ドラゴンナイトと聞いた途端、納得げな表情を浮かべたその理由が分からず、思わず困惑してしまった受付嬢だったが……。

ようやくジョブが決まったようなので、それをギルドカードへと入力することにしたようだ。


なお、この後で、イブが『にんじゃーにしておけばよかったかも……』などと口にするのだが、残念ながら、『忍者』という名前のジョブは無かったりする。



既に冒険者として登録されているローズマリーと、そもそも能力的に冒険者として登録する必要のないユリアを除くと、残りは4人。


次に順番が回ってきたのは、ベアトリクスだった。


「次の方、どうぞ?」


「私も新規登録でお願いしますわ」


そう言って、イブと同様に、身分証を提示するベアトリクス。


「では、鑑定いたしますので、こちらに手をおいて下さい」


「さて……私はどんなジョブに適しているのでしょうね……」わくわく


彼女は小さく笑みを浮かべながら、鑑定用の魔道具の上に手を載せた。

冒険者になることが夢だった彼女にとって『鑑定』とは、特別な儀式だったのだろう。


そして間もなくして、結果が出る。


「えーと……ストーカーです」


「ストーカー?」

「ぶふっ?!」


受付嬢のその一言を聞いて、言葉の意味が解らなかったのか聞き返すベアトリクスと、思わず吹き出してしまうテレサ。


すると受付嬢が、どうしてテレサが吹き出したのか理解出来無さそうな表情を見せながら、『ストーカー』がどのようなジョブなのかについて話し始めた。


「『ストーカー』は、別名を『案内者』と言い、例えば迷宮やダンジョンの中を、迷うこと無く進んでいく能力を持ち合わせている方が選ぶことの多いジョブです」


「そうなのですの?確かに、鼻は聞く方ですけれど……道に迷わないかまでは自信ないですわね……」


「いかがいたしますか?自由に変更することも可能ですが……」


「……いえ、それで構いませんわ」


「かしこまりました。では、少々お待ちください」


そう言って、ギルドカードの作成を始める受付嬢。


そして間もなくして出来たそのカードを受け取って、


「これがギルドカード……ジョブはストーカー……ふふふっ!」


ベアトリクスは、怪しげな笑みを浮かべたとか、浮かべなかったとか……。


「次の方、どうぞ?」


「うむ、妾の番なのじゃ。妾も新規登録でお願いするのじゃ?」そっ


「少々お待ちください…………『妾』様ですね?それで鑑定を行いますので……」


「こ、これで良いのかの?」ぺたり


「はい、結構です。……結果が出ました。あなたも『ストーカー』です」


「えっ……」


「今発行するので、少々お待ちください……」


「ちょっ……べ、別なものに……」


「えっ?あー、申し訳ありません。もう入力してしまいました。こちらの不手際で申し訳ございませんが、変更には最低3日ほど必要になりますが、いかが致しましょう?」


「うぅ……仕方ないのじゃ……。それで良いから下さいなのじゃ……」しゅん


そして、心底残念そうな様子で、ギルドカードを受け取るテレサ。

なおその際、彼女の隣りにいたベアトリクスと、別の列に並んでいたワルツが、逆に嬉しそうな表情を浮かべていた理由については不明である。



残るは2人。


一番最初に並んだはずのワルツとルシアである。

彼女たちの前に並んでいた冒険者が手続きに手間取ったために、結局、彼女たちの番は、一同の中で、最後になってしまっていたのだ。


そして、テレサの番が終わったところで……


「では、次の方?」


「は、はい!」


遂にルシアの番が回ってきた。




某魔王の妹のギルドカードの内容

・氏名:ツヴァイ

・ジョブ:ウィザード

・ランク:F


某メイド犬のギルドカードの内容

・氏名:イブ

・ジョブ:ドラゲナイ

・ランク:F


某王姫のギルドカードの内容

・氏名:ベアトリクス

・ジョブ:ストーカー

・ランク:F


某メカ狐のギルドカードの内容

・氏名:妾

・ジョブ:ストーカー

・ランク:F


――――――――


……え?

よく分からぬジョブの冒険者がおるじゃと?

それに変な名前の冒険者もおる?

気のせいなのじゃ。

細かいことを気にしておると、尻尾の毛が抜けるのじゃ?


まぁ、そんなことは置いておいて。

今日の分から1点だけ、大改造を行った『点』があるのじゃ。

……地の文で書く『三点リーダー』の数の調整を、のう。


今日、自分の文を読む機会があって、見直しておったら、点だけで文字数を稼いでおるような、なんとも悲惨な文になっておったのじゃ。

PCではあまり気にならない(?)のじゃが、携帯端末では特に無視できぬレベルでのう?

まぁ、セリフの部分くらいは良いかと思って、そちらは未だ『点』だらけじゃが、地の文の方は、意識して点の数を減らすことにしたのじゃ。


しかし困ったのう……。

そうすると、微妙な空白を表現する方法が、句読点だけになってしまうのじゃが、ただでさえ多い句読点がさらに増えるというのは、どうしたものかのう。

どうにか別の方法で表現できぬものかと考えておるのじゃが、いかんせん、うまい方法が思いつかぬのじゃ。


やはり……点を……大量に……書かねばならぬのじゃろう……か……zzz。


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