8.3-32 セカンドコンタクト20
|←不要なルビを入れたくないがために追加していた縦線が、思い通りに機能していないことに気付いて、削除したのじゃ。
もしやすると、これ以前にも何個かあったかも知れぬが……気にしないでほしいのじゃ?
そして日が昇り。
オリージャの王都に朝がやって来た。
「…………はぁ……」げっそり
「どうしたのですの?テレサ?そんな大きな溜息なんか吐いて……」にっこり
「こ、これが……朝チュン……」がくぜん
「き、気づけませんでした……」がくぜん
ワルツたちの部屋にあった、とあるベッドの上には、3人が横になっていたわけだが……夜が明けてみると、どうやら1人、追加で増えていたようである。
それも、ほとんど下着姿のベアトリクスが。
「朝早く来てたから、外で待たせるのもどうかと思って、中に入ってもらったわよ?」
と口にしたのは、ベアトリクスを部屋の中へと招き入れた張本人であるワルツである。
……なお。
ワルツは、ベアトリクスに対し、部屋に入ってもいいと言ったものの……テレサたちと一緒に寝ても良い、とは言っていない事を、一応、記しておこう。
「お、おかしいのじゃ……。予定では帰って来たワルツがベッドに潜り込んで来るのを感じながら、最高の朝を迎えるはずじゃったのに……どうしてこうなったのじゃ……」がっくり
「よく言うわよ……。人のベッドを占拠しておいて……」
と、自身の腕にベッタリとくっついて離れないベアトリクスから逃れようと藻掻くテレサに対し、ジト目を向けるワルツ。
それからテレサがどうにかベッドから抜け出すことに成功して。
未だ眠っていたルシアとイブを部屋へと残したまま、階段を1階へと降りていって……。
ワルツたち5人は、宿屋にあった食堂へとやって来たようである。
するとそこには、先日の宣言通り、
「おはようワルツ!それにみんな!今日もいい朝だな!」
満面の笑みを浮かべながら、朝食を用意していた狩人の姿があったようだ。
「「「お、おはようございます……狩人さん……」」」
そんな狩人の眩しい笑みが、容赦なく心に突き刺さってきたのか、ベアトリクスを除いて、申し訳無さそうな表情を浮かべる4人。
それから皆が席について……。
ベーコンエッグとサラダ、それに焼きたてのパンを出してきた狩人に対し、ワルツは思わず問いかけてしまったようである。
「もう……なんというか……申し訳なさ過ぎるので、ミッドエデンには帰らずに、こっちに居ますか?」
すると狩人は……
「いや、気にしないでくれ。王都に戻って部下たちを訓練しなきゃならないし……それに何よりこっちには、狩りができそうな場所も無さそうだからな」
苦笑を浮かべながら、ワルツの申し出を断ったようである。
果たして、彼女のその言い訳が、本心だったのかどうかは不明だが……ワルツの方はその言葉を聞いて、納得することにしたようである。
「ボレアス国内に入ったら、今度はアトラスと交代でこっちに来てもらう予定なので、もうしばらく待ってて下さい」
「あぁ。楽しみにしてるよ。ボレアスか……。やっぱり、冬装備の準備をしたほうが良いんだろうか……」
「そうかもしれないですね。もしも装備がダメだったら、最悪、一旦装備を整えに戻る、っていう言う手もあると思いますよ?」
そんなやり取りをした後で、朝食に手をつけ始めるワルツたち。
それから間もなくして、
ガチャリ……
「ただいま戻りました」
「良い匂いがしますね……。冷たい料理はあるでしょうか?」
「ふぁ〜……眠っ……」
ユキAとユキB、それにアンバーたち3人が、宿へと戻ってきたようだ。
そんな彼女たちに対し、ワルツはベーコンを乗せたパンに齧り付きながら、口ではない場所から声を出して問いかけた。
「おつかれー。……あれ?ヌルとソフィアは?」
「ヌル姉様なら、王城で、ソフィア様と取っ組み合いの喧嘩をしてましたよ?どっちの国の拷問が辛いとか辛くないとか……正直、どうでもいい内容の喧嘩だったので、放置してきました」
「……まるで、ヌルの妹とは思えないような発言ね……ユキ……」
と、口にして、ユキAに対し、呆れたような視線を向けるワルツ。
それにはユキBの方も同意見だったようだが……彼女にそれを指摘するつもりは無かったようである。
年功序列、だろうか。
「で、どうだった?貴女たち、拷もn……尋問してきたんでしょ?なんか分かったこととかあった?」
「それなんですけど……」
と、ワルツの問いかけに答えたのは、転移魔法を使った際、副次的に町の都市結界を破壊してしまったアンバーである。
「色々と聞きたいことはあったんですけど、核心を聞こうとすると、みんな死んじゃって……」
「「「…………えっ?」」」
「いや、えっと……私たちが殺したわけじゃ……なくもないですけど、質問に答えようとすると勝手に死んじゃうような魔法か何かが、身体に組み込まれていたみたいで……倒れていた兵士に質問したら、みんな次々に死んでいっちゃったんですよ……」
「ふーん……物騒ねぇ。そう言えば、水竜にも言霊魔法|(?)がかかってて、それに近い状態になっていたわね……(水竜……いまごろ元気かしら……)」
と、水竜のことを思い出して、彼女の安否を気遣うワルツ。
なお、そんな水竜は、人にもシーサーペントにも変身できるという特性を活かして、今現在、彼女にしか出来ないミッションに赴いているため、ミッドエデンはおろか……人間側の領域にすら居なかったりする……。
まぁ、それはさておいて。
「じゃあ……情報はまったく引き出せなかったってこと?」
とワルツが難しい表情を浮かべながら問いかけると、それに対しアンバーが、再び口を開いて返答した。
「いえ、そういうわけではなかったですよ?エクレリアから来たとか、持っている武器が何なのかとか……その辺は喋っていましたね。詳しくはこちらにまとめてあるので、見てみて下さい」サッ
「ありがと。……ふーん」
ワルツはアンバーから報告書を受け取り、その中へと視線を落とそうとするのだが……まだアンバーの言葉は終わっていなかったらしく、彼女はワルツに渡した書類には書かれていないだろう言葉を、口にし始めた。
「ただ1点だけ……不思議な事がありました。言動が余りに不可解で、皆てんでんばらばらだったので、そこには書いないことです」
「何?なんか改まってそう言われると……凄く嫌な予感がするんだけど……」
「嫌な予感……どうでしょうかね……。えっとー、殆どの兵士たちが、エクレリアから来た、と言って絶命していったんですけど、一部死ななかった人たちが居たんですよ。エクレリアとは言わなかったので、当然といえば当然なんですけど……」
「じゃぁ……どこから来た、って言ったわけ?」
「何種類かありましたね。確か……ニホン、いやニッポン?それと、ジャパンだかヤーパンだかジパングだかという、聞いたことのない国の名前を口走っていました。もしかすると、どこかの少数部族の出かもしれませんね……」
その言葉を聞いたワルツは、パンを食べるために動かしていた口を止めると、
「…………少数部族、ね……。まぁ、少数と言えば、確かに少数なのかもしれないけどさ……」
そこに居たものたちには分からない理由で、大きなため息を吐いたようである。
何故、ワルツが浮かない表情を浮かべて、眉を顰めたのか……。
それは彼女にしか分からないことだが……この世界に自分と同郷の者たちがいて、彼らの安否を慮っていたから……というわけではなかったようである。
も、もう……ダメかも知れぬ……。
仮眠を取っておらぬ上、せんべいの食べ過ぎで血糖値が上がっておるゆえ……頭が回らぬのじゃ……。
こうしてあとがきを書くのと、あっぷろーど前の最終確認をするのが、今の妾にできる精一杯なのじゃ。
……さて。
ほうじ茶を飲みながら、残りの海苔巻き煎餅とおかきを食べようかのう。
あ、そうそう。
明日は帰宅するゆえ、少しはまともな文になる……かもしれぬのじゃ?




