表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
721/3387

8.2-16 河畔の国16

「…………」


その銀色の残像を見て、固まるクラーク。

もちろん、彼が切られたわけではないが、彼はまるで自身が切られてしまったかのように目を真ん丸にして、呼吸することすら忘れてしまったようである。


一方、アトラスに対して、目にも留まらぬ早さで切りかかったマクニールの方は……しかし、実際には、アトラスを切り裂いたわけではなかったようだ。

アトラスの首元まで数ミリといった距離で、ピタリと剣を静止させていたのである。

流石に、騎士長という立場上、ミッドエデンとオリージャとの間に、自ら新しい火種を作ることはできなかったのだろう。


「……この程度の剣術も避けられぬとは、やはりただの子供か……」


そう口にして、残念そうに、剣を鞘へと戻そうとするマクニール。


……しかし彼は、そこで違和感に気づく。

アトラスが終始、表情を変えなかったことも然ることながら……鞘に収めようとした剣が、


「……?……無い?」


柄の部分だけを残して、無くなっていたのだ。

では、その刃はどこに消えてしまったというのか……。


「ふーん。なるほどなー。クロム系の合金か。まぁ、近くに溶岩もあることだし、原料を集めるのも難しくはないか……」


アトラスはそう口にすると、いつの間にか身に付けていた真っ黒な手袋で……これまた同じく、いつの間にかへし折っていたその刃を……


グシャッ……


と、まるで柔らかい粘土を握るように、いとも簡単に丸めてしまったのである。


「……刃物にしちゃ、焼きも入ってないし、鍛冶のレベルはそれほど高くないみたいだな……。あ、言っておくが、オリージャのことを、馬鹿にしてるわけじゃないからな?この世界の大半の国が、皆、同じだ、って話さ」


それからアトラスは、その手に握っていた鉄塊を……


「姉貴?パス!」


ドゴォォォォン!


ワルツに向かって、手首の動きだけで、音速を超える速度で投げつけた。

すると、


ガシッ!


と、それを素手で捕まえるワルツ。

それから彼女は、その物体をしげしげと眺めてから……


「うん、燃えるゴミね」


シュボッ……


超重力で圧縮して、まるで黒い炎で燃やすかのように、この世界から消してしまったようである。


その一連のやり取りを見て……


「「…………」」


まるで、その場の時間だけが止まってしまったかのように固まるクラークとマクニール。


それから、そんな彼らのありきたりな反応(?)に構っていられなくなったのか、アトラスは2人をそのまま放置すると、周囲にいた部下の騎士たちに向かって、声を上げた。


「さてお前ら!今日()うまいものが食えるらしいぞ?目的地は……そこにある町だ!全軍前進ッ!」


「「「サー!イエッサーッ!」」」


そして、騎士たちは、われ先にと、目の前にあるオリージャの首都へと向けて、走り始めたのである。


それからワルツとルシアの2人も、何事もなかったかのように馬車に乗り込んでから、


「さーて、じゃぁ、私たちも行きましょうか」

「うん。シラヌイちゃんを探さなきゃならないからね」

「どこにいるかもなのかな?シラヌイ様……」

「まずは、ウチの諜報部隊と合流しましょうか」

「じゃぁ、連絡をとっておきますね」


彼女たちの馬車も、騎士たちの後ろを追って、走り始めた。

その後に、今日も走り込みを続けている様子の勇者と賢者、それにエネルギアからようやく開放されたのか、げっそりとした表情の剣士が乗った馬が続き……。

そして、最後に……


「……というわけでだ。これから少しの間、お世話になると思うが、よろしく頼む」


アトラスは唖然としている2人にそんな挨拶を交わして……


シュタッ!


凄まじい速度でその場から跳躍すると、先に行った皆のことを追い越し、先頭に戻っていったのだ。




……つまりである。


「あ……そういえば、クラークのおっさんたちが来ないと、正門を開けてもらえねぇよな……」


「そりゃそうよね……」


クラークたちをその場に置いてきたがために、数千人の騎士たちと共にオリージャの王都にある正門へと近づいたあとラスやワルツたちは……当然のごとく、王都の者たちに警戒されて、門を閉じられてしまったようだ。


「どうする?姉貴?」


『強行突破あるのみですよ〜?』


「どうしようかしらね?ここで、クラークたちのこと待ってる?」


『では、私が吹き飛ばしましょうか〜?』


「「…………はぁ……」」


その門を前にして、ワルツとアトラスが悩んでいると、タイミングよく(?)コルテックスが話に割り込んできたようだ。


そんなマクロファージの向こう側にいる妹に対して、ワルツが頭を抱えながら問いかけた。


「コルテックス……。貴女、なんでそんなに攻撃的なのよ?」


それに対し、コルテックスは、普段とは少し異なる口調で、重々しくこう口にする。


『……受け取り方にもよりますが〜、今そこにお姉さま方がいる時点で、ミッドエデンはオリージャに侵攻した、と言っても、過言ではない状況なのですよ〜?」


「「…………」」


『ですから〜……ここは、有効な政治的手札を得るためにも、圧倒的な力を持っていることをオリージャに示すために、正門を一撃で葬り去るべき〜……私はそう思うのです。そう……これは、無意味な暴力などではなく、無駄な争いを回避するための、政治の駆け引きの一つなのですから〜』


「…………そ、そうなの?」


「いや、俺に聞かれても……」


と、戸惑いの表情を見せるワルツとアトラス。


そんな2人に対し、コルテックスは、決断を促した。


『さぁ、ひと思いに吹き飛ばすのです!』


その結果……。

悩みに悩んだアトラスは、大きく溜息を吐くいてから、いつも通り愚直に、コルテックスの言葉に従うことにしたようである。


「……分かった。コルテックスのことを信じて、吹き飛ばすことにするよ。これまでだって、ミッドエデンの発展のために、コルテックスは尽してたんだ。それはよく分かってるつもりだからな」


『そうですか〜。さすがはお兄様です。……では、気兼ねなく吹き飛ばして下さい!』


「お、おう……」


妙に気合の入ったコルテックスの言葉に、戸惑い気味に返答してから、大きな扉がそびえ立つ、町の正門の方へと歩いていくアトラス。

そんな弟に対して、ワルツは可哀想なものを見るような視線を送っていたようだが、それ以上、彼女は、何か言葉を口にすることは無かったようである。


そしてアトラスは、手にした黒いグローブが、しっかりと嵌っていることを確認すると……その両手の平で()()扉を押した。

その瞬間、


バギッ……ギギギギギ……ドゴォォォォン!!


と、支えを失ったかのように、町の内側へと倒れる、分厚い金属で作られた2枚の扉。

どうやらアトラスは、コルテックスの言葉通り、ひと思いに町の中へと扉を吹き飛ばすのは拙いと思ったらしく、可能な限りの手加減をしたようだ。

扉の向こう側には、何の罪のない市民がいるはずなので、当然の配慮と言えるだろう。


……しかしである。


「う、うわぁぁぁぁ!!へ、陛下が!!」

「ミッドエデンの奴らを自ら迎えようとしてた陛下が、扉の下敷きに!!」

「つくづく厄介な奴らだ!!」


アトラスが配慮したにも関わらず、倒れた鉄の扉の下に、誰かが挟まれてしまったようだ。

一体誰が、倒れた扉の下敷きになってしまったのかについては……まぁ、何も言わずとも明らかだろう……。

こう……もう少し……どうにかならないものですかね〜。

妾は、こういうシーンを書くのが、すこしかなり苦手だと思うのですよ〜。

もっと効果的に表現する方法があると思うのですが、今の妾のレベルでは、スキルの開放が行われていないようですね〜。



……はぁ。

コルの真似が微妙に大変なのじゃ……(実話)。

妾としては、もっと、コルを前に出していきたいところなのじゃが、なかなか思い通りにならなくてのう……。


ちなみに、コル自身は、このあとがきには出てこないのじゃ?

妾の近くにはおらんからのう。

それとは別の理由で、ワルツも出てこないのじゃ?

主人公があとがきで駄文を書くとか……ありえんからのう……。

その他、テンポも、ストレラも、アトラスも、以下略なのじゃ!


さて。

今日はこの辺で駄文を切り上げさせてもらうのじゃ。

今やっておるシミュレーションが佳境を迎えておって、ぱらめーたの追い込みが良いところまで来ておってのう。

できれば、今夜中に終わらせたいのじゃ。


というわけで、あでゅー、なのじゃ!

……zzz。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ