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8.2-08 河畔の国8

「ふっ……私の重力制御システムから逃げられると思ってるのかしら?(っていうか、最初からこうしとけばよかったわね……)」


『…………!』ぷるぷる


と、マクロファージを捕まえることに成功した様子のバラバラ死体――もとい、いつも通りのワルツ。

どうやらホログラムの身体を分解してまで、逃げ回るマクロファージを捕まえる必要は無かったようである。


そんな、人としての形状を保っていなかった彼女の所へと……


「……ワルツ様。お忙しいところ、失礼致します。お客様をお連れしました」


今日も女装をしていたメイド勇者が、メイドらしく客を連れてきたようだ。


「え?客?」


ワルツはそう言いながら、勇者の後ろにいた人物へと視線を向けるのだが……


「…………!」ビクッ


後ろにいた初老の男性は、ワルツの姿を見て、随分と怖がっていたようである。

まぁ、身体がバラバラになったり、空中に浮いたりしている者の姿を、現在進行形で目の当たりにしているのだから、無理のない反応と言えるだろう。


そのことを察したのか、ワルツは身体をくっつけながら、こんなことを口にした。


「……ねぇ、勇者?いったい、どこから連れてきたの?この……油の乗ったおじさん」


その言葉に、


「…………!」ガクガク


と、より顔の青みを深める男性。

どうやら彼は、ワルツの言葉に、生命の危険を感じ取ったようだ。


そんな男性の反応を横目に見ながら、勇者がワルツの質問に対して返答する。


「この方は、オリージャの外交官のクラーク様でございます。ミッドエデン政府の役職に例えるなら……外務大臣と言ったところでしょうか」


「へー。そんな人が、何しにここへ?」


ワルツがそう問いかけると……クラークは外交官魂(?)を奮い立たせて我を取り戻したのか、未だ顔は青かったものの、ここに馬車でやって来た際と同じ口調で話し始めた。


「……吾輩は偉大なるオリージャ王国からの使者である。ミッドエデンの勇士を率いる代表者と話がしたく、ここに参った」


それを聞いて……


「えっ?それって、私じゃなくて、アトラスのことじゃない?私が率いてる……っていうか、リーダみたいなこととやってるのって、ウチの馬車の中だけだし……」


と、言い訳を口にするワルツ。

やはり、普段から人を避ける傾向のある彼女としては、初対面の人物とは、あまり話したくなかったようだ。


一方、そんなワルツの言葉を聞いて、何とも言い難い複雑な表情を見せるクラーク。

その際、彼が漂わせていた哀愁のようなものを感じ取ったワルツは、すぐに居た堪れなくなったのか、


「……アトラスー?お客さんよー?」


今さっき肩に戻した左腕で、外れた右腕ホログラムを振り回しながら、弟を呼び寄せることにしたようである。




そしてアトラスがやって来て……開口一番、こう口にする。


「……姉貴には言いたいことが2つある。まず、この部隊をどうこうする最高権限は、姉貴が握ってるってことだ。それともう一つは……左腕と右腕が逆に付いてるぞ?」


「えっ?あ、ホントだ……。なんか、違和感があったのよね……。今流行の逆関節?」


ワルツはそう口にすると、左腕を使って、右腕を外したようだ。

しかし、彼女は、そこで悲しそうな表情を浮かべてしまう。

どうやら、右腕を外したはいいが、どうやって左腕を外せば良いのか分からず、途方にくれてしまったらしい……。


そんな姉の行動から、彼女がまともにクラークと話す気がないことを感じ取ったアトラスは、大きな溜息を吐くと、彼女の代わりに話し始めた。


「仕方ないな。……俺がこの部隊の総指揮……の代理をしているアトラスだ。この度は、この場までご足労頂き、感謝する」


そんな少年にしか見えなかったアトラスの言葉に、しかし、ようやくまともに話せる相手が出てきたと判断したのか、クラークは少しだけ嬉しそうな表情を見せて、挨拶の言葉を口にし始めた。


「お初にお目にかかる、アトラス殿。吾輩はこの国――オリージャの外交を司る立場にいるクラークである。早速だが、本国からの要件を伝えたい」


「この国から出て行けと?それはちょっと、俺の権限ではどうにも……」


と、クラークの発言を先読みして、返答するアトラス。

しかし、その後でクラークが口にした言葉は、アトラスの予想を少し外れたものだった。


「いや……必ずしもそういうわけではない。確かに、この国を攻め滅ぼすつもりなら、今すぐにでも立ち去っていただきたいところだが、お互い、事情があるのは分かっているつもりである。そこで提案があるのだが……」


「……提案?」


クラークの発言に違和感を感じたのか、少しだけ眉を顰めて、問いかけるアトラス。

本来、国の主権が、2国間の合意なく、他国によって脅かされるようなことがあれば、その国の政府としては怒り心頭のはずなのだが、今のクラークの発言からすると、アトラスたちが通告なく国境を越えてきたことについては、あまり気にしていないらしい。

それが何故なのか……あるいは背後に何らかの企みや事情があるのか……まだ見えてこなかったために、アトラスは警戒してしまったようだ。


そんな事をアトラスが考えていると、知ってか知らずか……。

クラークは特に態度を変えること無く、そのまま説明を続けた。


「あなた方を客人……いえ、国の来賓として、我らが王都にある城に招きたい。このことは、陛下も了承済みである」


「「「…………?」」」


いよいよ、クラーク……ひいては、オリージャ政府が何を考えているのか分からなくなってきたためか、戸惑いを隠せなくなった様子のワルツの他、その場にいた仲間たち。

しかし、アトラスだけは、表情を変えずに、こう言葉を返した。


「そうか……。ちなみにだが、あなたは我々の目的を知っているか?」


「今のところ存じておらん。これは推測になるが、大河を越えた先の……ボレアスが目的地かと存じ上げるが?」


「その認識なら……ここではっきりと言っておこう」


そしてアトラスは……一体何を思ったのか、こんな言葉を口にしたのである。


「我々の目的は――忌々しいオリージャを滅ぼすことだ」


「なん……?!」


「予定ではこの分岐点を西へ曲がり、一路、あなた方の王都に向かう予定だ。今の進軍速度だと……到着まで大体、2、3日といったところだろう」


「…………」


その言葉に、目を見開き……茫然自失といった表情で固まるクラーク。

たった3000人の兵士たちだけで国を滅ぼす、というアトラスの発言を、真に受けた様子である。


本来、アトラスの言葉は、たった3000人の騎士たちだけで一国を滅ぼせるわけがない、と一蹴されてもおかしくない発言だった。

オリージャは、いくら小国とは言えど、即座に1万人の兵士たちを展開できるほどの戦力は持っていたのである。


しかしそれでも、アトラスの言葉を信じたとなると……もしかするとクラークは、数刻前にオリージャ兵たちが全滅したという報告を、既に受けていたのかもしれない。

たったの1人(+2人?)によって、1万人の兵士たちが戦闘不能に陥ったという報告を、である。


そんな彼の反応を一つ一つ観察しながら、アトラスはそれからも話し続けた。


「しかし……そうだな……。今回の遠征で、オリージャを絶対に滅ぼさなければならない……なんて指令は受けてないからな……」


その言葉に、


「「「…………?」」」


と疑問の色を見せるその場の者たち。

先程は『滅ぼす』と言っておきながら、今度は話の方向性を180度方向を変えたアトラスが、一体何を考えているのか分からない……そんな様子である。


「だから、ウチの騎士たちに何もないって言うなら……まぁ、客として招いてもらって、どんちゃん騒ぎをして、ただ帰るってのも悪くないかもしれない。何も、2国間にあるのは、生きるか死ぬかの2つだけではないわけだしな……」


その言葉に……


「そ、それは、本当か?!」


と、反応を示すクラーク。

彼からすると、未だ成人にすら達していない子どものような見た目のアトラスの言葉は、オリージャや自分をバカにしている、と誤解してもおかしくない発言だったが……明るい表情を見せていたクラークには、どういうわけか、その雰囲気はまったく無かったようである。


その様子を見たアトラスは……こんな言葉で、畳み掛けた。


「……ただし。ウチの騎士たちが面倒事に巻き込まれるってなら……話は別だけどな?例えば……騒乱の道具にされるとか……」


その瞬間、


「…………」ぴくっ


誰から見ても分かるほどに、表情を固まらせてしまうクラーク。

どうやら彼は……いや、彼をここへと遣わせたオリージャ政府は、ミッドエデンの騎士たちを利用して、何かを企んでいたようである……。

文を書いたり、修正したりする上で、何が難しいのか……。

よく分からなくなってきてしまったのじゃ。

こういう時は……一時的に何も考えないようにして、どうでもいい駄文でも書き連ねていこうかのう。


駄文……駄文のう……。

いざ、書こうとすると、中々、思いつかないのじゃ。

じゃから……駄文とは何か、ということについて書いてみようかのう。


妾が書く駄文とは、取り留めのない、そしてたいして重要でもない、どーでもいい文のことなのじゃ。

妙に隙間の空いてしまった文の隙間を埋める、質の悪いセメントみたいなものなのじゃ?

とはいっても、接着剤(セメント)のように、文と文、あるいは話と話をつなげる効果は無く、本当に何の役にもたたぬ、単なる文字の羅列に過ぎぬのじゃがのう。


まぁ、それでも、昔に比べれば、少しは読めるようにはなったのではなかろうかのう。

以前書いておった駄文は、そりゃもう、駄文どころの話ではなく、妾自身が見直しても、何を書いておるのか分からぬ文章じゃったかったからのう……。

もしやすると、それこそが、駄文らしい駄文なのかも知れぬがの。


……おっと。

駄文についての駄文を書いておったら、今日も日付を跨ぎそうなのじゃ。

さて……この話をアップロードしたら、今夜も、新たな駄文を書き連ねるとするかのう……。

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