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7.8-15 狩人講座15

フレミングの左手の法則注意なのじゃ。

グロ注なのじゃ。

頭が回っておらぬ注意なのじゃ。

音速の実に20倍という途轍もない速度で、空中を進む非磁性体材料の『タングステン-オリハルコン合金』の塊。

それは、炸薬の爆発による初期加速に加え、高い電位差を発生させる2つの長い『レール』と、それと直行するように配置された超伝導状態の電磁石の中で、材質の表面がプラズマ化する寸前まで電流を流した際に発生する強力なローレンツ力によって加速した弾頭……つまり、レールガンの弾だった。

エネルギアの本体に備わっていた、巨大な砲塔(タレット)から発射された弾体である。


その速いだけの単なる金属塊は、空気の分子をその圧倒的な運動エネルギーとプラズマ化するほどの温度で分解しながら飛行し……そして、剣士たちの前にいた地竜の脇腹へと、


ドゴォォォォン!!


と、容赦なく突き刺さった。


そんな極超音速での物体の衝突といった特殊な物理状態においては、地竜の身体の表面を構成していた硬い花崗岩のような物質ですら、まるで液体のような振る舞いを見せる。

本来なら硬いはずの地竜の鎧に、まるで柔らかいクリームに串を刺すようにして、何の抵抗もないかのように、弾頭が沈み込んでいったのだ。

しかも、ただ突き刺さったのではなく、衝突したその鎧に自らの運動エネルギーを分け与え、粉々になった破片をまるでショットガンの細かな弾丸のように変化させながら、である。


その結果、地竜の身体は、着弾した部分から、


ドシャァァァァッ!!


と、食紅入り水風船を地面に叩き付けたかのように、激しい飛沫を上げながら、爆散した。


その空から降り注ぐ、色の付いた雪や雨を見て……


「……うっぷ」


と真っ青な表情をしながら、口を両手で抑えるアンバー。

エネルギアの()砲による砲撃を初めて間近で見た彼女にとっては、あまりにもキツイ光景だったようである。


地竜とエネルギアたちとの戦闘は、そんなアンバーの反応通り、既に決着がついたかのように見えていた。

だが、この世界には、原型をトドメないほどにバラバラになっても、元の姿に戻ることが出来る某国王や、某女医がいる通り、物理学や生物学では簡単に説明できない現象が起こるのである。


そして彼女たちの目の前でも、それは生じたようだ。


グオォォォォン!!


既に前足から後ろ完全に吹き飛ばされているというのに、地竜が相変わらず威勢のいい大きな鳴き声を上げたのだ。

その見た目から推測すると、彼は通常のドラゴンというよりも、アンデッドに近いドラゴンだったようである。


……いや、正確にはアンデッドと言うべきではないだろう。

では何なのかについては、それをよく知っていた賢者が呟いた。


「ま、まさか……このドラゴン、『天使』か?!」


急激に身体を修復して、ものの数秒で元の形状に戻ろうとしていた地竜を目の当たりにして、サーロインに背負われたまま、そんな声を上げる賢者ニコル。


すると、レールガンに吹き飛ばされた破片をモロに受けて、地竜と同じような肉塊になっていたはずなのに、今は既に元の姿に戻っていた黒甲冑の男性が、剣士の言葉に反応した。


「ご名答だ……賢者。先程の攻撃にゃぁ少々驚いたが……だが、俺たちをその辺の天使ごときと一緒にしてもらっては困る」


すると彼は、空に手を翳すと、その手をエネルギア本体が停泊しているだろう場所に向かって振り下ろしながら声を上げた。


「……アステロイドサークル!」


その瞬間、エネルギア本体の直上に現れる巨大な魔法陣。

そして、本来なら白い雲しか無いはずの空間から、


ゴゴゴゴゴ……!!


と、真っ赤に赤熱した直径100mほどの巨大な岩石が不意に現れて、まっすぐにエネルギアへと降下を始めたのである。

それを見て、黒甲冑の男性は、再び話し始めた。


「厄介な飛行艇にゃぁ消えてもらおう」


大怪我を負っても再生できるとは言え、男性にとって、強力な武器を持っているエネルギアの存在は、やはり厄介だったようである。


そんな、一見すると危機的とも言える状況の中で、しかし剣士は、至って落ち着いた様子で、エネルギアに対して問いかけた。


「エネルギア?大丈夫ですわね?」


すると、まるでこう答えることが、さも当然のことのように、剣士の鎧になっていたエネルギアは、嬉しそうに返答する。


『まっかせてー。っていうか、あの程度の石ころ、別に放置しておいても問題ないと思うよ?』


「えっ……」


「あ、やっぱりそうだったのですわね。じゃぁ戦闘を続けましょうか(って言っても、わたくしができることは何も無いですけれど……)」


『うん!』


自分の本体に対して巨大な岩石が落ちてくるかもしれないというのに、それを見ても特に危険を感じなかったらしいエネルギア。

普段から超音速で地面に突き刺さっている彼女にとっては、たかだか百数十万トン程度の岩石の衝突など、問題にすらならなかったようである。


一方、黒甲冑の男性は、自身の魔法を完全に無視された結果になって、面食らってしまった様子だった。

彼にとってその魔法は、相当に自信のある攻撃だったようで、厄介なエネルギアに一泡吹かせる唯一の手段だったらしい。


故に、ある意味でメンツを潰されてしまった彼は、再び魔法を行使することにしたようだ。

ただ、今回は落下地点を変えることにしたようだが。


「……なら、これならどうだ?」


少々苛立っていた彼が、そう口にしてから、再び空に手をかざすと、当然のごとく再度、魔法陣が空へと現れる。

だが、その先は重粒子シールドで落ちてきた岩石を難なく受け止めているエネルギアの上空でもなければ、今にも次の攻撃を繰り出そうとしていた(?)剣士たちの直上というわけでもなかった。


だが、新しい魔法が一体どこに展開されたのか、立っていた場所からはまったく見えなかったせいで、


「……ん?どこですの?」

『さぁ?』

「気を抜くなよ?ビクトール」

「うっぷ……」

「ムオッ?」


と、一斉に首をかしげる剣士たち。


それがどこなのか、最初に気付いたのは、真っ青な顔色を、更に濃い色へと変えていたアンバーだった。


「まさか、サウスフォートレス?!」


「ほう。中々に良い感をしているな?魔女」


と、今度は満足げに返答する男性。

それから彼は、再び空に向かって、パキン!、と指を鳴らすと、魔法で地竜に対して指令を送って、ブレスの準備をさせながら、改めて声を上げた。


「さぁ、魔神の船よ!サウスフォートレスを守りながら、俺たちと戦えるかな?」


すると今度は、


『んー、無理』


と素直に返答をしたエネルギア。

現状、自身に搭載されている武器や、その他の手段などを考えた結果、すぐにその結論に辿り着いたようだ。


ところがそれが、黒甲冑の男性にとっては、どうやら予想外の返答だったらしい。


「えっ……?」


彼はエネルギアに対して、驚いたように、思わず言葉を聞き返した。


『いや、だって、無理なものは無理だもん。主砲使って石ころを吹き飛ばしたら、多分、町ごと消えちゃうし、れーるがんじゃ完全に吹き飛ばせるほどには連射できないし、吹き飛ばせたとしても、大きな破片が街に降り注ぐことには変わりないし……』


その回答に……


「ま、まじかよ……」


と、自分で魔法を行使したにも関わらず、なぜか狼狽え始める黒甲冑の男性。

その様子は、本当なら、サウスフォートレスを傷つけるつもりは無かった、といった様子である。


それから彼は、後悔したように、頭を抱え始めた。


「ど、どうすれば……」


その様子を見て、アンバーが声を上げる。


「い、今ならまだ間に合います!転移防止結界を解除して、私をサウスフォートレスへ戻させてください!そうすれば、100mや100kmくらいの岩くらい、どこかへと消し飛ばして見せますから!」


するとその言葉を聞いて……


「……ほ、本当か?」


と、確認を取る黒甲冑の男性。


そんな彼の救いを求めるような色を含んだ問いかけに、アンバーは、


「なんなら、町ごと移動させてもいいですよ?」


実際にそんな経験があったのか、苦笑を浮かべながら返答を口にした。


「……分かった」


そして転移防止結界が解除されて……。

その直後、アンバーは、


「じゃぁ、ちょっと行ってきます!」


ブゥン……


と、サウスフォートレスを守るために、姿を消すのだった。


そんな彼女の姿を見届けてから、剣士は何か事情のありそうな男性に問いかけるのだが……


「あなた……何か事情がありまして?」


「……うるさい!黙れ、オカマ!貴様に俺の何が分かる!」パキンッ


ドゴォォォォ!!


彼が指で指令を送った結果、ドラゴンブレスをチャージしていた地竜から、容赦のないビームが飛んでくる。


だが、それは先程も同じだったので、


『……なんにも学習しないんだね』


ドゴォォォォン!

ドシャァァァァッ!


呆れたような呟きを口にしたエネルギアによって、彼らは再び同じ方法で、挽肉(ひきにく)へと戻されてしまった。


だが……その延々と続きそうに見えたループも、どうやら終わりがやって来たようである。


「……まぁ、仕方ないですわね。エネルギア。二度と再生ができないくらい、木っ端微塵に分解して差し上げなさいまし!」


『おっけー!』


そして、エネルギア本体に搭載されていた、主砲を除いた殆ど砲門が、既に肉塊へと変わっていた男性と地竜へと向けられた……そんな時、


ブゥン……

ドゴォォォォン!!


最近、何度も聞いたことのある低音とともに、大量の大気を押し分けたようにして生じた高温の爆風のようなものが、不意に空から降り注いたのだ。


「な、なんですの?!」


「そ、空だ!ビクトール!空を見ろ!」


「空?……あ」


「ムオッ?!」


『アンバーさん……。石ころを飛ばす場所、少しは考えてよね……』


と、圧倒的な気配を降り注がせていた空に対して視線を向け、そして絶望の表情を浮かべる剣士たち。

そこに浮かんでいたものは、言うまでもなく、真っ赤に赤熱した巨大な岩石だった。


どうやら、サウスフォートレスを無事に守ったアンバーは、あまり時間が無かったためか、それとも単に何も考えていなかったのか……町の無事と引き換えに(?)、剣士たちの命を犠牲にするつもりのようである。

レールガンを超電導材料を使って構築するとするじゃろ?

じゃがのう、実際のところ超伝導状態には、温度と磁界と電流に臨界条件が存在する故、どこまでもローレンツ力の出力を上げられる、というわけではないのじゃ。

まぁ、レールガンに超伝導材料を使わなければ、その限りではないのじゃがの。

その代わり、F=I・B・Lの式ので表現されるローレンツ力を維持するためには、下がった分の磁束密度を補うために弾体に流す電流が上げねばならず、結果、ただでさえ表皮効果によってジュール熱によって発熱しやすい弾体表面がプラズマ化して、そのプラズマが新たな電流の経路になり、その経路を通った電流で生じたローレンツ力のベクトルの方向が砲身の軸線上から外れ(以下略)。

まぁ、その辺の詳しいうんちくについては、ggrなのじゃ。

妾自身、あまり興味は無いしのう。


そんなことよりも、なのじゃ。

……今日の文は酷かったのじゃ。

冒頭のどうでもいい弾体の表現とかに時間を書けておる暇があったら、もうすこし、緊迫したような戦闘シーンを書くべきじゃったと……書き終わってから思ったのじゃ。

まぁ、茶を飲みすぎたために眠れなくて、その結果、睡眠不足になっておる、この朦朧とした頭で書けるかどうかは……また別の話なのじゃがの?


というわけで、なのじゃ。

今日はさっさと眠……って、また、1時半を回っておるのじゃ……。

明日もまたダメかも知れぬ……。

もう眠るのじゃ……zzz。

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