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7.8-06 狩人講座6

「さて……。これは困ったな……」

「勇者……。短い付き合いでしたわね……」

「なるほど。死ぬ気で戦わないと、こういうことになるのか……」

『……?』


突然、目の前から消えてしまった勇者。

その一部始終(?)を見ていた4人は、驚きのあまり言葉を失ってしまった。


しかし、驚いていたのは、4人だけでなく、勇者のことを何処かへと消し飛ばしてしまった張本人であるアンバーの方も同じだったようで、彼女もまた、驚愕の表情を浮かべてから、我慢できなくなって……吹き出した。


「ぶ、ぶふっ……!な、なんて格好してるんですか?!剣士さんと賢者さん!」


と、女装している男たちの姿を見て、腹を抱えて笑い始めるアンバー。

すると、彼女に見られたことが恥ずかしかったのか、剣士が顔を真赤にしながら、事情を答えた。


「こ、これは、訓練の一環ですわ?!」


「クックック……く、訓……練……?フフフ……」


「笑いながら訓練って言うの、やめて下さらないかしら……」


と、ジト目をアンバーに向けながら、不満そうに口にする剣士。

一応、本気でやっていることなので、剣士としても、そして賢者としても、笑われたくなかったらしい。


「これは……失礼しました。ふぅ……はぁ……」


一通り笑って、ようやく落ち着いたのか、大きな息を数回吐いて、普段通りの表情に戻るアンバー。

それから彼女は、何かを思い出したのか、複雑そうな表情を浮かべると、続けて話し始めた。


「あのー……ものすごく嫌な予感がするのですが……勇者様は今どちらに?」


今度は、それに対し、狩人が答えた。


「さっき消えたな」


「さっき……消えた……?もしかして、転移魔法か何かで、ですか?」


「あぁ、その通りだ。私が見間違えたのでなければ、アンバーの転移魔法で、な」


「あのメイドさん……男性には見えなかったのですが……まさかあれが勇者様とは……」


と言って青ざめた表情を浮かべながら、その視線を剣士たちに向けて……そして何故か残念そうな表情を浮かべるアンバー。

そんな彼女の態度に、剣士たちは何かを言いたかったようだが、たとえどんなことを言ったとしても、結果として自身の墓穴を掘ってしまうようなことしか言えなかったらしく、結局彼女たち(?)は、悔しそうな表情を浮かべながらも、言葉を飲み込むことにしたようである。




「で、勇者のことは、どこに飛ばしたんだ?」


一旦脱出したはずの食堂へと戻り、吹き飛んでいた机や椅子を整えた後で、お茶を用意しながらアンバーの話を聞くことにした狩人ほか3名。

本来なら最初に、彼女がどうしてここにやって来たのか、という訪問の理由を聞くべきなのだが、勇者が何処へ転移させられたのか聞くことの方が、今の狩人たちにとっては重要だったようである。

特に、今回飛ばされたのは、勇者一人だけだったので、飛ばされた場所によっては、今すぐに追いかけなくてはならない、と考えていたのだろう。


だが、魔女として国教会に捕まっていただけで、転移魔法以外に魔法が使えない上、冒険者ですらない普通の女性(?)のアンバーが、罠だらけのダンジョンの中や、命の危険が伴うような場所を知っているはずもなく……。

彼女は申し訳無さそうな表情を浮かべながら、こんなことを口にした。


「……アルクの町の郊外です。急に襲われたので、それ以外に危険な人を送り込んでいい場所が思い付かなくて……」


「そうか……。あの村……って今は町か。まぁ、あそこなら、勇者に危険が及ぶことはないだろう。……って、危険人物をアルクの村に送るのはどうかと思うぞ?」


と、安堵の表情を浮かべた後で、ジト目をアンバーに向ける狩人。

だが、勇者を転移させた本人であるアンバーの方は、表情が晴れることはなく……


「あの……今から私も行って、勇者様のことを連れて戻ってきます!」


彼女はそう口にしてから、出された茶に手を付けること無く、椅子から立ち上がった。


その様子を見て、狩人はアンバーに対して制止するように手の平をかざすと、こんなことを口にする。


「いや、待て。アルクの町に行くなら、私も一緒に行くとしよう」


すると当然のごとく、剣士が自身の耳を疑ったように、その口を開いた。


「えっ……じゃぁ、館から脱出するという試練はどうするのです?」


「……任せた!」


「えっ?」

「えっ?」

『えっ?』


「えっ?もしかして、皆様、この館に捕らわれていたのですか?」


「いや、そういうわけじゃないが……」


そして、何も事情を知らないアンバーに対し、現状を説明する狩人。

その際、アンバーが、狩人の混沌とした説明に対し、納得げに頷いていたのは、何故だろうか。




それからアンバーが、新伯爵邸へとやってきた来た自分の用事を完全に失念して、そして他の者たちと一緒に勇者を連れ帰ることだけを考えて……。

かれこれ、1時間ほど経った後の話である。


アンバーが勇者を転移させたと言う、アルクの村郊外には、


「流石に……寒いですわね……」

『じゃぁ、温めてあげる!』

「えっ、熱っ?!燃えるっ?!」じゅっ


「何やってんだ?ビクトールとエネルギアちゃん……。煙が上がってるぞ?」

「おい、お前ら。遊んでいる暇は無いぞ?勇者を見つけたら、さっさと連れ帰って、訓練の続きをするからな?」


というやり取りをする剣士とエネルギア、賢者、それに狩人の、3人+1人と、


「(命の危険を感じるから、館にいたくないって……一体、どういう館なのでしょう?内容については、話したくなかったみたいでしたけど……)」


新伯爵邸に何らかのギミックが設置されていたり、知らない魔物が出るのではないか、などと考えを巡らせていたアンバーの姿があった。

狩人が一時的に居なくなると言った際、どういうわけか顔を青ざめた剣士と賢者が、どうしても付いていきたい、と頼み込み、結局全員で、勇者のことを探しに行くことになったのである。


ちなみに5人は、アンバーの転移魔法でここに来たわけではない。

エネルギアが、本体である船体から離れてしまうと、彼女の身体を構成するマイクロマシンの制御ができなくなり、彼女は砂のように崩れてしまうのである。

よって5人は、ここまでエネルギアの船体を使って飛んできていた。


そして、エネルギアが着陸して、タラップから降りて、前述のようなやり取りをしていたわけだが……。

そこから見える光景は、彼ら彼女らの想像を少々(?)外れたものだったようである。


「それにしても……一面、真っ白ですね。一週間前とは大違いです」

「ここまで白一色ですと、むしろ清々しいほどですわね……」

「ここ、どこだろうな……」

「アルクの町の郊外……のはずだな」

『空から見ると真っ白だったから、断定は出来ないけど、移動距離と方角的には、ここで合ってるはずだよ?』


と、真っ白な雪原を眺めながら、口々に感想を述べる5人。

だがそこから見える景色には、白い雪原と、遠くに白い森のようなものがある以外、町があるようには見えなかったようだ。

本来、この地方には、雪が降らないことを考えると、どうやらマギマウスたちは、サウスフォートレスから50[km]以上離れているこの町にも、進出してきているらしい。


『もしかして……無くなっちゃった?』


「いえ。結論を急いではいけませんわ、エネルギア。もしかすると、雪かきが間に合っていないだけかもしれませんし……」


と、未だ、自身の鎧として張り付いていたままのエネルギアに対して、諭すように言葉を投げかける剣士。

彼女(?)にとって、エネルギアのその縁起の悪い言葉は、フラグか何かのように聞こえたのかもしれない。


と、そんな時であった。

彼らの頭の上を、


ゴゴゴゴゴ……


という音は立てていなかったが、それに近い気配を纏わせながら、


「……飛竜?」

『んー、大きさと色が違う?』


カリーナよりも黒くて、2倍ほど身体が大きそうな一匹の巨大なドラゴンが、通過していったのである。

そしてドラゴンは、5人のことを一瞥すると、特に何をするでもなく、雪の降りしきる空へと、そのまま姿を消してしまった。


その姿を見送った後で、狩人がおもむろにこんな言葉を口にする。


「あれは、この辺の山に住み着いている『主』ってやつだな。いつかアレを狩るのが私の夢なんだが……その話を町長にすると、2言目にはいつも、ハッハッハ無理だ、って真顔で言われるんだよ。頭ごなしにそう言われると、ちょっと悔しいんだよな……」


すると、それを聞いていたアンバーが口を開く。


「いえ、狩人様なら、決して無理なことではないと思いますよ?」


「そうか?」


「はい。何でしたら、きょう一日くらいなら、付き合いますよ?最悪、危なくなったら、私の転移魔法で逃げればいいだけですからね(でも……あれー?なーんか忘れてるような……)」


と、狩人に対して首を傾げつつも、内心では何か引っかかりを感じている様子のアンバー。

しかし、彼女が何かを悩んでいることについては、狩人には分からなかったらしく、


「そうだな……。ならコレも、令嬢になるための訓練と考えて……勇者を見つけたら山の主を狩りに行くか!」


至って嬉しそうな表情を浮かべながら、本人以外には良く分からないだろう、そんな発言を口にした。

実際、アンバーの首の傾きが、より大きくなっていったところを見ると、やはり彼女には狩人の言葉が理解できなかったのだろう。


だが、そこにいた剣士と賢者が、ただただ苦いだけの笑みを浮かべていたところを見ると……彼女たち(?)は、狩人の言葉について、何か思うところがあったようだ。

あー、もう、時間が無いのじゃー。

今週は忙しいと言うのに、ストックが0.8話しか用意できなかったのじゃ。

少なくとも、2日間は、全く書けぬ日があるというのに、どうしたものか……。

やはり、今日これからと、明日の2日間でどうにかするしかないかのう。


というわけで、これから枕の誘惑と戦いながら、ストックを貯める作業に入ろうと思うのじゃ!zzz


……あ、そうじゃ。

重要なことを書くのを忘れておったのじゃ。

小説のタイトルから、サブタイトルを消したのじゃ。

何十何百回と見直してみると、何となく意味が違うような気がしてきたのじゃ。


それと、筆者の名前も変えたのじゃ。

『主殿に変わって』…………本当は『代わって』、が正しいのじゃ。

もう、ダメかも知れぬ、と思って、いっその事、主殿の存在自体、消すことにしたのじゃ!

アデューなのじゃ!


……もうダメかもしれぬ……zzz。

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