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7.7-20 問題と対処5

そして次の日の朝……。


「うーん!今日はよく寝られたかも!」


議長室前には、いつも通り、パジャマとナイトキャップを身に付けたイブの姿があった。

そんな彼女の眼の下からは、2日間連続で見え隠れしていた隈のようなものがすっかりと無くなっているところを見ると、昨晩はすっきりと寝られたようである。

恐らく、コルテックス曰く『新種のセミ』が、夜な夜な泣くのを止めて、イブの部屋の前から飛び去っていったのだろう……。


「今日は良いことあるかもだねー」


そして、議長室の扉をいつも通りにノックして、返事を待つこと無く部屋の中へと入るイブ。

彼女の目的は、言うまでもなく、普段着と化しているメイド服の着付けだ。


「おはようございますかも!」


イブは部屋に入って、元気よく声を上げた。

……その瞬間である。


「はい、おはようございます。それではイブちゃん。早速ですが、このメイド服を来て、すぐに厨房に向かって下さい」


「……えっ?」


と、珍しく、朝から議長室の中に居たユリアに、そんな言葉を告げられるイブ。

逆にコルテックスやテレサの姿は、その場に無かったようだ。


「あれ?今日、イブ、朝食づくりの当番だったかもだったっけ?(あ、そういえば、狩人さん居ないかもだったね……)」


「まぁ、いいからいいから……」


なんとなく納得できない気がしなくもないイブだったが、ユリアに言われるまま、流れるようにメイド服を身に着け、そしてすぐに準備を終えた。

それから彼女は、すぐに厨房へ向かうのだが……その際、ユリアが、手元に持った書類に何かを書き込んでいることに、彼女は気づかなかったようである……。




こうして、王城1階にある厨房へとやって来たイブ。

本来、そこは、テニスコートが2つほど入りそうな大きさの巨大なキッチンのはずなのだが……今日は何故か、白い布のようなもので区切られていて、随分と小さくなっていたようである。


白い布の向こう側からは、時折、


ドゴォォォォン


という轟音と、鼻につくツーンとした香り。

そして何者かが口にする、


『ふっふっふ〜……』

『くっ……!難しい……!』

『生肉でいいか……』


といった声が聞こえてきたようだが……


「(んー、工事中かもだね。さてとー、今日は気分がいいから、頑張っちゃうかも!)」


普段からブツクサと独り言を口にすることが多い王城職員たちが、何か作業をしながら呟いているのだろう、と考えることにしたらしく……イブは、白い布の向こう側のことを、気にしないことにしたようである。


「(今日のメニューは、お煎b……じゃなくて、最近食べてないから、うどんにしよっかなー)」


そして、故郷のボレアスにいたころ、頻繁に作っていたうどんを作り始めるイブ。

材料は、誰かが市場で仕入れてきたためか、机の上にキレイに並べられていたので……彼女はそこから強力粉と薄力粉を持ってくると……経験と勘に頼って、調合を始めた。


「まぁ、こんなもんかなー」


調合によって中力粉を作ると、水と塩と共に、近くにあったビニール袋(ワルツ製)の中に入れて……。

それを袋の上から丁寧に揉み……そしてしっかりと混ざったことを確認すると、イブはそれを机の上に置いた。


「(さてとー。15分くらい寝かせている間に、お掃除でもしてこよっかなー)」


イブは時間がもったいと思ったのか、生地を寝かせている間、一旦、その場を離れることにしたようだ。


…………そして15分後。


「それじゃぁ、続きを作るかも?!」


王城の食堂にあったすべての机と、椅子の拭き掃除を終えたイブは……どういうわけか、刺激臭が強まっていた厨房に戻ってくると、地面に別のビニール袋を置いて、その上に生地の入った袋を置いた。

そして……


「あー……しばらく作ってないと、勘が鈍ってるかもだねー」


そう口にしながら、体重を掛けて、生地を踏みつけ始めたのである。


「よいしょっ……よいしょっ……」


朝起きて間もないというのに、汗を掻きながらうどんの生地を一心不乱に踏みつけていくイブ。

だがそれは、イブにとって慣れたことだったらしく……それから20分間、彼女は休むことなく、踏み続けられたようだ。


「ふぅ……このくらいかな?」


イブはそう口にすると、生地を再び放置して、今度はうどんのつゆを作り始める。


「えっとー、毛の抜けたシルビア様の羽みたいな、かしわかしわー…………あった!」


目当てのニワトリのような魔物の肉を見つけたイブは、それを手早く解体しつつ、近くにあった魔導コンロに、昆布のような紫色の物体と水を入れた鍋を掛けて、お湯を沸かし始めた。

そして、沸騰するか否かのところで、鍋の中の昆布(?)を回収すると、次は解体して一口サイズまで小さくしていた鶏肉(?)をそこへと投入する。


「アクを取ってー♪、おしょーゆを入れてー♪、おさとーとみりんをいれてー♪、ちょっとだけお塩とお酒を入れてー♪……ま、こんなもんかなー?」


そして味見をするイブ。


「……うん!うどんに合わせたちょっと濃い目のスープ。完璧かもだね!キノコも入れたいところだけど……好き嫌いがあるかもだから止めとこ」


どうやら納得のスープが出来上がったようだ。


それからも続いていくイブの料理。

寝かせたうどんを伸ばし棒で平たくして、幅のある包丁で3mmほどの太さに切断して……。


「コレで準備はおっけーかもだね。あとは皆が来たときに、うどんを茹でて、ネギを切るだけかも?」


料理の工程が、最後の茹での工程を残して大体完了したようだ。


そのことをユリアに伝えるために、無線機を取り出すイブ。

そして彼女は、朝食の準備が整ったことをユリアに伝えるのだが……。




「えっと……次は、お客様がくるかもだから、お掃除、お掃除ー♪」


ユリアに対して、朝食が完成したことを伝えた途端、次の指令を受けるイブ。

そんな彼女の次なる作業は……4つある来賓室の内の1つを掃除する、というものであった。


「〜〜〜♪」


部屋に到着した途端、迷う様子も戸惑う様子も見せること無く、慣れた手つきで掃除を始めるイブ。

上から順にモップでホコリを拭き取って、物をどけてその陰も水拭きし……そしてそれを乾拭きをすることで、拭いた痕が残らないようにして……。


「はい、おわりー」


……この間、5分。

どうやら彼女は、王城の一般的なメイドとは比べ物にならないほどの、卓越した掃除能力を身に着けていたようだ。


「ついでだし、廊下やおトイレの掃除しとこうかなー」


そして、来賓室の扉の表側を磨くついでに、廊下の掃除をしようと、部屋の外へと出ようとしたイブ。


そんな折、彼女は……何故か扉の裏に張り付いていたシルビアと鉢合わせする。


「あ、おはようございます!シルビア様!」


「えっと……あの……おはようございます。イブちゃん……」


「……何かあったかもなの?」


「い、いえ……何でもありませんよ?」


「ふーん……まぁいっか。シルビア様も、寝不足は良くないかもだから、ちゃんと寝たほうが良いかもだよ?」


「あの……お気遣いありがとうございます……」


そして、シルビアと別れて、廊下の拭き掃除を進めていくイブ。

そんな彼女の様子を眺めていたシルビアが、手にした書類に、震える手で何か数字のようなものを書き込んでいたようだが……やはり、イブがそれに気づいた様子は無かったようだ。




それからも、作業が終わるごとに、次々とユリアから飛んでくる指令を迅速に片付けていくイブ。

植物への水やり、庭の手入れ、昼食の材料の買い付け、王城周囲の堀や中庭にいるペット(?)への餌やり……。

彼女はその全てを、1時間以内に片付けてしまったようだ。


「さーて、そろそろ、みんな食堂に集まってくる頃かもだねー」


イブは時間を確認して、うどんを茹でるために、食堂へと戻ろうとした。

そんな時である。


『……イブちゃん?聞こえますかー?』


今度はユリアの方から、無線機へと連絡が飛んできた。


「うん。聞こえるかもだよ?」


『お疲れ様です。それでは、第7区画に来ていただけますか?』


「えっ?うん、いいけど……何かあったかもなの?」


『それではお待ちしております』


ガチャッ……


「……?変なユリア様……」


普段は急に無線機を切るようなことはしないはずなのに、自身の質問に答えること無く、通信を切断したユリアの行動に、首を傾げるイブ。

しかし、第7区画で待っている、ということなので……とりあえずイブは、呼び出された場所まで向かうことにしたようである……。




イブが六角形型の王城の中心にあった第7区画へと向かうと……そこは普段とは大きく様相が異なっていた。

その内部には、昨日まであった大きな構造物は忽然と姿を消しており、ただ、だだっ広いだけの空間が、そこに広がっていたのである。

さらに言えば……


「……誰もいない……」


自身を呼び出だしたはずなのに、呼び出した本人であるユリアすらもいなかった。


「まさか……これがイジメ?!」


誰かに聞いたのか、あるいはどこかの文献を眼にしたのか……。

イブは自身の置かれた現状が、あまり好ましくない状況に感じられていたようだ。


……だが、状況は、彼女が想像している以上に、絶望的(?)なものだったらしい。

戸惑っているイブのいた空間へと、一人の少女が姿を見せたのだ。


「……イブちゃん。まさか貴女がここまでの秀才だとは思ってもみませんでした〜……」


イブと同じく、メイド服を着た……コルテックスである。

他にも……


「……しかし、最後に笑うのは私です……!」


割烹着を着たシラヌイ。

そして……


「お腹が減ったのだが……朝食はまだだろうか?」


……何やらメイド服のエプロンを、真っ赤な液体で染め上げた飛竜(少女)も現れた。


その様子を見て、イブは大体の事を把握して、思わず声を上げる。


「い、イブは、アトラス様の争奪戦なんかに、参加しないかもなんだからね!?」


登場人物たちの構成から、自分がどんな厄介事に巻き込まれようとしているのか……イブは察したようだ。

即ち、昨日、コルテックスとシラヌイが交わすことを約束していた、アトラスを婿に迎えるための勝負、である。


その結果、イブは少し涙目になりながら抗議の声を上げたわけだが……残念なことに、勝負は既に始まっていたようだ。


「……2400点」


不意に彼女の背中の方から、そんな声が聞こえてきたのである。


「……にせん……よんひゃく……?なんの話?ユリア様?」


コルテックスたちの他に、その場へと姿を見せた、ユリア、シルビア、そしてリサの3人組。

その代表格であるサキュバスへと、イブは問いかけた。


すると苦々しい表情を浮かべながら……目を伏せたユリアが、おもむろに口を開く。


「現状における、イブちゃんの評価点です」


「いや、それはなんとなく分かってるかもなんだけど、何の評価点なの?あんまり聞きたくない気がしなくもないかもだけど……」


「……コルテックス様が考案された……嫁入り評価点です。ちなみに次点は……コルテックス様の20点ですよ?」


「低っ!……い、いや、何も聞こえなかったかもだね!うん!」


そして、現実逃避を始めるイブ。

どうやら早朝から始まったユリアからの指令は、アトラスにふさわしい嫁を決めるための評価を兼ねたものだったようだ。


……だが、彼女の現実逃避は、コルテックスのこんな一言で、中止せざるを得ない状況に陥ってしまう。


「この場で行われる試験が、最後の評価ですよ〜?直接戦闘して、倒すことの出来た相手から、持っている点数を奪える、というものです」


「や、やっぱり、イジメかも?!」


どこをどう考えても、自分は倒されなくてはならない状況にあることに気付いて、自身に向かって言い知れない視線を向けてくる3人(?)から逃げる方法を、必死になって考えようとするイブ。

しかし、用意周到に準備された第7区画(コロシアム)から逃げることは許されないようで……


ガション!

ガション!

ガション!


と、防護壁用のシャッターが、外へと繋がる通路をすべて塞いでしまった。


「……ねぇ、本当にやるかもなの?」


「はい〜」

「もちろんです」

「我は早く終わらせて朝食を食べたいのだが……」


と、イブの問いかけに対し、それぞれ答える参加者3人。

そんな中で……コルテックスが追加のルールを口にした。


「ですが、戦闘のポテンシャルを考えるなら〜……イブちゃんが丸腰で私たちと戦うというのは、不可能に近いでしょう。そこでイブちゃんには、特別に武器を貸し与えたいと思うのですが、皆さん、よろしいですか〜?」


すると……


「……そうですね。このままでは単なる弱い者いじめになってしまいそうですので、それくらいは構わないと思います」


「我はそもそも主殿に手を上げるつもりはない。構わんと思うぞ?」


と、同意の言葉を口にするシラヌイと飛竜。

その結果、コルテックスは……


「……それでは、イブちゃんには、この魔道具を進呈いたします」


何もない空間から取り出した指輪のような魔道具を、イブへと手渡したのである。


「……なにこれ?」


「一定時間、魔力を1000倍に強める魔道具ですよ〜?ちなみに、この戦いは、5分間戦って、その間の戦いぶりをユリアたちが評価する、というものです。つまり、その5分間だけ強くなれる魔道具、ということですね〜」


「ふーん……。ということは、5分間だけ、ルシアちゃんみたいになれるってこと?」


「極端な話、そういうことですね〜。ですが、結局のところ1000倍の掛け算でしかないので、元々の魔力がそれほど強くなかったりすると、あまり効果はn」


ドゴォォォォン!!


「お!本当だ!この魔道具、すごいかも!」


『…………え』


イブが掲げた腕から、野太いビームが飛んでいって、第7区画の壁に大穴を開けたことで、表情が変わる3人。


だが、それを見ていたユリアの方は、こうなることが最初から分かっていたようで、呆れたような表情を浮かべながら……


「それでは、試合開始です!」カーン


戦いのゴングを鳴らしたのである。


……と、そんな時であった。


「イブ!助太刀するぜ!」


イブの開けた穴から、今回の優勝賞品とも言えるアトラスが、姿を現したのである。


「うわぁ……アトラス様……」


「なーに、遠慮するな!これは自分のためでもあるんだからな!」


さっそうと現れて、嫌がるイブに対し、明るい笑みを飛ばすアトラス。

シラヌイはそんな彼のことが直視できなかったのか、頬を赤くしながら、モジモジとしていたようである。


一方、コルテックスの方は、突然乱入してきた彼に何か言いたいことがあったようだが……


「アトラスは今回、景品なのですから、手を出さn」


と、そこまで言ったところで、


ドゴォォォォン!


会場(?)を大きく揺るがす振動と爆音のせいで、言葉を中断せざるを得ない状況に陥ってしまったようだ。


「……コルちゃーん?シラヌイちゃーん?カリーナちゃーん?イブちゃんのことイジメてる、って聞いたんだけど……?」


イブが開けた穴とは別に、天井を貫いて、イブに加担する超強力な戦力が現れたのである。


『る、ルシアちゃん……』


その他にも……


「……可愛い可愛いイブちゃんに手を上げるというのですか?コルテックス。話によると、最悪、貴女のことをスクラップにしてもいい、と聞いたのですが……」ゴゴゴゴ


と、イブには優しいテンポや、


「怪我をしたら大変ですから、私も見ていたほうが良いですよね?そう、怪我をしたら大変ですからね……」ゴゴゴゴ


そもそも、怪我をさせる事自体、許さない、と副音声で口にするカタリナ。

あるいは部屋の中に入っては来なかったが、壁に開いた穴から王城のメイドたちや職員たちが心配そうに眺めていたところを見ると……どうやらイブには、コルテックス以上に、大量の援軍がいるようである……。




「……というわけで勝者は、前回に引き続き、イブちゃんです!」


そしていつも通りに騒々しくなった第7区画で、誰が勝者なのかを宣言したユリア。

彼女の表情から、戸惑いの色が抜けて、清々しい笑みに変わっていたのは……やはり彼女も、イブに加担する一人だったから、だろうか。


「勝ったかもだけど……全然嬉しくないかもなんだけど……」


「なーに、気にするなイブ。お前が勝ったところで、結婚とか関係ないからな。俺はお前の兄ちゃんのままでいるよ」ワシワシ


「もがぁぁぁぁっ!」イラッ


そしていつも通りに、アトラスから髪の毛を揉みくちゃにされて、激怒するイブ。

ただ、彼女の表情が、いつもとは違い、どこか満更でもない様子だったのは、気のせいだろうか……。


そんな勝利を分かち合う(?)2人とは対象的に……その場には、負けたことを反省する2人+1人の姿があったようだ。

コルテックスとシラヌイと、飛竜である。


「……本来、非力なだけのイブちゃんの(メイド)スペックが、この短い期間でここまで上昇していたとは〜……」


「……そうですね……。単なる少女だと思っていたのですが……」


「……朝食はまだだろうか……」


すると、それを聞いていた審判のユリアが、3人のところへとやって来て、イブついての評価を口にし始めた。


「料理、お掃除、洗濯、そのほか細かい気遣いと、それに掛ける時間……。どれを見ても、イブちゃんの行動に、非の付け所はありませんでした」


それを聞いて……3人が、今回の自身の行動について、反省の言葉を口にする。


「料理……料理だけは、お姉さま譲りなのか、うまくいかなかったんですよね〜……そのせいで-3000点近く引かれてしまいました〜……」


「私は、細かいことに時間を掛けてしまったことが敗因でしょうね……。全然タスクが片付きませんでした……」


「我は……」


「あ、飛竜様は結構です」


「えっ……」


「残念ですが、総合的な家事のことを考えるなら、現状においてはイブちゃんがダントツのトップ、ということなのでしょうね〜」


「…………」


コルテックスの言葉を素直に受け入れられなかったのか……黙って俯いてしまうシラヌイ。

そんな彼女の所に……今度はアトラスが現れる。


「……シラヌイ。結婚するというのは、流石に難しいと思う。だけど、シラヌイのお爺さんのところに顔を出しに行って、もう少し時間がほしい旨を伝えるくらいなら、全然、かまわないぞ?」


「……ありがとうございます、アトラス様。ぜひ……そうしていただけると助かります……」


「あぁ、任せておけ!」


「ですが……私、諦めませんから!」シュタッ


「お……おう……」


シラヌイの真っ直ぐな視線を受けて……思わず頷いてしまった様子のアトラス。

シラヌイはそんなアトラスの表情に、ニッコリと笑みを浮かべると、その場から振り返って走り去っていったのだが……今回ばかりは、アトラスが彼女の背中を追いかけることは無かったようである。




それから、周囲の者たちの微妙な視線を受けながら、議長室へと戻ってきたコルテックス。

彼女は部屋に着くと、メイド服から普段着に着替えながら……その場に居た人物に問いかけた。


「……ルシアちゃんや、カタリナ様方に、今回の勝負の話をしたのは……妾ですね〜?」


「む?何のことじゃ?」


「…………」にっこり


「はぁ……。そうじゃ。いかにも妾なのじゃ……」


それから短い間、無言の空気が議長室の中を漂った後で……。

テレサは、コルテックスに対して、逆に問いかけた。


「しかし、コルも、今回の一件、真面目にアトラスを賭けて戦おうと考えておったわけではなかろう?」


「そうですね〜……。でも、シラヌイちゃんにアトラスが嫁いでしまうかもしれないことを、なんとかして阻止したかった、というのは本当のことですよ〜?それさえ阻止できれば、他はどうでも良かったですかね〜」


「うむ。じゃと思って妾は、予め、ワルツに相談しておったのじゃ」


「根本の原因はお姉さまですか〜……」


「ワルツも言っておったぞ?問題ごとを一人で抱え込むでない、とのう」


「……その言葉、お姉さまに対して、そのままお返ししたいですね〜」


そして苦笑を浮かべ合う2人。


こうしてアトラスをめぐる戦いは、秘密裏にテレサとワルツが用意したシナリオの元、圧倒的なイブの勝利で、終わりを見せたのであった……。

……そのはずだった。




次の日の朝……。


「……うーん!」ぱっちり


ベッドで眼を覚ましたイブは、今日も1日、スッキリとした朝を迎えていたようだ。

故に、彼女は上体を起こすために、ベッドに手を付こうとするのだが……


ぷにっ……


……何か、生暖かく、柔らかいものを掴んでしまったようだ……。


「…………!?」


その瞬間、彼女の血圧は一気に上昇し、布団を撥ね退けながら、全力で飛び起きた。

そして、彼女が飛び起きたベッドの方を振り向くと、そこでは……


「……あ、おはようございます……ふぁ〜……」


……何故かシラヌイが、横になっていたようだ……。

1万文字まで書きたかったのじゃが……キリの良いところがここらへんじゃったから、ここで終わらせてもらったのじゃ。

……いやの?

どうしてこんなに書いたのか、と言うと……気付いたからなのじゃ。

このままのペースでは、7章が書き終わらぬ、とのう。

じゃからアトラス争奪戦の話は、少しブーストして、1話で書き終わらせてもらうことにしたのじゃ?

書くことが決まっておったら、特に引っかかること無く書けるものじゃのう。


というわけで、イブ嬢に負けたシラヌイ嬢の頭は……おかしくなってしまった(?)のじゃ?

まぁ、おかしくなったかどうかについては、次の話になるんじゃがの?

それよりも何よりも書きたい話があったのじゃが……それを両立して書けるか、それが今から心配なのじゃ。

……いや、大した話ではないのじゃがの?


というわけで、これから、明日の分も、書けるところまで書いておこうと思うのじゃ!


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