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7.6-03 赤い珠03

「結局、殴り合いになるなら、最初から普通に訪ねて来ればよかったのに・・・」


そんな感想を口にしながら、議長室から廊下へと出てきたワルツとイブと、そしてアトラス。


その後で部屋から聞こえてきた轟音に、3人が眉を顰めていると・・・イブがおもむろにその口を開いた。


「あー、そうだったかも。あの顔、シリウス様だったかもだね」


すると、それを聞いていたアトラスが、何か分からないことがあったのか、眉を顰めながらイブに問いかける。


「ん?シリウスって・・・ユキの本名じゃなかったか?」


「うん。ユキちゃんの名前でもあるんだけど、お姉さんのヌル様の名前でもある的な感じだね。んーと、ふぁみりーねーむ、ってやつかも?」


「あぁ・・・そういうことな。・・・って、イブ。お前もしかして、自分の国の王様を忘れてたのか?」


「んー・・・ヌル様もユキちゃんも同じ顔だったんだけど、今のユキちゃんの新しい顔に慣れちゃったせいで、忘れちゃってたかも」てへっ


「・・・確かに、普通、人の顔なんて、急には変わらないからな」


そう言ってアトラスが、イブの言葉を聞いて、感慨深げに頷いていると・・・恐らくその原因であるだろうワルツが、不意に呟いた。


「困ったわね・・・」


「ん?どうしたんだ姉貴?」


「実は、コルテックスのところに来たのは聞きたいことがあったからなんだけど、こんなことになっちゃって、聞きそびれちゃったのよね・・・」


ドゴォォォォン!

バコォォォォン!

ドドドドドドッ!


「・・・でも姉貴なら、今からでも入っていって、直接聞いてこれるんじゃないか?」


「それ言うなら、アトラスだってそうじゃない・・・。貴方が試しに入ってみる?援護ならしてもいいわよ?扉を開けるだけだけどね・・・」


「やめておくぜ・・・」


「でしょ?だからさ・・・ここは、イブが身体を張って突撃するしか無いと思うのよね。で、どう?試しに・・・」


「そういう無茶振りやめて欲しいかも・・・」


そう言いながら遠慮の態度を、両手で表現するイブ。


そんな彼女の様子を横目で見ながら、アトラスはワルツに対して問いかけた。


「で、どんなことを聞きたかったんだ?コルテックスがこの建物に仕掛けてるギミックについてか?」


「・・・まーた、あの娘、私の知らないところで好き勝手やってるわけね。でも、そうじゃないわ。聞きたかったのは・・・例のマギマウスたちのことよ?」


『あっ・・・』


お察し・・・。

その言葉がぴったりと合うような表情を見せながら、イブとアトラスは、ワルツから視線を(そむ)けた。

2人ともワルツが問題を先延ばしにしていたことについては知っていたようである。


それに気づいてなかったのは・・・どうやら、ワルツ本人だけだったようだ。


「・・・何かあったの?」


「いや、そう言うわけじゃないが・・・みんな、姉貴が忘れてると思ってるみたいだぜ?」


「え?」


「そう言えば、ユリア様が・・・『点数稼ぎのいいチャンス』って言ってたかも?」


「は?」


「・・・そうだよ。コルテックスに聞かなくても、ユリアたちに聞けばいいんじゃないか?あいつら暇があったら、諜報員を他国に送り込んでるみたいだからな。今回の施設建設のせいで、デスクワークが出来なかった間も、外回りの営業に何人か出してたみたいだし・・・」


「何か押し売りでもしてそうな言い方ね・・・」


と言いつつ、初めてユリアと出会った際、彼女が人の良さそうな笑みを浮かべながら、アルクの村にある自宅に押しかけてきたことを思い出すワルツ。

もしもその際、ユリアが布団のチラシやパンフレットでも持っていたなら・・・などとワルツは考えたようで、何処か様になっている彼女の姿を想像して、苦笑を浮かべてしまったようだ。


「・・・随分と嬉しそうじゃねぇか?」


「いや、昔のことをふと思い出しただけよ。じゃぁ、ちょっとユリアんところに行ってくるわ」


そしてワルツは2人に背を向けて、増強された情報部・・・もとい情報()へと足を向けたのであった。


「あぁ、気をつけてな?・・・さーて、イブ?俺たちも買い物に行こうか?」


「・・・さっきイブが言ったのって、コルテックス様たちから逃げ出すための言葉の綾だし・・・。こーじつってやつ?」


「ほー、随分と難しい言葉を知ってるんだな?イブ。兄ちゃん嬉しいぞ?」ワシワシ


「ちょっ・・・や、やめっ・・・!」


それから再び揉みくちゃにされるイブ・・・。

どうやら彼女は、アトラスから妹扱い・・・を通り越して、完全に小動物扱いされているようだ・・・。




そして、2人と別れた後、情報局の扉の前まで1人でやってきたワルツ。

ここは、議長室と同じ第4区画にあるものの、別の階にある部屋である。

もっと具体的に言うなら、議長室が3階で、情報局は地下2階から地上2階までを専有しており、そのうち、地上2階にあった情報局局長室だ。


その部屋の扉の前で・・・


(んー・・・ノックすべきかしら・・・)


ワルツはそんなことを考えながら、ノックをしようするような体勢で、ピタッと止まっていたようだ。

本来ならノックすべきところなのだが・・・部屋の主であるユリアから、『ノックなんてしなくてもいいでよ?ワルツ様なら、いつでもウェルカムです!』などと言われていたようで、言われた通りにしていいものか、あるいはマナーを守るべきか・・・などと、どうでもいいことで悩んでいたようだ。


(・・・うん!普通に開けよっ)


たっぷり10秒ほど悩んでから、結局ノックをせずに開けることにした様子のワルツ。

どうやら彼女にとって扉を叩くという行動は、時間を掛けて考えるほどに、悩ましい行為だったようである。


ただ、彼女がそんな無駄な時間を過ごしていたせいで、事態は勝手に展開し始めたようだ。


ガチャッ・・・


ワルツが扉に手をかけると、力を加えてもいないのに勝手に開いて・・・


「それでは、失礼します」


・・・部屋の中から新入り諜報員のリサが出てきたのである。


「あっ・・・」

「あっ・・・」


その瞬間、鉢合わせして、意図せず視線が合ってしまうワルツとリサ。


ちなみに・・・。

この時ワルツは、ユリアに会うことだけを考えていたのか、姿を変えるのを忘れていたようである。

だが・・・今なお、精神治療を行っているはずのリサの前で、元の姿のままでいるのは拙い、と思ったのか、彼女は急いで姿を変えようとしたようだ。

元の姿でいたのなら、リサに嫌な過去(?)を思い出させかねない・・・そう考えたのだろう。


しかし、彼女がホログラムの姿を変える前に、リサの方が先にその口を開いてしまった。


「あ!ワルツ様!」


「・・・?・・・こ、こんにちわ、リサ」


特に変わった反応を見せていないリサに対して、その様子が予想外のものだったためか、内心で少し驚いてしまったワルツ。

しかし、リサの方は、ワルツが思っていたほど精神状態は悪くなかったようで・・・


「ユリアお姉さまー?ワルツ様が来ましたよー?」


再び部屋の中へと顔を向け、中にいるだろう部屋の主に対して、そんな声を投げかけた。

その様子を見る限りは、至って正常、と言えるだろう。


(あれ?想像してたのとちょっと違うけど・・・つまり、これって、治療が成功したってことかしらね?)


と、およそ1ヶ月に渡ってリサへと掛けられてきた幻影魔法による治療の効果を考えつつ、彼女のことを横目に見ながら、ワルツは迎え入れられるように、情報局局長室へと足を踏み入れた。

だが、そこにはどういうわけか・・・


「・・・・・・」ぐったり


といった様子で、デスクでもソファーでもなく、床に伏せるユリアの姿が・・・。


どうやら、この情報局局長室では、現在進行形で、殺人事件(?)が展開されていたようである・・・。

投稿画面を見て、少し前から気づいておったのじゃが・・・背景が白ではないのじゃ。

『小説家になろう』のメインページは真っ白なのじゃが、投稿画面は少し青みがかった色をしておるのじゃ?

もう『ぶるーらいと』とか、完全に無視しておるのじゃ。

まぁ、妾は気にしておらぬから、別に良いがの。


そんなことがあって・・・本編の背景を変えてみようと思ったのじゃ。

単なる真っ白な背景に、黒い文字というのは、あまり好きではなかったからのう。

デザイン論(?)的にも、あまりにコントラストの高すぎるデザインというのは、受け入れられないものとして扱われておるようじゃし・・・。

・・・まぁ、初期状態で文字の色は、完全な黒ではなかったようじゃがの。


というわけで、背景の色を、0xFFFFFFから0xF8F8F8に変えたのじゃ?

要するに、真っ白ではなくした、ということなのじゃ。

そして文字の色を、0x404040から0x000000に変えたのじゃ。

黒に近い灰色から、本当の黒に変えた、といったところかのう?


・・・え?数値的なコントラストは逆に上がってる?

確かに、数値上は、のう。

実際の見た目は、そうではないはずなのじゃ。

・・・多分の。


まぁ、そんなわけで、見た目が少しだけ変わった、という話はここいらで切り上げて・・・。

補足・・・すべきことがない故、今日はこの辺でお暇しようかのう。

教皇の質問に答えるのは・・・未だ先の話になりそうなのじゃ。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 551/1731 ・目が疲れていると他なろう作品の字が灰色でぼやけて見えて来るのです。 その時、この作品の背景と文字の色が違う事に気付いたのです。 この時変わったんですね。
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