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7.5-19 王城代替施設19

そんなアトラスたちの頭上、高度300m程度の場所では・・・


「・・・なにやってるのアレ?」


「さぁ・・・」


5(ひき)並んで着地しているワイバーンたちと、堀から陸に上がったクラーケン3匹、そして、そんな彼らと親しげに戯れている水竜と飛竜とアトラスに対して微妙な視線を向ける2人の影があった。

新しい王城代替施設を建設するためにやってきたワルツとルシアである。


「邪魔だけど・・・無視して作業を進めてもいいかしらね?」


「うーん・・・潰したりしたら大変だから、ちょっとそれは拙いんじゃないかなぁ?」


「でも、いなくなるまで待ってたら・・・いつ作業を始められるか分かったものじゃないわよ?」


「じゃぁ・・・みんなにぶつからないように、端の方から作業を進めていけばいいんじゃない?」


「・・・それ、名案ね」


「いや・・・普通だと思うけど・・・」


姉の頭の中には、アトラスたちごと建材で潰して新しい施設を建設する、という横暴なプランしか無さそうだったことに、ルシアは思わず苦笑を浮かべてしまったようだ。


「それで・・・私は何を手伝えばいいの?」


「そうねぇ・・・。材料は大体揃ってるはずだから、ちょっとした修正とか、急遽部品が必要になったとか・・・その時にちょっと力を貸してもらうくらいじゃないかしらね?」


「なんか、ほとんど、やることが無さそうだね・・・」


「・・・そうかもしれないわね。ま、その時は頼むわね」


「うん!」


と、ほぼいつも通りの2人の会話が終わったところで・・・誰にも警告はなく、それは突然始まった。

ワルツが、王都の外に置いてあった資材置き場から、太さ20m全長1.5kmにも及ぶ超巨大な鋼鉄の柱を十数本、重力制御で王都の空へと浮かべたのである。


・・・王都から見ても、外から見ても、その光景は異様な雰囲気を漂わせていた。

12本の長く黒い影が、どこからともなく現れて、それが町の上で漂い始めたのだから・・・異様ではない、と言う方がどうかしているだろう。

結果、その光景には、色々と刺激に慣れつつあった王都民たちであっても、流石に言葉を失ってしまっていたようだ。

・・・まぁ、それも、半分ほどの人々だけに限った話だったようだが・・・。


「・・・ほいじゃぁー、行くわよー?」


と、まるで軽い鉛筆を振り回すかのような口調で、宙に浮かぶ長い柱を、地面と垂直に立てるワルツ。

ただ、その際、鉄柱があまりに長すぎたために、まるで細い針金のようにたわんでしまうことを避けるためか、あるいは、角の速度が音速を超えてしまうことを避けるためか・・・彼女は鉄柱を急に立てるのではなく、注意深くゆっくりと立てていったようである。


そして、柱が完全に直立して・・・外周部の6箇所と、内周部の6箇所、計12箇所の定位置に支柱の配置が終った辺りで・・・


ドゴォォォォン!!


ワルツは、アトラスたちがいた部分を避けるように、その柱の全てを、地中深くへと突き刺さしたのである。

具体的には・・・王城跡地の地面の下にあるだろう旧地下大工房のある空間の、さらにその下にある岩盤の中を300mほどまで貫いたようだ。


・・・その瞬間、


『?!』


と、自分たちが置かれた状況に、ようやく気づいた様子のアトラスたち。

それから彼らが、蜘蛛の子を散らしたように、四方八方へと姿を消していったのは・・・まぁ、言うまでもないだろう。


「さーて、邪魔者もいなくなったことだし、さっさと作業を進めましょうか!」


「お姉ちゃん、最初からそのつもりだったでしょ・・・」


「・・・え?」


「・・・ううん。なんでもない・・・」


と、何か姉に対して言いたいことがある様子のルシア。

しかし彼女は、その言葉を口にすることなく、いつも通りに飲み込むと、姉の行動の観察へと戻ったようである。


「それで、次はどうするの?」


「そうね・・・。パイルを打ってレベルを合わせたから・・・次は基礎の構築ね。って言っても、コンクリを流しこむわけじゃないけど・・・」


そう言うとワルツは、王城跡地の隅の方に置いてあった、一辺の大きさが5mほどの全く同じサイズの六角形の合金パネルと、それをさらに6分割したような大きさの三角形のパネルを重力制御で浮かべて・・・そして、ほぼ隙間なく充填するように、それを地面へと配置していった。


その様子を見て・・・ルシアが問いかける。


「ねぇ、お姉ちゃん。どうして、あんな風に細かく部品を分けたの?いっぺんに作ったほうが、手間がかからなかったと思うんだけど・・・」


「えーと、熱膨張ってあるじゃない?ルシアの力を借りれば、全体を一個の部品で作れないことはないんだけど、夏や冬で気温が違った時に、大きくなったり小さくなったりして、変形しちゃうと思うのよね。だから、その変形を吸収するために小さな部品に分けて、大きさもわざとブカブカなるように作った、ってわけ。ま、多分、王城の内側は1年を通して一定の気温だと思うから、大きな問題にはならないと思うけどね?」


「そっかー。じゃぁ、どうして今までの地下の工房は、全部金属の塊で隙間なく作ってたの?」


「んー、良い質問ね。実は地下の温度っていうのは、年中通して殆ど変わらないのよ。太陽の光が当たるわけでもないしさ?それに、雨水や地下水の流入とかを考えると、逆に密閉したほうが都合が良かったのよ」


「ふーん。でも、隙間から地面が見えてるから・・・なんか不思議な気分だね」


「・・・もちろん、あれで終わりじゃないわよ?」


それからワルツは、配置した材料の上に、メッシュ状の特殊な素材でできた構造材を配置していった。

これにもまた、一辺が20cm程度の六角形の穴が開いていて、所々に小さな穴が開いているようである。

ボルトのようなものを使って、先程、彼女が設置した基礎の鋼材と直接固定できるようになっているようだが・・・ワルツがそれを固定するようなことは無さそうであった。


「あれは・・・?」


「床の下の通気を良くするための、底上げ材的なやつかしら?本当は追加で断熱材とか入れればいいと思うんだけど、細かい作業は正直、面倒くさいのよね・・・。とりあえずのお膳立てはするけど、室内環境の改善は、施設を使う人に任せようと思うのよ。後はあの上に、板を貼るなり、飾り付けするなりすればいい、って感じね」


「あー、確かに、家の床の下とかも、少し底上げがしてあって、直接地面が見えてたかも・・・」


「うん。それと同じことよ?」


そして、壁貼りや細かな装飾などはせずに、縦横の柱などの骨組みと、各階の床材の固定などを当初の設計通りに進めていくワルツ。


そして瞬く間に・・・空から見ると六角形型をした、王城代替施設の基本的な組み立てが終わったようだ。


「・・・やっぱり、私がやることは何も無かったね・・・」


「え?何言ってるの?ルシア。作業は始まったばかりよ?」


「えっ・・・」


「だって・・・工房も、私たちの居住施設も、エネルギアの格納庫も・・・まだ何も出来てないじゃない?」


「・・・?あの大っきなお城の中にあるんじゃないの?」


「ううん。あの上に建てるのよ?」


「えっ?」


「えっ?」


ドゴォォォォン!!


と、そんなやり取りをしながら・・・これまで設置したどの素材とも異なる、大きく分厚く硬そうな素材を、施設の内側に立っていた6本の柱の上に設置するワルツ。

どうやらそれが・・・新しく作る工房の土台になるようだ・・・。

家に帰ったら・・・追加で書くかもしれないのじゃ?

・・・要するに、今、家におらぬのじゃ。

何故おらぬかは・・・お察しくださいなのじゃ!


そうそう、狩人のイラストを追加したのじゃ?

明日辺りから・・・カタリナ殿でも描こうかのう。



ーーーーで、帰って来たのじゃ?

やはり、車の中で書くというのは、難しいのじゃ。


・・・で、じゃ。

・・・まったくもって残念なのじゃ。

何が残念って・・・晴れの予報のはずなのに、曇っておることなのじゃ!

長野も愛知も静岡も・・・もうだめかもしれぬ・・・。

まぁ、去年はそれなりに流星群を見れた故、今年くらい、我慢できるのじゃがの?


それはさておき・・・流星群が見れぬ故、今夜もイラストを描こうかと思っておるのじゃ。

描く候補は・・・

1、カタリナ殿

2、アメ+ルシア嬢+妾

3、エネルギア

の3つなのじゃ?

・・・いやの?

カタリナ殿の次は、テンポなのじゃが・・・テンポのラフ絵が全く出来ておらぬのじゃ・・・。

というわけで、ラフ絵が完成するまでは、脱線するのじゃ!


・・・え?全部描け?

・・・たぶん・・・無理なのじゃ・・・。

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