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7.5-14 王城代替施設14

「・・・狩人殿?お主は、一体何を言っておるのじゃ?そんな非科学的なものが、この世界にあるわけがなかろう」


そんな自分自身の存在を否定するかのような支離滅裂発言を口にしたのはテレサである。

どうやら彼女は、遠くの空に浮かんでいたワルツに釘付けだったせいで、ダガーを抜いた狩人の方を直接見ていなかったためか、狩人が本気の表情を浮かべていることには気づいていなかったようだ。


一方、イブの方は・・・


「そ、そ、そ、そうかもだし!!そんなわけの分からないものが、近くにあるわけ・・・」


そこまで言ってから、急に彼女の耳元で、


『・・・ぐすっ』


という鼻を(すす)るような音が聞こえてきたために・・・


「うひゃんっ!」ビクゥ


と、思わず飛び跳ねるほどに、驚いてしまったようだ。

彼女は幽霊のことを信じていないようだが・・・だとすればその行動には、一体どういった理由が含まれていたというのだろうか・・・。


「ど、どこ?!」


「後ろだ後ろ!」


「う、後ろ・・・・・・?」


狩人に後ろだと言われて、ゆっくりと振り向き・・・そして固まるイブ。


・・・だが、


「・・・・・・あれ?」キョロキョロ


そこには、彼女が恐れているような、幽霊の姿もカタリナの姿も無かったようである。


「・・・狩人さん、もしかして、イブたちのこと騙そうとしたかもでしょ?」


「いや、今も、イブの目の前にいるって!」


「眼の前って・・・どこにもいないじゃん・・・」


狩人の様子には、どこか必死な色が含まれていたが、イブは元から幽霊を信じていなかった(?)せいか、素直に狩人の言葉を受け取ることが出来なかったようだ。


そんな彼女の態度に、(ごう)を煮やしたのか・・・


「・・・くっ!」ズサッ


まるで、いつ爆発するかも分からない爆弾へと対処するかのように、狩人はその眼に映っていた()()()へ向かって突進し・・・そして迷わず切り込んだ。

そして狩人のダガーが当たった瞬間、


バキン!


と音を立てて、真っ二つに切り裂かれる赤い珠。


この時点まで、イブたちからは何も見えていなかったようだが・・・急に辺りに鳴り響いたガラス球の割れるような音には、流石に気づいたらしく・・・


「・・・?!」


「む?誰かガラスでも割ったのかの?」


2人とも、この時点でようやく、自分たちの後ろに迫っていた幽霊(?)の存在に気がついたようだ。


・・・その直後、狩人によって切断された赤い珠が、2人の眼にも分かるように姿を現した。


「む?なんなのじゃ?これは・・・」


「・・・こ、これっ・・・前に飛竜ちゃんたちと一緒に探してたやつかも!お城には無かったけど・・・どうしてこんなところに・・・」


その赤い珠を初めて見たためか首を傾げるテレサと、一方で、その珠について何か知っている様子のイブ。

そんな2人の内、メイド姿のイブの反応を見た狩人は・・・驚きを隠せない様子で問いかけた。


「い、イブ・・・お前、コレの正体を知っているのか・・・?」


そう口にする狩人が、赤い玉を切り裂いた今でも、驚いていたような表情を浮かべているのは・・・なにも、イブが幽霊の正体について何か知っていそうだったから、というわけでも、実は自分の知らないところで調査が入っていたことを初めて知ったから、というわけでもない。

イブの言葉を逆に考えれば・・・自分が先日まで住んでいた王城の中に、もしかしたら幽霊が住み着いていたかもしれない・・・ということになるのである。


彼女にとっての幽霊が、いったいどのような存在なのか、それは彼女自身にしか分からないが・・・知らず知らずのうちに、幽霊と同棲していたかも知れないというその可能性を、狩人は生理的に受け入れられなかったようだ・・・。


・・・一方。

イブの方は、赤い珠の正体が何であるのかまでは分からなかったようだが、少なくとも幽霊ではないことを知っていたために、安堵した表情を浮かべながら胸を撫で下ろしていた。

それから、狩人の問い掛けに対して、首を傾げながら話し始める。


「んー・・・アトラス様やシラヌイちゃんの話によると、誰かが覗きをするための魔道具かもだ、って言ってたかも?」


「覗き・・・?」


「うん!仲間の中に、『とくしゅせーへき』を持った人がいて、その人がみんなの行動を、この魔道具を使って覗いているかもだってさ!(・・・んー、確かそんな感じ)」


そのイブの一言に・・・


「・・・いや、妾ではないのじゃぞ?」


と、誰も問いかけてもいないのに、反応を返すテレサ。

今もなお、ワルツのことを、草の陰、木の陰から覗いている彼女には、どうやら何か後ろめたいことがあったようだ・・・。


・・・ただ、イブの方は、最初からテレサの事を疑っているわけではなかったようである。


「うん、分かってるよ?だって、テレサ様、魔道具で満足できないから、こうして直接、覗きに来てるかもなんだよね?」


「なんと人聞きの悪い・・・。別に、覗いておるわけではないのじゃぞ?もしも妾が現場に直接姿を見せれば、皆、妾が来たからといって、作業を中断してしまうかもしれぬ、とは思わぬか?じゃから、全てを統括する者として、皆に迷惑を掛けぬよう、身を隠しながら作業状況の確認をしておるのじゃ」


「ふーん・・・」


「・・・なんじゃその反応。さては、お主、納得しておらぬじゃろ?ルシア嬢もそうじゃが、たまにワルツもユリアも、みーんな同じ視線を妾に向けてくるから分かるのじゃ!」


『・・・・・・』


テレサの言葉を聞いて・・・色々と言いたいことはあっても、言ったら言ったで、どんどんとテレサに対する評価が音を立てるように崩壊していくような気がして、口を噤んでしまう2人・・・。


しかし同時に、このまま黙っていたら、幽霊の存在云々以前に、居心地の悪い雰囲気が立ち込めそうな気がして・・・狩人は呆れたように深くため息を吐くと、地面に落ちていた割れた赤い珠に視線を向けながら、口を開いた。


「・・・それで、コレ、どうするんだ?」


「放っといても良いのではないかのう?どうせ、仲間の誰かのモノじゃろう?覗きぐらい放って・・・あー・・・まーたワルツがルシア嬢と一緒に、何処かへと行ってしまったのじゃ・・・」がっくり


「・・・えっと、前にアルクの村とかいうところに行った時は、飛竜ちゃんが握りしめて壊して・・・それっきりだったかもだね。この際だし、持って帰って『コレ誰の?』ってみんなに聞いて回っても良いかも?」


「・・・そうだな。じゃぁ、持って帰るか」


そう言って、割れた赤い珠を掴もうと、手を出そうとする狩人。

その際、彼女がわざわざ手袋を身に着けて、直接触ろうとしなかったのは・・・まだ、その赤い珠が幽霊かもしれないと考えているからだろうか・・・。


・・・しかしである。

狩人の手が、その珠に対して触れるか否かのタイミングでの出来事であった。


フッ・・・


2つに分かれていた赤い珠は・・・まるで空間に溶けるようにして無くなってしまったのである。


『・・・・・・』


その様子を見て・・・どう反応をすれば良いのか分からず、手を差し出したままの姿で固まる狩人と、死んだ魚のような視線を珠があった場所に向けるイブ。

なお、テレサは、辺りの空にワルツの存在を探していたらしく、珠が消えた肝心の瞬間を見ていなかったようだ・・・。


・・・その結果、


『うぎゃぁぁぁぁ?!』


狩人とイブは、突然叫び声を上げて、一目散に、その場所から走り去ろうとした。

その際、狩人が、テレサの事を担ぎあげて、イブの手を引っ張って走っていこうとするのだが・・・担ぐことを考えるなら、本来は背の小さなイブを担いだほうが楽なはずなのに、イブよりも()()()()背の高いテレサの事を迷わず担いだのは・・・やはり、彼女がこの国の議長だったためか、それとも・・・。


いずれにしても狩人は、心の傷を癒しに来たはずの小川で、逆にダメージを負って、帰ることになってしまったようだ。




・・・その後、誰もいなくなったはずの森の中では・・・


『・・・ぐすっ・・・』


そんな、誰かがすすり泣く声が響き続けていた。

ただ、その声を聞いた者は、魔物を含めて誰ひとりとしていなかったようだが・・・。

率直に言うのじゃ?

・・・急いでおる。

じゃから、勇者がなんたるかを適当に説明して、今日もさっさと、あとがきを書き終えてしまうのじゃ。


・・・と言っても、いつぞやに神の説明をした際に、勇者についての説明も一緒にしたような気がする故・・・ここは、エンデルシアの勇者レオナルドが、エンデルシア国王であるアルコア=エンデルスから授かった命について説明するのじゃ?

勇者レオナルドが、いっそのこと捨てようと考えておる、己の任務についての話なのじゃ。


・・・早い話が、『とある魔王』を暗殺してこい、というのが、勇者殿に任せられた任務だったのじゃ。

RPGなどでよくあるパターンなのじゃ?

それが一体誰なのかについては、そのうち本文の方で出てくるはずじゃから、ここで説明はせぬが・・・以前、彼と、魔法使いのリア殿のことを捕まえた魔王アルタイルにより、彼らの記憶は書き換えられておって、今は『魔王シリウス』・・・つまりユキ殿のことを暗殺してこい、という偽りの命だけが記憶に残っておるようなのじゃ。

以前、そのことを、ワルツが指摘しておったのじゃ?


じゃから、勇者レオナルドは・・・『勇者』であることが嫌になってしまったのじゃ。

正義感の強い彼は、無関係な魔族まで傷つけるつもりはなかった上、幼なじみのリア殿を、誰かに踊らさせることで失ってしまうことも避けたかったようじゃのう。

・・・というか、単に、ワルツやカタリナ殿に文字通り魔改造されたユキ殿の戦闘力を見て、勝てない・・・と思ったんじゃろうのう・・・。


まぁ、そんなこんなで、勇者殿は『勇者』を辞めたくなってしまったのじゃ。

・・・こんな適当な感じでいいかのう?

あまり詳しく説明すると、今後の執筆活動に影響が出てしまうのじゃ!


で、次回の質問は・・・

『・・・ねぇ、テレサ様〜?エネルギアの中って、どうなってるの?』

『あらあら、この子ったら、国の一番偉い人に質問するなんて・・・将来が楽しみね』

『俺みたいに育つんだぞ?』

『・・・アナタはいい加減、定職につきなさいよ・・・』

という、王都民を代表する家族からの質問なのじゃ?



それはさておいて・・・。

・・・今、狩人殿のことを描いておるところなのじゃが・・・狩人装備とは、一体どのようなものなのじゃろうか・・・。

大体は仕上がっておる故、できれば、今日あたりアップロードしたいところなのじゃが・・・服が・・・服が描けぬのじゃ・・・!

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