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7.5-09 王城代替施設9

「いやー、随分と大量に掘ったわねー」


「うん!マグマが地面から吹き出すくらい、地下深くまで掘ったからね!」


「ホント、魔法ってすごいわ・・・」


「でも、掘ってたのって、ほとんどお姉ちゃんだよね・・・」


すごいのは果たして、科学(あね)なのかそれとも魔法(いもうと)なのか・・・。

王都上空に戻ってきたワルツとルシアは、雲の上に浮かべていた巨大な素材の塊に目を向けながら、お互いの行動を思い出して、そんな会話をしていたようだ。


2人が鉱物の採掘を行ったのは、かつてルシアがモノリス(?)を作り出す際に材料にした火山・・・のあった場所であった。

そこには、大きな火山の姿は跡形もなく無くなっていたが、地下から滲み出るようにして湧き出ていたマグマが、まるで傷を治すようにして、徐々に新しい火山を形成しつつあり・・・おそらく何百か何千年後かには再び元と同じような大きさ火山に戻るのではないか、ということを(うかが)わせるような、活発な噴火活動だけは残していたようである。

・・・まぁ今回、ワルツたちが傷口を掘り返すように採掘を行ったことで、それが何千年どころではなく・・・もしかすると数日で元通りになってしまうほどに、活性化してしまっていたようだが・・・。


そんな火山跡地(?)で、彼女たちが再び採掘活動を行ったのは・・・やはり、地下深くから噴き出しているマグマに含まれる物質が欲しかったから、という理由からだった。

単に鉄やシリコンなどの、どこにでもある物質を採掘するなら、王都の近くの地面を掘っても採掘できるのだが、ニッケルやクロムなどの重金属を収集することを考えるなら、惑星のマントル近くから吹き出すマグマなどから抽出したほうが、圧倒的に効率が良かったようである。


その結果、ワルツは荷電粒子砲を連射して火山跡地の地面を掘り返し・・・そして粉々になった地面を岩盤ごと重力制御で空中に浮かべて・・・。

ルシアがそれを火魔法で加熱して溶融させて、一つの塊にしたのである。


こうして、第二のモノリスとも言うべき、不純物を大量に含む素材の塊が出来上がって・・・それを彼女たちは王都の上空まで持った、というわけだ。


「でさ・・・。コレ、どこに置こうかしらね?」


「えっ・・・考えてなかったの?」


「いやー、適当に掘ったはいいけど、気づいたら夢中になって掘りすぎてたっていうか・・・」


「・・・だと思った」


一辺が1km以上ありそうな、未だ赤熱している巨大なサイコロ状のソレに眼を向けながら、そんないつも通りの会話を交わす2人。

そんな材料の周囲からは、まるで真夏の空に見るような激しい積乱雲が立ち上り、所々で紫電を発生させていたようである・・・。


「んー、じゃぁ、とりあえずは、あの樹の上とかに置けばいいんじゃないかなぁ?」


そう言って、3日前に、突如として王都近隣に生えてきた世界樹(?)に眼を向けるルシア。


今ではその樹の成長も止まり、高さ1km、直径3km程度の青々と茂る大樹へと成長していた。

比率を考えるなら、盆栽か何かの上に、積み木のブロックを置くようなものなのだが・・・


「置いたら多分・・・熱すぎて燃えるんじゃないかしらね?それに重さに耐え切れずに落ちてくると思うし・・・」


ワルツは頭の中で、物理シミュレーションを行ったらしく、その結果を予想しながら、ルシアに対してそう答えた。

まぁ、その結果によると、燃え盛る世界樹(?)の枝が、上空から王都へと落下する前に・・・赤熱したモノリス(?)が、世界樹(?)ごと、町を潰してしまったようだが・・・。


・・・ただ、どうやら、悪いことばかりではなかったようである。


「あ、でも、ちょうどいいわね」


と、口にするワルツ。

もちろん、町が滅びてしまうことが、ちょうどいい・・・というわけではない。


「金属の精錬に、大量の木材が必要だったけど・・・あんだけ生命力の強い植物なら、遠慮無く枝を伐採して、還元用の木炭にできるわね」


もしも、1km立方にも及ぶ大量の鉱石の還元を、木炭を使った普通の方法で行うとするなら・・・それこそ、ミッドエデンに生えている木々を、片っ端から伐採しても足りない可能性があったのである。


しかし、運が良いというべきか、悪いというべきか・・・。

ワルツたちの工房を破壊してしまった世界樹(?)がそこにあったおかげで、その問題が一気に解決してしまうかもしれないのだ。


切っても切っても、延々と生えてくる、まるで雑草のような木材・・・。

金属の精錬を行うワルツたちにとっては、まさに、夢の様な材料であると言えるだろう。


「お姉ちゃん・・・もしかして、それが分かってて種を植えたの?」


「・・・もしもそうなら、わざわざ工房の中に植えたりなんかしないわよ・・・」


「・・・それもそっか」


ルシアは、脳裏に浮かんできたそんな疑問を姉に問いかけた後で・・・話を再び、最初の話題へと戻した。


「それで・・・どこに置こっか?」


「問題はそれよね・・・。って、今更なんだけどさ・・・別に王都に持ってこなくても良かったんじゃないかなー、なんて思ったりして・・・」


「じゃぁ、元の場所に戻してくる?」


「下手な場所に置いたら、人や畑を潰しちゃうかもしれないから・・・置いてきましょうか?」


「うん。わかった。じゃぁ・・・あの溶岩が噴き出しているところにおいてこよっか?蓋の代わりになるから、ちょうど良いかもしれないね?」


「う、うん・・・。ま、いっか・・・(なんか、マグマが接着剤代わりになって、置いたが最後、二度と取れなくなるような気がしなくもないけど・・・)」


そう頭の中で考えながら、いま来たばかりの方向を振り向くワルツ。


・・・その際・・・


「・・・?なんか・・・王都から、いやらしい視線を感じるんだけど・・・気のせいかしら?」


「えっ?変態さんがいるの?」


「んー、よく分かんないけど・・・そんな気がするのよね・・・」


ワルツとルシアは、そんなやり取りをして、その怪しげな視線を向けてくる者が何者なのかを突き止めようか、と相談していたようだが・・・手元にある巨大な荷物をどうにかしないかぎり、何も行動できないという結論にたどり着いたようで・・・彼女たちは、その視線の出処を確認せずに、その場から立ち去っていったのであった・・・。




・・・一方。

その怪しげな視線が飛んできた王都では・・・


「のわっ・・・!な、なんということなのじゃ!?」


変身することも忘れて、地面に膝をつき、両手で頭を抱えながら・・・蒼白な表情を空に浮かぶモノリスへと向けていたテレサの姿があった・・・。


市民たちには、彼女のその様子が・・・まるで、この世の終わりを告げるようにして現れた、夕日に浮かぶ怪しげな物体に対して、恐怖し、戸惑い、絶望しているように見えたようで・・・


「あ、あのテレサ様が、恐怖しておられる・・・!?」

「こ、これは一大事じゃぞ!?」

「世界が・・・終わるのか・・・」


などと、恐慌状態に陥りかけていたようだ。

・・・まぁ、実際には、


「帰って来たと思ったら、まーたワルツがどこかに行ってしまったのじゃ・・・」


と、町から離れていくワルツ・・・もとい、その近くにいたルシアの魔力を感じ取って、単に嘆いていただけなのだが・・・市民の中に、それを知っている者は、いなかったようである・・・。

・・・まぁ、彼女の後ろで、大きな欠伸(あくび)をしていたメイドは、例外だったようだが・・・。

今日も眠いのじゃが・・・少しだけ嬉しいことがあった故、モチベーションは下から2番目くらいを推移しておるのじゃ?

・・・え?嬉しいことがあったのに、モチベーションが低い?

・・・じゃぁ言い換えるのじゃ?

モチベーションは上から2番目くらいなのじゃ!

つまり・・・普通ということじゃのう・・・。

もう駄目かも知れぬ・・・。


まぁ、そんなことはどうでもいいのじゃ。

で、嬉しいこととは何なのかというと・・・例の液晶ペンタブレットの返品が終わって、新しい品が送られてくることになったのじゃ!

てっきり、お盆休みに突入してしまうかと思っておったのじゃが、どうやらそれは避けられる見通しになったのじゃ!

これでお盆休みは、いんどあ派の台頭する時代がやってくることになったのじゃ!

・・・そして体重が増えていゆくのじゃ・・・。

やっぱり、駄目かも知れぬ・・・。


さて。

補足に入ろうかのう?

と言っても・・・今日も朦朧とした頭で考えておった故、補足すべきことはないのじゃ。

むしろ、補足すべきことを思いつかぬ、というべきかも知れぬのう・・・。


そんなわけで、今日は早く眠ろうと思うのじゃ。

まぁ、どうせ、寝付けないベッドの中で、明日のネタを考えるんじゃがの・・・zzz。

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