表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
506/3387

7.4-04 王都のお祭り4

ヤブから出て来た蛇のように、コルテックスがアトラスに絡んで・・・そして、弟から邪険に扱われた彼女が、何処かへとその姿を消した後。

アトラスたち4人は、関係者以外立入禁止な部屋や廊下を重点的に、王城内の調査を続けていた・・・。


そんな中、通路の角を曲がって、彼らが妙に長い廊下に差し掛かった時・・・何故か嫌そうな表情を浮かべていたイブが、不意に口を開く。


「・・・正直、思ってたのと違って、つまんないかも・・・」


あまりに何も起こらなすぎたためか・・・それとも、王城の中が探検できるほどに複雑ではなかったためか・・・。

何れにしても、ミッドエデンの王城には、彼女が期待していたほどの刺激は無かったようである。


そんなイブの呟きに対して、先頭を歩いていたアトラスが、苦笑を浮かべながら返答した。


「すまないな、イブ。暇だろう?テレサたちのところに、遊びに戻ってもいいんだぜ?」


問題の魔道具が見つからない事自体は喜ぶべきことなのだが、それは言い換えれば、王城の中をただ歩くだけ、とも言えたので・・・幼いイブには暇だろう、とアトラスは考えたようだ。

しかし、当然というべきか・・・イブは、首を振ると、アトラスに向かって言葉を返す。


「ううん。戻らないもん。ドラゴンちゃんが頑張ってるのに、師匠(ししょー)のイブが、遊びに行きたくて戦列を離れるとか、ありえない話かもだからね。そんなんじゃ、勇者(ゆーしゃ)を倒す魔王(まおー)軍のメンバーになれないかもなんだから」


「そうか・・・。まぁ、頑張ってくれ。でも無理はするなよ?おやつが欲しくなったら言ってくれよな」


「こ、子供扱いしないで欲しいかも!・・・おせんべいある?」


・・・そんなやり取りをしながら、アトラスが偶然持ち合わせた醤油煎餅を皆で頬張りつつ、廊下を歩いて行く4人。

全員で美味しそうに煎餅をかじりながら廊下を歩いてく、平均身長の低い彼らの姿が・・・社会科見学に来て、運悪く王城の中で迷った子どもたちのように見えなくもなかったのは・・・恐らく気のせいでは無いだろう・・・。




・・・それからしばらくして。


「・・・なんか、()せないかもだし?」


比較的人通りの多い大きな廊下から、狭く小さな廊下に入ったところで、再びイブが呟いた。


「・・・どうしたんだ?今度は・・・」


これまで通過してきた王城内の様々な部屋・部署で、そこにいる職員たちが、何故か皆、嬉しそうに菓子を渡してきたことが気に食わなかったのか・・・。

子供扱いされるのが嫌いなイブのことを知っていたアトラスは、そう考えて問いかけた。


・・・しかし、どうやら、そういうわけではなかったようである。


「んー・・・口に出すのが難しいんだけど、ここには無いって、気がするんだよね・・・。あ、このおまんじゅう、おいしいかも?」もぐもぐ


「・・・どういうことだ?」


「・・・直感、っていうのとも違うんだけど、あの赤い珠って、本当に魔道具だったのかなぁ、って思った?」


「・・・すまん。俺は直接見たわけではないから、どんなものだったのか詳しく知らないんだが・・・聞いた話によると、宙に浮かぶ赤い水晶のような球体だった、っていう話だよな?姉貴たちの話を聞く分には、魔道具としか思えなかったんだが・・・」


アトラスとイブが、赤い球体の見た目についての話を展開していると、アルクの村で直接球体を目撃していた飛竜とシラヌイが、それぞれ口を開く。


「すいしょう・・・というものが、どういったものなのか、よく分かりませぬが、我には宙に浮かぶ『赤い目玉』のようなものに見えたのでございます」


「見た眼は真っ赤な水晶でしたよ?割れても中から血が吹き出すとか、大変なことにはなってなかったですし・・・」


と、2人がそう口にした後、今度はイブが、腕を組みながら考えを口にし始めた。


「でもさー、おかしいと思わない?ワルツさまに連れられて、あの地下の施設に入ったんだけど、入り口のところに、パズルみたいな鍵みたいな・・・なんかよく分からない扉がついてたかもだよね?でも、鍵の複雑さや、ホコリの溜まり具合から考えると、誰かがあそこに入って、覗き用の魔道具を設置した、っていうのは考えにくいかもなんじゃないかなぁ。そう考えれば・・・あれは生き物だったんじゃないかなー、って思ったんだよねー」


『・・・・・・』


イブのその言葉に、眼を細めて考えこむ飛竜とシラヌイ。

赤い球体が()()()()()()魔道具だとすると、誰かがアルクの村の地下工房に立ち入って魔道具を直接設置したことになるのだが・・・イブの話を聞く限りでは、それはありえない話ではないのか、と彼女たちは考え始めたようである。


しかし逆に、赤い球体が()()()()()生物である可能性もまた、考え難かった。

特に、球体を握りつぶした飛竜の手には、その際の無機質な感触が今でも残っていたので、生物では無いと断言出来たようだ。


・・・その結果、飛竜は一つの結論にたどり着く。


「・・・うむ。これは魔道具が・・・自ら歩いてそこにやってきたとしか考えられぬ」


「いやいやいや・・・カリーナ。その考えは、少し乱暴なんじゃないか?」


「しかし、アトラス殿。人の入った痕跡のない部屋の中に、球体が浮かんでいたのですぞ?なれば、自ら入ってきた以外に考えられ・・・・・・あれ?締め切られていたというのに、一体どうやって入ったのだ・・・?」


「・・・だよな」


まさかの『名探偵飛竜』が始まるかと思っていると、意外にもすぐに破綻してしまったことで、すこしだけ残念に思いながら、小さくため息を吐くアトラス。

・・・しかし、彼女の代わりに一つの答えに辿り着いた者が、そこにはいたようだ。


「・・・?!こ、これh」


「分かりました!」


何かに気づいた様子のイブ・・・を差し置いて、はっとした表情を浮かべながら声を上げたのはシラヌイである。

彼女は、アトラスに対して手を上げながらアピールすると、少々もったいぶりながら、言葉を続けた。


「つまり、アレを施設の中に設置した犯人は・・・身内の中にいる!ということですね?」


「いや、それは分からないが・・・まぁ、可能性としては一番高いかもな」


「ですよね!そうですよね!」


と、ようやくアトラスの役に立てたと思ったのか、自身の手を合わせながら、満面の笑みを浮かべるシラヌイ。

その影で、


「(さ、先を越されたかもだし・・・)」


と、イブが眼を細めながら、口の形だけで呟いていたのは・・・まぁ、気のせいだろう。


それからアトラスは、何かを考えこむようにして顎に手当てると・・・しばらくの(のち)、その結論を口にした。


「・・・誰が何のために設置したのか分からない以上、見つけたらとりあえず、一箇所にまとめておこう。例え、それが生き物だったとしても、な。見つからなければ・・・まぁ、見つからないでいいと思うんだ。で、城内の調査が一通り終わったら、今度は犯人探しをしよう。シラヌイが言ったように、まずは仲間に対する聞き込みからだな。球体の正体について断言できることが無い以上、当面の方針としてはこれが妥当だと思うんだが・・・それでいいか?」


「はい!」

「うむ。承知した」

「う、うん。・・・仕方無し、かもだね」


と、口々に同意の言葉を上げる3人の仲間たち。

それから再び4人による、王城内の魔道具(?)探しが再開したのであった・・・。

ただし、行く先々で・・・職員たちが振る舞ってくれる甘いお菓子を少しずつ貰いながら・・・。

ん゛ー、いいネタが思い浮かんでこなかったのじゃ・・・。

球体の正体に関しては、ちゃんと考えてあるのじゃが・・・スイーツフェスと球体を結びつける要素が思いつかなかったのじゃ。

別に語らねばならぬネタが有る故、無理に結び付けず、バラバラに語っても良いかのう・・・。

まぁ、まだ遅くない故、考えついたら採用しようと思うのじゃ。


さて。

明日は、とんでもない時間に早起きせねばならぬから、今日もさっさと補足を書いて、御暇させてもらうのじゃ。

今日は2つ、なのじゃ?


まずは・・・球体がもしも魔道具だった場合の設置方法についての追記なのじゃ。

・・・転移魔法を使えば、設置できるのではないか、と言う話なのじゃ?

これのう・・・実は無理なのじゃ。

前にも話したかも知れぬが、一般的な転移魔法は、術者が一度でも行ったことのある場所でなくては、使うことが出来ぬのじゃ。

あるいは、ロリコンたちが使っていたような、空間制御魔法による擬似転移魔法という手もあるかも知れぬが・・・こちらの方法だと、魔法を行使した先に、空いた空間が無ければ、いしのなかにいる状態になってしまう故、使うことが出来ぬのじゃ。


・・・つまり、どちらの方法であっても、そこにワルツたちが作った工房があることを知らねば、魔法を使って送り込むことは出来ぬ、ということなのじゃ。

じゃが・・・誰かが工房に侵入した痕跡は無いのじゃ?

それに、ワルツが工房に見知らぬ不特定多数の者を連れ込んだこともないのじゃ?

となると、必然的に・・・今日の本文の内容のような話になる、というわけなのじゃ。

・・・こんな感じで転移魔法の話を書こうと思ったんじゃが、複雑になりすぎた故、省略してしまったのじゃ。

この話の真相については・・・もうしばらく(2ヶ月くらい?)先で明かされる予定なのじゃ?


で、次。

イブ嬢の一人称について。

これについては、以前に思わせぶりなことを書いて、結局、詳しく説明しなかったと思うのじゃが、ここでちゃんと説明しておこうと思うのじゃ。


当初、彼女の一人称は『私』だったのじゃ。

これはのう、早く大人になりたいと思うイブ嬢なりの考えがあって、そう言っておっただけなのじゃ。

本当の一人称は『イブ』なのじゃ。

父親や親しい者の前では、こちらを使う、というわけなのじゃ?

・・・という、言い訳を述べておくかもだし、なのじゃ・・・。

まぁ、細かいことは気にするでない!


今日も駄文ばかりじゃったから、補足すべき点は以上なのじゃ。


で・・・どうしようかのう。

ここから先は・・・意味不明な次回予告ではなく、昨日、チラッと言った、イブ嬢の質問に答えるコーナーでもやろうかのう?


確か昨日の質問は・・・王城3階にある他の部屋の高さが場所によっては10m以上あるというのに、同じ階にある妾の寝室は何故天井が低いのか、という質問だったはずなのじゃ。

これはのう・・・一度、広い場所で寝れば分かると思うのじゃが、広いと不安になってくるからなのじゃ?

恐らく、生物学的にも、その辺の人の習性については、研究がなされておるのではなかろうかのう?


・・・まぁ、要するにじゃ。

寝室の天井があまりに高いと、不安になってよく眠れぬから、天井が故意に下げられておる、というわけなのじゃ。

なお、この天井裏には、物置があったりなかったりするのじゃが・・・その辺は機会があったら説明しようと思うのじゃ?


というわけで、次回の質問は・・・

『ミッドエデンの周りにある小国って、いったい何個あるの?説明が面倒くさくなって省いてるんじゃないの?テレサちゃん?』

・・・というルシアからの質問なのじゃ・・・。

乞うご期待?なのじゃ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ