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7.3-16 メルクリオの影3

ブレーズに対して、猛烈な勢いで往復ビンタしていたエルメスが、呆れたカノープスに連れていかれた後。

更には、エネルギアの船内に乗った瞬間から、何故かプルプルと震え始めて、神妙な面持ちになっていたブレーズに、ワルツが一通り艦内の紹介を終えた後で・・・。


王城にいるストレラから朝食の誘いを受けたワルツたちが、王城の中にあった妙に奥行きのある部屋(謁見の間?)へと呼ばれて、そこに運び込まれていた全長20mほどの長机の一角に腰を下ろすと・・・


「・・・で、結局、何しに来たの?」


・・・先に席についていた仲間たちの、その一番奥に座っていたストレラが、おもむろにワルツへと問いかけた。


「何しに来たか・・・。・・・哲学ね」


「んなわけ無いでしょ!」


メルクリオに半強制的に派遣されて、日夜働き続けているストレラの問いかけに対して、まさか、休暇の途中で立ち寄った、などと正直に答えられなかったワルツは、無理にごまかそうとして・・・失敗した。

まぁ、ごまかそうとしていたかどうかすら怪しい発言だが・・・。


そのせいで額に青筋を立てながら声を荒げていたストレラに、今回の旅の目的を説明したのは、言葉足らずに定評のあるワルツ・・・ではなく、初めての休暇を謳歌(?)していたコルテックスであった。


「ここに立ち寄ったのは、冷やかしのためですよ〜?」


「あら、そうだったのね。ならコルテックス?今から新しい法律作るから、あんた死刑ね」


「そうですか〜。GDPがたかだかミッドエデンの1/5にしか及ばない小国の姫が、大国の議長をどうにかできるとでも思っているのですか〜?」


「いつの間に、GDPが5倍近く増えたのよ・・・」


「もちろん、この1ヶ月で、ですよ〜?」


「・・・・・・」


明らかに経済的にチートしたとしか思えないような速度で成長するミッドエデン経済の事を聞いて、思わず言葉を失うストレラ・・・。

このままの計算でいけば、1年後のGDPは今から更に増えて、244140625倍(5の12乗)になっていることだろう・・・。


そんな急激な成長の終着点に何があるのか分かっているためか、これ以上の急激な経済成長を抑えるつもりでいたコルテックスは・・・それ以上、この話に触れることなく、話題を変えて話し始めた。


「まぁ、そんなことはどうでもいいのですよ〜。問題は・・・お姉さまが、どこの馬の骨とも分からないような男をここに連れ込んだことです」


「え?彼、この国の議長(エルメス)の息子のブレーズだけど?それとも・・・シルビアの兄って言ったほうがいいかしら?」


「・・・・・・」


意外にも簡単にどこの馬の骨か分かったためか、眼を細めたまま固まるコルテックス。


そんな折、席に着かずにワルツの後ろに立っていたブレーズが、今が自身の口を開くべきタイミングであると察したのか、その場にいた女性ばかりの一団に対して口を開いた。

雰囲気的には、自己紹介をすべき空気のはずなのだが、普段から口の汚い彼がマトモに自己紹介を始めるわけもなく・・・


「女しかいねぇ・・・」


彼はその場にいた少数の男性たちを無視して、そんな感想を口にした。


「いや待て!俺がいる!」

「俺もいるんだが・・・」

「・・・・・・そうか」


その結果、『サンドバッグ』と書かれたTシャツを来ていたアトラスと、何故か真っ黒な甲冑を身にまとっていた剣士、それに国王のカノープスが抗議の声を上げる。

内、アトラスの顔に、何やら爪で引っ掻いたと思わしき細い線状の傷が大量に付いていて、彼の向かいに座っていた犬の獣人のイブが、まるで怒った猫のように『フーフー!』と声(?)を上げていたところを見ると・・・どうやら彼は寝起きのイブに、変態と間違われて襲われてしまったらしい・・・。


一方、剣士の方に目立った傷は見られなかった。

どうやら彼の場合は、意図せず身に着けている絶対防壁(エネルギア)に守られた結果、無傷でいられたようだが・・・不運にも襲われたはずのアトラスよりも、更に疲れたような表情を浮かべているのは、果たして何故なのだろうか・・・。


「これは失礼・・・。俺の他にも男が1人と、国王が1人。それに、ガキも1人いたか」


「よーし!新入り、表に出ろ!コルテックスじゃないが、ボッコボコに教育してやるぜ!」


と、ガキと呼ばれたことに腹を立てた様子のアトラス。

・・・というよりも、新しく入ってきた仲間が男性だったために、実は喜んでいた、とも言えるかもしれないが・・・。


するとその直後・・・どういうわけか、コルテックスが椅子から立ち上がって、シャドーボクシングを始めながら、こんなことを言い始めた。


「では、兄の代わりに、妹である私が、小手調べとしてギッタンギッタンにさせていただきましょう」ブンブン


「えっ・・・」


男同士のノリ(?)で、拳を使った肉体言語を交わそうかと思っていると、本当に流血の騒ぎに発展させてしまいそうな人物が名乗り出て来たことで、言葉に詰まってしまうアトラス。


そんな彼の顔色が急激に青くなっていく様子を見たブレーズは・・・コルテックスから染み出す言い知れぬ気配を感じ取ったのか、それ以上、軽口を叩くことなく、ようやくまともな自己紹介を始めたのであった・・・。




その後でワルツが、ストレラに対し、申し訳無さそうに今回の旅の目的をしっかりと説明して、彼女から無言のプレッシャーを受けつつも、一定の理解をしてもらってから・・・。


「・・・そんなわけで、食事が終わったら、これ以上邪魔するのも何だから、出発させてもらうね」


ワルツは、今もなお混乱状態に陥っているだろう城下町カロリスの事を考えて、街に立ち寄らずに、このまま出発することを皆へと切り出した。


すると・・・


「そうか・・・。王都(カロリス)には寄って行かないのか・・・」


お誕生日席(?)に座っていたこの国の王であるカノープスが、どういうわけか残念そうにそう口にする。


「ん?なんかあったの?」


この国に立ち寄った仲間の中から『滅多に来ることのない国なのだから観光がしてみたい』という異論が出るかもしれないことについては予想していたワルツだったが、彼女はまさかこの国の王であるカノープスからそれに似たような言葉が飛んでくるとは思っていなかったらしく、思わず聞き返してしまったようだ。


ワルツの問いかけに対して、カノープスは・・・


「いや、特別な理由があったわけではないが、せっかく来たのだから、立ち寄ってもいいのではないか・・・と思っただけだ」


と、何も無いとは言いつつも、どこか悲しげに眼を伏せてしまう・・・。


そんなカノープスに対して、その場にいた者たちの中で、誰よりも彼と長く時間を共にしていたストレラが・・・


「全く、どっかの誰かと同じで、素直じゃないわね・・・」


ため息を付きながら、呆れた表情を浮かべてそう口にする。

そして彼女は、素直ではないカノープスの代わりに、その心中を察して吐露を始めた。


「・・・どーせ、姉さんたち暇なんでしょ?だったら、街の様子でも見て行きなさいよ。お父様が1ヶ月間頑張ったその成果くらい、見ていってもいいんじゃないの?」


と、自身の成果については触れずに、カノープスの成果を前面に押し出すストレラ。


そんな彼女の言葉に、ワルツは一旦眼を閉じると・・・その眼を再び開いた際、口も開いてこう言った。


「・・・そうだったわね。でもいいの?朝になって、エネルギアが停泊している姿を改めて見た市民たちが、再び恐慌状態に陥って暴れてるかもしれないわよ?」


「そんな世紀末な展開、あるわけないじゃない・・・。四の五の言ってないで、大人しく見て行きなさいよ?できれば、朝食に誘ってもエネルギアの船内に引き籠もって出てこないカタリナやテンポ姉さんたちも誘ってね」


「そうね・・・」


船内に籠もって、完全に研究の虫と化しているカタリナと、その補佐についているテンポ、そして、ストレラには面識のない新入り研究員(?)のユキにも、折角の機会なのだから、街の観光を楽しんで行ってもらいたい・・・。


そんなストレラの言葉に含まれるだろう副音声を考えながら、どうやって引きこもるカタリナたちを説得して、外に連れ出そうか・・・ワルツが、そう考えている時のことであった・・・。


『んぐっ?!』


剣士が・・・いや、彼が纏っていたミリマシンのエネルギアが、食べることのできない食事を摂っていたわけでもないのに、喉に何かをつまらせたような・・・そんな苦しそうな声を急に上げたのである。


「・・・どうした?」


普段とは異なるエネルギアの苦しそうな声に気づいて、自身の身体に張り付くエネルギアに声を掛ける剣士。

・・・その瞬間である。


ドゴォォォォン!!


と大きな音と振動が王城全体に鳴り響いて、机の上に乗っていた燭台や皿が床と落下したのだ。


そして・・・床へと落下したのは、机の上のものだけではなかったのである。


「エネルギア?!」


自身の身体から、まるで磁石でくっつけていた砂鉄が崩れるように、さらさらと崩れ落ちてしまったエネルギアの姿を見て、声を荒げる剣士。

どうやら、王城の上に停泊するエネルギアの船体で、何か問題が起こってしまったようだ・・・。

ゆっくりと書く時間が欲しいのじゃ・・・。

休日でも書けぬというのは、これ如何に、なのじゃ。

・・・まぁ、忙しくとも書くことを決めたのは妾自身じゃから、どんなに不平不満を口にしても、その言葉は、ブーメランのように、全て自分自身に返ってくるのじゃがの・・・。


で、明日は月曜日なのじゃ。

つまり、今日よりも忙しくなる、ということなのじゃ。

要するに、さっさと寝なければならないのじゃ。

・・・もう駄目かもしれぬのじゃ・・・。


というわけで、補足に入ろうと思うのじゃ。

本当は昨日の話についても、今日、ここで補足しようかと思っておったのじゃが・・・肝心なその補足の内容を忘れてしまったのじゃ・・・。

何じゃったかのう・・・。

まぁ、いつも通りの駄文じゃろうから、省略しても良いじゃろう。


で、今日の分の補足なのじゃ?

あまりこういった補足はしたくないのじゃが・・・エネルギアを纏っていた剣士が、ミリマシンを失った結果、どんな姿になっておったのか。

こんな展開じゃったらカオスじゃろうなー、と思うことはいくつかあるのじゃぞ?

例えば、一糸まとわぬなんとか・・・とかの?

じゃがの・・・これからの話の展開を考えると、ギャグメインにして、裸の剣士の話を書くというのは・・・ちょっと遠慮したい気分なのじゃ?

じゃから、ここで彼が身に付けておるのは、アトラスと同じようなTシャツということにしておこうと思うのじゃ。

そこに何が書かれておるかは・・・次回、覚えておったら書こうと思うじゃ。

・・・もちろんパンツもズボンも履いておるのじゃぞ?


それはそうと・・・。

誰がこの文字つきTシャツを作っておるんじゃろうかのう?

もちろん、誰かが作っておって、コルテックス→アトラス経由で着せておるようなのじゃが、本編では製造者が誰なのか、未だ触れておらぬのじゃ。

元になった無地のTシャツの材料は、ワルツが自身のホログラムシステムを補修する際に作った化学プラントを使って、ポリエステルを製造し、それを紡織して作ったものなのじゃが、ワルツは文字のプリントまではやっておらぬのじゃ。

では一体、誰が、プリントしておるのか・・・。

その内、明らかにしようと思うのじゃ。

・・・ちなみに、妾ではないのじゃぞ?


まぁ、今日はこんなところかのう。


次回、『炎に包まれるエネルギアとイブの丸焼き水竜の尻尾添え』乞うご期待・・・しなくていいのじゃ。

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