7.3-07 反逆者7
中度グロ注なのじゃ?
あと・・・眠い故、乱調注意なのじゃ・・・。
乱調ならまだ良いがの・・・。
ストレラ王女たちが眠っているのを確認してから、会議室を立ち去った男たち。
そして、王城の外の安全な場所まで移動してから、リーダー格の男性が・・・
「・・・・・・やれ」
と、そんなことを口にした。
・・・次の瞬間、
ドゴォォォォン!!
と、黄色い炎を上げながら、爆炎に包まれる会議室。
「すごいっすね・・・」
「これからは、魔導爆弾の時代だな!」
魔道具で会議室の6面を爆破した結果、予想以上の爆風が、自分たちのところまで届いてきたことに、兵士の格好をした男たちは、思わず歓声の声を上げた。
そんな彼らの言葉通り、この世界においては、火薬の技術は発展していなかった。
・・・とはいっても、爆発物が無かったわけではなく、上級火魔法を使えば、ある程度の威力を持った爆発を作り出すことは可能だったのだが・・・そもそも、魔法使いのそれほど多くないこの世界において、その火魔法を作り出せる者が一体どれだけいるかを考えれば、上級火魔法を武力として利用することは、非現実的と言わざるを得なかったのである。
では、魔法を使えない上、科学の知識も持たない者たちは、人が使う最強の道具とも言える『炎』を操るために、一体どんな方法をとったのか・・・。
それは・・・先述の通り、魔導具に炎を閉じ込めることで、魔法の代わりとして、容易に使用できるようにしたのである。
ただ、従来までの炎の魔道具は、精々、ライター代わりに火を付ける程度の事しか出来ないほどに、出力の小さな物であった。
その理由はいくつかあるのだが・・・中でも一番大きな理由は、充填に多くの魔力が必要になるという点である。
ルシアほどとは言わないまでも、魔力を多く保有している者自体が絶対的に少ない上、魔道具へのチャージの効率がそれほど良くなかったたこともあって、何人もの魔法使いが何日もかけて充填しなくては、たとえ魔道具を使ったとしても、まともな上級火魔法を行使出来なかったのだ。
それ故に、魔道具を使った爆発魔法は、非実用的と考えられていた。
・・・だが、どうやら、元天使である反逆者たちは、その柵を乗り越える術を見つけるのに成功したようである。
「・・・さて、あの紛い物が城に戻ってくる前に、ずらかるぞ?」
『ハッ!』
ある日、突然、メルクリオにやってきて、天使たちの主である自称神に手をかけ(?)、そして自ら(?)国王を名乗ったカノープスと、彼の背後にいるワルツたち。
そんな彼らに対して一矢報いられたことに、反逆者たちは心底喜んだが・・・このままここにいたのでは、集まってきた兵士たちや、町中へと出かけているカノープスが戻ってきて面倒なことになるのは目に見えていたので、男たちはこの場から撤収しようと王城の門の方へと足を向けた。
そんな時・・・
「・・・何だあれ?」
「最近、兵士たちの間で噂になってる・・・少女たちじゃないか?」
門の前に立って、横一列に並び、吹き飛んだ会議室へと視線を向ける3人の幼い少女たちの姿が彼らの眼に入ってくる。
現在の時刻を考えるなら、ここにいるはずのない子どもたちの姿に、元天使たちは一瞬面食らうも・・・
「放っとけ」
「そうだな・・・」
「せめて・・・子どもたちが火災に巻き込まれないことを祈るよ」
革命家を自負する彼らは、政治とは無関係な少女たちに手をかける事なく、彼女たちの横を通って城の塀の外へと出ようとした・・・。
・・・しかし、彼らが少女たちに近づいたところで、
「ねぇ、怖いおじちゃんたち?・・・ぐすっ」
「どこに行くの?・・・グルルル」
「・・・・・・」ぼーっ
彼女たちは、まるで呼び止めるように、それぞれにそんな問いかけの言葉を口にしたのである。
どうやら彼女たちの視線は、燃え盛る会議室ではなく、逃走を図ろうとしていた元天使たちへと、最初から向けられていたようだ。
そんな彼女たちに対して・・・
「なんだこいつら・・・」
「単なる少女かと思っていたが・・・違うのか?」
面倒くさそうな表情を浮かべながら、そう口にする元天使たち。
そんな中、リーダー格の男性が・・・
「・・・例え、子供とて、我らの前に立ちふさがるというのなら・・・容赦はしない」
そんなことを口走ってから、腰に下げていた長剣を抜き、見た目は6歳児程度にしか見えない少女たちに向かって・・・
ブゥン!
と、容赦なく、振りかざしたのである。
そして、暗い夜闇の中に・・・
ブシャァァァァッ!!
という音を立てながら、炎に照らし出されつつ飛散する赤黒い液体。
その液体の出処が一体何なのか・・・。
元天使たちがどんな予想を立てたのかについては、わざわざ言わずとも明らかだろう。
「くっ・・・」
「キツイぜ・・・」
と、リーダーの影になって見えない向こう側の景色を想像して、眼をそむけたり、口を抑えたりする元天使たち。
・・・ところが、その直後。
彼らの予想を大きく覆す異様な音が、その場に響き渡り始める。
バリボリ・・・
まるで硬い煎餅のようなものを、無理矢理に噛み砕くような音が、彼らの耳に聞こえてきたのだ。
『・・・?』
その不可解な音を前に、怪訝な表情を浮かべながら、首を傾げる元天使たち。
・・・そして次の瞬間には、彼らの前で少女たちに剣を振り下ろしたリーダー格の男性の、その上半身が・・・
バクンッ!
・・・突如として、虚空へと消えたのである・・・。
「・・・・・・あれ?」
「・・・・・・おかしいな?」
その光景を理解できずに・・・呆然と立ち尽くす男たち。
それから、間もなくして・・・彼らは、その音の原因と、リーダーの上半身が消えてしまった理由を、否が応でも理解することになる。
なぜなら、リーダーの上半身が消えたことで、彼らの目の前に・・・
「・・・美味しくないね・・・ぐすっ」バリボリ
「もう少し、おしとやか?に食べないと、ストレラさまにおこられるんだからね!」バリボリ
「・・・・・・」バクンッ
と話す3人の少女たちが、リーダーの身体に寄ってたかって噛み付き・・・そして捕食していた姿が見えてきたからである・・・。
そんな彼女たちの姿は、紛れも無く人の姿だったものの・・・しかし、炎に照らし出された3人の影が、どういうわけか大きなケルベロスの姿を形作っていたのは・・・果たして、偶然の産物である、と言い切ることはできるのだろうか・・・。
それからしばらくして・・・。
会議室全体が爆発した結果、建物が1階分崩落してきたことで、圧死・・・しなかったワルツが、眠っている仲間たちを重力制御で浮かべながら、炎の熱さを逃れて、王城の外へとやってくると・・・
「・・・ぜんぶたべたけど・・・やっぱりおいしくない・・・ぐすっ」
「たべものはそまつにしちゃいけないって、ストレラ様がいってたんだからね!」
「・・・・・・」もぐもぐ
口の周りを真っ赤にしたポチたちが、そんなやり取りをしていた・・・。
「・・・何やってたの?ポチたち。そんな、人を喰ったような顔をして・・・」
と、ケチャップのようなものを顔中に塗りたくっていた彼女たちに対して、眉を顰めつつ、腰に手を当てながら、問いかけるストレラ。
すると・・・
『・・・?!』
一斉に、ビクゥッ!、と髪の毛を逆立てながら、ポチたち3人は恐る恐るストレラの方を振り向いた。
その様子は・・・内緒事が親に見つかった子どものようである・・・。
「全く・・・。また食料庫から、ヘルチェリーのジャムを持ちだして、3人で食べてたんでしょ?」
「うぅぅぅ・・・ぐすっ」ふるふる
「ち、違うもん!」
「・・・・・・」こくり
『えっ・・・』
ストレラが問いかけた後で、いつもは、ぼーっとしているはずのポチ3が、どういうわけか首を縦に振り始めたことに、残り2人が思わず顔を見合わせていると・・・
「・・・問答無用!」
ドゴォォォ!!
ドゴォォォ!!
ドゴォォォ!!
と、ストレラの鉄拳が3人の頭に炸裂した・・・。
・・・ちなみにだが、彼女の拳は、ルシアが上限いっぱいまでエンチャントを施した、焼入れ済みの強化オリハルコンで出来ていたりする・・・。
『〜〜〜っ!』
そんなリアル鉄拳を頭頂部に喰らって、両手で頭を押さえながら、涙目になるポチたち。
とはいえ、脳挫傷を起こすような陥没骨折をしたり、たんこぶができていないところを見ると・・・どうやら、ストレラのゲンコツは、その見た目や音ほど、力は込められていなかったようだ。
・・・まぁ、元ケルベロスである彼女たちの頭の骨が、異常に固い可能性も否定はできないが・・・。
(・・・それ、ジャムでもケチャップでもミートソースでもない気がするんだけど・・・)
会議室から立ち去った男たちの生体反応が、どういうわけかポチたちの前で消えてしまったことを思い出しながら、そんなことを思うワルツ。
ともあれ、ストレラには、それを知る術は無かったので、ワルツはその出来事を口には出さず、自分の中だけにとどめておくのであった・・・。
眠いのじゃ・・・。
眠すぎるのじゃ・・・。
zzzなのじゃ・・・。
じゃから、申し訳ないのじゃが、今日はあとがきを省略させてもらうのじゃ・・・。
2日連続でこんな大変な目に合うとは・・・も、もう駄目かもしれぬ・・・。
・・・次回、『人を喰ったようなイブ』乞うご期待!なのじゃ?
・・・まぁ、イブ嬢にとっては、それが通常運転じゃがの。
・・・何が通常運転かって・・・ミートソース(意味深)で口の周りをギトギトにしておる光景が・・・の?




