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7.3-03 反逆者3

「こらっ!ポチども!マテ!おすわり!」


自分たちメルクリオ政府高官とミッドエデンの使者たち(?)の間をふらふらと歩いて行った3人の少女の姿に、顔に貼り付けていた王女の仮面を脱ぎ捨てて、声を上げるストレラ。

その言葉は、どう聞いても、人に向けるものではなく、ペットの犬に向けるような言葉であった。


「いやね?ストレラ。流石にそれはどうかと思うのよ。イブを最初に見た時、私も思わずイボンヌ(犬の名前)とか言っちゃってたけど、人は人だと思うのよね・・・」


「イ、イブは、イボンヌじゃないし!」


ワルツが自身に対してチラッと向けた視線に、何か納得がいかない色が含まれていたためか、抗議の声を上げる犬の獣人のイブ。

目の前に恐ろしい笑みを浮かべるコルテックスがいるというのに、それでも抗議したところを見ると・・・彼女は相当、イボンヌと呼ばれるのが嫌なのだろう・・・。


「はいはい。もちろん分かってるわよ」


そう言いながら、抗議の視線を向けてくるイブを適当にあしらって・・・そして、再び3人の少女たちに視線を向けるワルツ。

するとそこでは・・・ストレラの言葉に忠実に従ったのか、体育座りで大人しく地面に腰を下ろす、ほぼ同じ顔の3人の姿があった・・・。


「・・・ねぇ、ストレラ?やっぱり、これ、どうかと思うのよね・・・」


一体、どんな躾をしたら、7歳児くらいの少女・・・むしろ、幼女といっても良いくらいの見た目の彼女たちが、ストレラの犬に向けるような言葉に対して素直に従うようになるのか・・・。

ワルツは、あまりに放置した期間が長すぎたために、精神が狂ってしまったかもしれないストレラの凶行を想像して、思わず天を仰いでしまう・・・。


すると・・・


「はぁ?何言ってんの姉さん。そもそも、この子たち、人間じゃないわよ?」


と、完全に少女たちを人間扱いしていない様子で、抗議するストレラ。


そんな彼女の暴言(?)に・・・


(うわぁ、重症ね・・・。・・・でも、もしかして、私も知らず知らずのうちに、イブとかに酷いこと言ってたりするのかしら・・・)


ワルツはそんなことを考えながら、近くにいたイブに対して、申し訳無さそうな視線を向けると・・・彼女から迷惑そうなジト目を返されてしまった。

どうやら、イブにも、ワルツが何を考えたのか、なんとなく分かったようだ・・・。


ストレラは、そんな彼女たちの反応を知ってか知らずか・・・特に反応を返すことなく、その場に座る3人の少女たちに、魔法のポシェットから取り出した一口サイズのビーフジャーキーを1枚ずつ与えながら、彼女たちの正体を口にした。


「この子たち、元はケルベロスよ?」


『・・・・・・は?』


そんなストレラの短く端的な説明が聞こえなかったのか、それとも何を言っているのか理解できなかったためか・・・。

一同はそろって思わず聞き返してしまう。


「よく分かんないけど、マナとかいう液体を飲ませたら、人間になっちゃったのよ」


『・・・?!』


補足するように続けられたストレラ言葉を聞いて、特に大きく驚いたような表情を浮かべたのは・・・当然のごとく、2人のメイドたちであった。


飛竜の正体は空を飛ぶドラゴンで、マナを飲むことで人の姿になったのである。

恐らく彼女は、目の前のケルベロス・・・ポチたちに、自分の姿を重ねてしまったに違いない。


一方、飛竜の人になりたいという願いを聞いていて・・・その上、ふとした拍子で元の姿に戻ってしまう彼女のために、人の姿を保つのに必要なマナを持ち歩いているイブも、その言葉に反応してしまったようだ。

ポチたちが、飛竜と同じ境遇を持つ者たちだというのなら、飛竜と(ちか)しい身内であるイブが特別な感情を抱いてしまったとしても、何ら不思議なことではないだろう。


「ふむ・・・我の同類か・・・」


「見た目が同じ犬の獣人、ってところは、なんか気に食わないけど・・・ドラゴンちゃんと同じって言うなら、話は別かもだね・・・」


真っ黒いフサフサの尻尾を嬉しそうに振り回しながら、美味しそうなビーフジャーキーに齧りついている少女たちに、それぞれ、よだれを垂らs・・・優しげな視線を向ける飛竜とイブ。


飛竜の事情を知らなかったストレラは、そんな2人のやり取りを聞いた後で、首を傾げながらも追加の言葉を口にした。


「まさかこうなるとは思ってなかったけど、興味半分で試しに飲ませたら変身しちゃったのよ。それで、どうやったら元に戻るのか分からなくて、仕方なく人としての生活を教えこんでるところなのよね・・・」


『・・・・・・』


ストレラのその説明が、自分たちの予想とは大きく違っていたためか、眼を細めてしまう飛竜とイブ。

飛竜の方は、口元をピクピクと引きつらせて・・・。

そしてイブの方は、うわぁ・・・、といった様子である・・・。


・・・そんな折、


「そうでしたか〜。大した問題ではないですね〜。というわけで、さっさと今晩の寝床に案内してもらえないでしょうか〜?正直言って、眠いんですよね〜・・・」


と、このままだと面倒事を任される気がしていたためか、最終手段である不貞寝(ふてね)で事なきを得ようと画策した様子のコルテックスが、わざとらしくその眼をこすりながら口を開いた。


ストレラがそうであるように、続いてコルテックスもテレサの仮面を脱ぎ捨てたためか・・・


『・・・?!』


メルクリオ高官たちは驚愕の表情を浮かべていた。

その中にいた、茶色い羽を持ったシルビアの母、兼メルクリオ議会議長であるエルメスは、事情を知っていたためか、単に苦笑を浮かべているだけであったが、他の者たちは自国の姫君と同じように隣国の議長も仮面を被っていたことに初めて気づいたようで、驚きを隠せない様子である。


するとストレラは、彼らのその反応に慣れた様子で、今更、気にした様子は見せず・・・


「・・・あぁ、そうでしたね。これは大変失礼いたしました。それでは(わたくし)が皆様を部屋までご案内致しますので、どうぞ付いて来てください。()()()()()()()?」


再び姫の仮面を被って、コルテックスの真名を口にしてから、皆に背を向けて歩き始めた。

どうやら彼女は、表向きには歓迎するものの、裏ではコルテックスに休息の機会を与える気は無いようだ・・・。


その際、ストレラは、一旦立ち止まって振り返ると・・・


「ポチたち?ハウス!」


そこにいた元ケルベロスの少女たちに向かって、そんな指示を送った。

すると・・・


「ハウス・・・ぐすっ・・・」

「ハウスに入るのはいやだけど・・・怒られるのもいや・・・」

「・・・・・・!」


と、愚痴をこぼしながら、耳と尻尾を倒して・・・しかし、嫌々ながらも犬小屋(?)があるだろう方向へと姿を消すポチたち・・・。


そんな彼女たちの後ろ姿に視線を向けながら、ワルツはいつも通りの言葉遣いのままで、ストレラに問いかけた。


「・・・あれって、元は一匹のケルベロスなの?」


「そうよ?どうして身体が増えたのかは分かんないけどね・・・」


そう口にしながら、サッパリ、といった様子で、両の手のひらを宙へと向けるストレラ。


「ふーん・・・。もしかして、アレなんじゃない?イブも3人似たような人たちを見つけて合体すれば、ケルベロスになれるとか」


「なれるわけ・・・・・・」


イブは、ワルツの言葉を否定しようとして、そこまで言ってから・・・しかし、自身の言葉を止めた。

それから彼女が、難しそうに何かを考えながら、合体・・・合体・・・、と小さく呟いていたのは、恐らく自身が戦隊物の主人公になった場合の展開を考えていたからではないだろうか。

まぁ、その場合、3人ではなく5人になるのだが・・・。


「・・・それでは皆様、こちらへどうぞ」


イブが謎のポーズを取り始めたその様子に眼を細めながら、再び話し方を戻して、王城の内部へと続く通路を歩き出したストレラ。

そんな彼女の後ろを、ワルツたち一行は、嫌そうな表情を浮かべているコルテックスを先頭に、大人しく付いて行くのであった・・・。




その後で・・・。

ワルツたちが王城の中へと姿を消してからも、その場に残って何かを話し合っていた様子のメルクリオ政府高官たち。

そして彼らが、ストレラとコルテックスに対して気兼ねなく話しかけていた金髪の少女の正体について語り合い、魔神がどうこうという話を交わしてから、頭を抱えつつ撤収した頃。

タラップを下ろしたままのエネルギアの前で、上官から受けた司令の通りに船体の入り口を警備をしていた兵士たちのところへと、追加で数人の兵士たちがやってきた。


それから彼らは何かを話し合ってから、どういうわけか、エネルギアの中へと姿を消すのだが・・・それがワルツたちの知るところとなるのは、しばらく先の話である・・・。

も、もうダメなのじゃ・・・。

眠いのじゃ・・・眠すぎるのじゃ・・・zzz。


zzzというわけで、一部乱調があるやも知れぬが、できれば補完・補足して読んで・・・え?いつも脳内補完しておる?

それは・・・・・・大変じゃの?

これからも頑張るのじゃぞ?

・・・いや、本当に、申し訳ないのじゃ・・・。


まぁ、それは置いておいて・・・。

明後日からは、ちゃんと書くのじゃ。

じゃから・・・今日と明日は、我慢してもらえると助かるのじゃ・・・。


というわけで・・・。

・・・次回、『イブ、飛竜、ポチの超獣合体!そして伝説が生まれるかもだし・・・』乞うご期待!なのじゃ?

・・・はっきり言って、いらぬ伝説なのじゃ。

・・・というより、誰も伝えぬから伝説にはならぬがの?

・・・zzz。

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