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7.2-15 ダブルデート2

「・・・何で俺、生きてるんだろ・・・」


コルテックスの魔法(?)によって、容赦なく吹き飛ばされた剣士(と冒険者)。

別々の場所に吹き飛ばされたために、その場にはいない冒険者たちのことはさておくとして・・・頭から石垣に突っ込んだにも関わらず、無傷で、その上、痛みも無かったことに戸惑いながら、剣士は自身の中に浮かんできたある一つの予想を確信へと変えていた。


「俺の身体・・・・・・まさか改造されたか・・・?」


今まで何度も死にかけてきた彼だからこそ分かる、自身の身体の限界。

今回、頭を石垣にぶつけたことは、果たして死線の先の出来事なのか、それとも手前の出来事なのか・・・彼は迷うこと無く、奥側にあったはずだと感じて、それでも無事だった原因が何なのかを考えた結果、そんな結論に達したようだ。

ここに来る直前に、エネルギアの抱擁(たっくる)を受けて意識を失っていたところを、カタリナに治療されたことも、彼の疑念を深めた要因と言えるだろう。


「・・・そうか・・・俺、もう・・・人間じゃないのか・・・」


ボロボロになっていた服装とは裏腹に、傷一つ付いていない自身の身体に眼を向けながら、溜息と共にそんなことを呟く剣士。


彼がこれからの人生について悩んでいる・・・そんな時。


『ビクトールさーーーん!』


ドゴォォォ!!


と、まるで黒い液体のような・・・定形を持たないミリマシンの集合体であるエネルギアが、猛烈な勢いで、地面を流れるように走ってきた(?)。


「・・・今なら・・・受け止められるのか・・・?」


自身が人間離れしてしまったことに、剣士はショックを感じていたものの、それほど深刻なものではなかったためか、次第に人の形を取り戻して走ってくるエネルギアの姿を見て、そう呟きながら立ち上がった。


そして彼は、自身の身体の限界を確かめるためか・・・本来なら、単なる自殺行為でしか無いエネルギアとのハグに挑戦することにしたのである。


「・・・来いっ!」


『え?』キキ――ッ!


しかし・・・どうやら、剣士の方は良くても、エネルギアの方は良くなかったようだ・・・。

つい数十分前まで、彼の看病をしていた(?)彼女にとっては、再び剣士を病室送りにするようなことはしたくなったのだろう。


『えっと、ビクトールさん?頭を打って、私に抱きつかれて死にそうになったこと忘れちゃった?』


剣士まであと1mほどの距離で急停止したエネルギアは、心配そうな表情を浮かべながら、自身よりも身長の高い彼の顔を見上げながら問いかけた。


「うっすらとしか覚えてないが・・・もちろん、忘れたわけじゃないぞ?でもな・・・多分、今なら受け止められる気がするんだ・・・」


『・・・・・・』


根拠の無い剣士の言葉に、眼(?)を細めるエネルギア。

それから彼女は、小さく笑みを浮かべると、首を横に振りながら残念そうに口を開いた。


『ううん。止めとく』


「・・・そうか」


エネルギアのその短い言葉で、彼女が持っているだろう懸念の一端を感じ取る剣士。


それから彼は、自分たちに近づいてきているコルテックスたちに気づいて、エネルギアの手を取って2人のところへと歩き出そうとした。

・・・すると、エネルギアは、その足を動かさず、自身を引っ張って歩こうとした剣士のことを逆に引っ張ると、どういうわけか、彼を後ろから静かに抱きしめたのである。


そして彼の背中で小さく呟く。


『でもその代わりに』


「・・・?」


抱きつかれた方の剣士には、エネルギアが口にした『その代わり』という言葉の意味も、そして、どういった理由があって抱きつかれたのかも分からなかったようで、背中から回ってくる彼女の手に眼を向けながら、眉を顰めた。

・・・その直後のことである。


ゾワッ・・・


・・・そんな擬音が似合うような見た目で、まるで溶けるように分解していくエネルギアの両腕(ミリマシン)


「ちょっ?!」


そんな、蟻の大群のような黒い塊が、自身の身体の表面を蠢いていることに、剣士は思わず叫び声を上げてしまいそうになるが・・・しかし、どうにか気合で飲み込むことには成功したようで、彼は一瞬だけ身じろぎしてから、後ろで抱きついているはずのエネルギアの方へと振り返ったのである。


「・・・え?」


・・・しかし、そこには誰もいなかった。

地面にも、家の隙間にも、人混みの中にも、そして空の上にも・・・。

ミリマシンで身体を構成していたエネルギアの姿は、いつの間にか忽然とその姿を消していたのである。


「・・・エネルギア?」


先程まで手の届く位置にいたはずの真っ黒な彼女の姿が消えて、代わりに静けさが自身を包み込んだような気がして・・・。

剣士は小さな胸騒ぎと共に、姿を消した彼女の名前を口にした。


すると・・・


『どうしたの?ビクトールさん?そんな寂しそうな顔して・・・』


どこからともなく、彼女の声が飛んできた。

・・・いや、剣士にとっては、その声の出処がどこなのか分かっていたようである。

声が聞こえてから、彼がその出処を探すような素振りを見せていないことが、その何よりの証拠と言えるだろう。


では、どこから声が飛んできたのか。


「・・・もしかして、お前、俺の服になったのか?」


『うん!だって、ボロボロだったからね』


そんなエネルギアの言葉通り、どうやら彼女は、身体を分解して、文字通りボロ雑巾のようになっていた剣士の服の代わりに、彼の身体を覆ったようである・・・。




その直後、真っ黒な姿になった剣士のところへとやってきたマスター(コルテックス)スレーブ(アトラス)

到着すると共に、一部始終を見ていた2人の内、コルテックスは、黒い剣士に向かって口を開いた。


「・・・全くもって卑猥ですね〜」じとぉー


「いやいや、別に何もやましいことはしてないだろ?!」


「全身に、まるでスライム・・・そう、スライム娘が張り付いているんですよ〜?これを卑猥と言わずして、一体、何と表現すればいいのですか〜?アルクの町条例違反(?)で、もう即刻、ブタ箱にぶち込んでも、誰も文句は言わないレベルですね〜」


そう言って、ぷんぷん、と頬を膨らませながら、怒る様子のコルテックス。


すると、剣士に張り付いていたエネルギアが、驚いた様子で言葉を返した。


『えっ、ビクトールさん豚さんになっちゃうの?』


・・・どうやら、普段から船内に引きこもって、外にあまり出ないエネルギアには、『ブタ箱』という言葉が分からなかったようだ。


そんな彼女の言葉を受けて、少し離れた場所をダンディーな緑色のオーク()が歩いている姿を遠目に見ながら、コルテックスが補足を口にする。


「ブタ箱というのは、刑務所のことですよ〜?悪いことをした人を、懲らしめるために入れる施設のことです」


『えっ、じゃぁ、ビクトールさんが悪いことしたの?』


「はい。幼気(いたいけ)なエネルギアちゃんに対して、決して口には言えないような酷いことをした〜・・・いえ、今なおしているんです。しかも、成人していないエネルギアちゃんに手を出したのですから、もう完全に犯罪ですよね〜」


「いや、その理屈はおかしいだろ・・・」


エネルギアの好意で、服の代わりをしてもらっているだけなのにもかかわらず、一方的に犯罪者扱いされていることに、憤る剣士。


しかし、それは、剣士だけではなかったらしく、彼の肌に全身タイツのようにピッタリと張り付いていたエネルギアも同じ気持ちだったようだ・・・。


『なら、私も悪いってこと?服になったのは私が進んでしたことなんだから、そういうことになるよね?』


「・・・ミッドエデンの法律では、未成年者を裁くことはできないので、エネルギアちゃんが悪いということh」


『もういいもん!』


まるで、説教か何かのように延々と御託を並べてくるコルテックスに対して、いよいよ我慢できなくなったのか、彼女の言葉を途中で遮るエネルギア。

それからエネルギアは・・・剣士の身体に張り付いたまま、その形を変えていった。


・・・そして形を変え終わった頃。


「・・・かっけぇ・・・」


まるで、触らぬ狐に祟りなし・・・と言わんばかりに、今まで黙り込んでいたアトラスが、剣士に纏わり付いていたエネルギア姿を見て感嘆の声を上げた。

そして続けて、その見た目を口にする。


「完全に黒騎士じゃねぇか・・・」


つまり・・・エネルギアは、怪しげな全身タイツの形から、甲冑の形に姿を変えたのである。


では、どうしてそんな形へと変わったのか。

・・・それには、歴とした理由があったようだ。


『コルちゃん!私たちと勝負だよ!』


『・・・え?』


エネルギアが何を言い始めたのか分からずに戸惑う、コルテックスとアトラスと、そして剣士。

要するに・・・どうやらエネルギアは、剣士の名誉を守るために、コルテックスに対して武力による勝負を挑むことにしたようである・・・。

前話の書き方から、一体、何が変わったのか分かるかのう?


****、


「○△□※」


++++。


こんな感じの書き方の部分を、


****、++++。


「○△□※」


に変えたのじゃ。

・・・もちろん、全てを変えられたわけではないがの?

意識して、少なくなるように作り変えたのじゃ。


やはり、ナレーターの文と、キャラクターの会話が、ごちゃごちゃになるようなことがあると、読みにくくなる原因でしか無いと思うのじゃ。

ただし、例外はあると思うがの?

例えば、『そんな時、』『すると、』という言葉。

これらについては、それ自体が大きな意味を持っておるわけではない故、文章から切れて離れておっても、特に大きな問題にはならないと思うのじゃ。

・・・いや、もちろん、妾がそう考えておるだけかもしれぬがの?


その他にも、1点、書き方を統一させた部分があるのじゃが・・・それについては明日、説明することにしようかのう?

・・・もちろん、妾が覚えておれば、じゃがの?


さて。

補足に入るのじゃ。

・・・無いのじゃ。

いや、書きたいことはあるんじゃがの?

実際、途中まで書いておったんじゃが・・・ネタバレになることに気づいた故、書くのをやめたのじゃ。

で、何について書こうとしていたかというと、剣士の身体の改造と、エネルギア嬢の重さについて、なのじゃ。

この関係について書こうと思ったんじゃが・・・うむ。

余計なことは言わぬことにするのじゃ!


というわけで・・・今日も書くことがないのじゃ・・・。

その内、書くことがない時は、何か代わりのネタになるような話を取り上げることにするかのう。


・・・次回、『剣士、鉛中毒で死亡』乞うご期待!なのじゃ?

・・・じゃから、ミリマシンを作る時は、Pbフリーで作るべきじゃとあれほど・・・・・・。

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