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7.2-14 ダブルデート1

・・・世の中には『リア充、爆発しろ!』という、妬みの言葉がある。

それはこの世界でも同じだったようで、男女問わず未婚の者たちは、日々が充実した幸せそうなカップルを見て、『馬車に轢かれろ!』『魔物に喰われちまえ!』『魔法で爆散しろ!』などと思っていたようだ・・・。


そしてここにも・・・


『〜〜〜♪』


「・・・・・・」


何やら幸せそうなカップルがいた。


・・・ただし。

どうやら、妬みの対象にはなっていなかったようだ。


何故なら、彼氏と思わしき男性が・・・


『どこいこっかー?ビクトールさんっ♪』ずるずる


・・・頭の天辺からつま先まで、黒以外に色のない彼女(?)に引っ張られ、半ば強制的に引きずり回されていたからである・・・。

もしもその2人の姿を見て、妬む者がいるとするなら・・・その人物は恐らく、真性のマゾヒストか何かであるに違いない・・・。


まぁ、それはさておいて。


真っ黒な姿をした少女エネルギアに引っ張られていた剣士ビクトールは、彼女に首元を掴まれ、ずるずると引っ張られながらも・・・その腕を組んで、神妙な面持ちで考え込んでいた。


「・・・・・・おかしい・・・。何かがおかしい・・・」


もちろん、彼が感じていた違和感は、自分が置かれた混沌とした状況に対してのもの・・・というわけではなかった。

そもそも、彼にとってこうした状況は、日常の一部と化しつつあり、すでに違和感など微塵も感じられない『当たり前のこと』になっていたのである。


では、彼は何に違和感を感じていたのか。

その原因は・・・どうやら、自身の身体の内側にあったようだ。


『ん?ビクトールさん、どうしたの?』


ようやく、剣士の様子がおかしいことに気づいたのか、繁華街のように賑わっていた街の一角で、エネルギアはふと立ち止まった。

そんな彼女の問いかけに対して、今まで無理やり引っ張られていたにも関わらず気を害した様子を見せること無く、剣士は自身の中の違和感について口にする。


「・・・全く痛くないんだ・・・」


『え』


一体、何が痛くないのか・・・。

むしろ、痛いほうが良かったのか・・・。

サキュバスのユリアに聞いた助言を元に、未だに際どいビキニ姿ミリマシンをしていたエネルギアは、剣士の話を聞いて・・・何を思ったのか、恥ずかしそうに頬に手を当てながら、戸惑うような表情を見せた・・・。


一方で剣士は、そんなエネルギアの様子に気づくこと無く、難しい表情を浮かべたまま話し続ける。


「これだけ乱暴に引っ張られてるはずなのに、腕をぶつけても、足をぶつけても、全く痛くないんだよ・・・怖いくらいにな・・・」


『えっ、もっと痛い方がいいの?』


「・・・え?」


ここに来てようやく、エネルギアの思考が怪しい方向へと邁進(まいしん)している事に気づく剣士。


それから彼が、なんとなく身の危険を感じ始めていると・・・


ドゴン!


多くの人々が行き交う中で立ち止まって考え込んでいたためか、通りがかった冒険者と思わしき者と、彼の肩がぶつかってしまった。


「おっと。すまん(・・・やっぱりおかしい・・・痛くない・・・)」


麻で出来たラフなパンツに、胸に大きく『くらんけ』と書かれたポリエステル製のTシャツ(ワルツ製)という、まるで寝起きのような格好だった剣士。

普段、戦闘の際に着ている軽甲冑装備ならいざしらず、今の軽装な彼にとっては、相手の冒険者の重甲冑装備に軽くでも当たれば、それなりの痛みを伴うはずだったのだが・・・。

彼は、そんな予想とは異なる軽い感覚に戸惑いながら、ぶつかった相手に謝罪した。


すると・・・


「うおぉぉぁぁぁぁぁ!!」


・・・と、声を上げながら、急に地面に倒れこんで、そのままのたうち回る重甲冑装備の冒険者。

その直後、そんな冒険者と同じような装備をした大男たちが、繁華街にいた人混みの中から3人ほど近寄ってきた。


「おい、どうした?!」

「あー、これ骨、折れとるわー」

「おうおう!ニーチャンたち?これの落とし前、どう付けてくれるん?」


「いやいや・・・どう考えても、ぶつかったくらいで骨折する装備じゃないだろ・・・」


そう言って・・・しかし、まるで薄っぺらいダンボールか何かのように、大きく凹んでしまっていた重甲冑の男性の装備に眼をやりながら、相手がどういった類の者たちなのかを予想する剣士。


・・・どうやら、この4人組は、(たち)の悪い当たり屋のようである。

イチャイチャしているカップルを見つけては、何かと因縁を付けて、金品の要求でもしているのだろう・・・。

あるいは、リア充を爆破するために、昼夜問わず精力的に活動している可能性も否定は出来ないか・・・。


「あ゛?!んなこたぁ知るかよ!」

「実際に怪我人出とるやろ!」

「どー保証してくれるか聞いとるんじゃ!」


「・・・・・・(どうすっかな・・・)」


ワルツの口癖『面倒くさい』を体現する者たちを前に、どうしようかと剣士が頭を悩ませていると・・・


「はなし聞ぃとんのかワレ!」


と、冒険者の内、一番体格の良かった1人が、短気を起こして、剣士の胸ぐらを掴んだ。

すると、どういうわけか剣士のTシャツは、


ビリビリ・・・


と、まるで薄い紙ように破れてしまう。


「・・・・・・」


その事実を前に・・・やはり違和感を感じていた剣士は、その原因が何となく分かったような気がして、思わず眉を顰めた・・・。

それから彼が、破れてしまった着心地の良いTシャツがワルツたちに着せられていたものであることを思い出して、後で何を言われるか・・・と、絡んできた冒険者たちをそっちのけで悩み始めていると・・・


ぽふっ・・・


と、軽くやらかい何かが、彼の頬に触れる。

そして、次の瞬間、


「うおぉぉぁぁぁぁぁ!!」


・・・何故か自身の硬そうな籠手(こて)を押さえながら、急に叫び声を上げる重甲冑の男性B。

そんな彼を合わせて合計2人の仲間たちが地面に沈み込んだまま立ち上がってこない姿を見て・・・残った冒険者たちが、ようやく異常なことが起こっていることに気づき始めた頃・・・


『もしかして、この人たち、ビクトールさんの敵?』


エネルギアが、そんな一言を口にした。


「・・・い、いや、そんなことはないぞ?」


『ホント?』


「あ、あぁ・・・」


このままエネルギアを放っておくと、カオスを通り越して、町中に地獄が展開されそうな気がしたためか、仕方なく冒険者たちを庇うことにした剣士ビクトール。


・・・しかし、一旦開きかけた地獄の扉は、彼一人の手では閉じることができなかったようだ。


ドゴォォォォ!!!


と、爆風のような何かが、急に町の中を吹き荒れたかと思うと、


『うわぁぁぁぁっ!!』


「ちょっ・・・俺もかよ!!」


4人の冒険者たちは、何故か剣士もろとも、どこか遠くへと吹き飛ばされてしまったのである。


そして、その暴風が過ぎ去った後に現れたのは・・・


「・・・もう少しで、剣士様の毒牙にかかってしまうところでした〜。危ないところでしたね〜?エネルギアちゃん?」


『あ、コルちゃん!』


赤い紐を首に巻かれて引っ張られつつも・・・しかし、好物のとり串を大量に買ってもらえたためか、上機嫌な様子のアトラスを引き連れたコルテックスの姿であった。


どうやら、暴漢たちと剣士は、コルテックスの魔法の餌食になってしまったようだ・・・。

え?妾が、リア充が爆発すれば良いと思っておるか?

・・・それは無いのじゃ。

誰が、どんな付き合いをしたところで、妾には関係のない話じゃからの。

・・・まぁ、その妬みの構図を、俯瞰的な視点から眺めておる分には、嫌いではないがの?


まぁ、それは置いておいて、なのじゃ

補足に入るのじゃ。


・・・って言っても、今日も無いのじゃ。

強いて言うなら、読みにくい原因の一部が分かったことくらいかのう?

これについては、次回辺りから、試行錯誤的に改良させてもらうのじゃ。

って言っても、大きく変わる訳ではないから、何が変わったのか分からぬと思うがの?


・・・はぁ・・・。

やはり、夕食で糖質(ラーメン)を摂るのは、身体に良くないのじゃ・・・。

何より、頭がボーっとして、胃もたれを起こして・・・そして、やる気がでないのじゃ・・・。

夕食の糖質は、いなり寿司6個くらいがベストかも知れぬのう・・・。


さて。

・・・次回、『リア獣イブの冒険 第424話 - リア獣も爆発したほうがいいかもだし?』乞うご期待!なのじゃ?

・・・流石に、動物(?)まで爆発させるのは・・・どうかと思うのじゃ・・・。

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