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7.2-08 予想外の海8

コルテックスによる発電魔法(?)によって、無事に海上へと浮上することに成功したエネルギア。

そして、船体を海岸線まで移動し、先程まで停泊していた砂浜まで戻ったところで、ワルツたちは核融合炉を起動する前に、一旦、仲間たちが待っているだろう艦橋へと戻ることにしたのである。


しかし・・・


「・・・で、なんで誰もいないのかしら?」


艦橋へと戻ってきたは良いものの、そこにいるはずの仲間たちが誰一人いなかったことで、ワルツは腕を組みながら頭を傾げた。

どうやら、仲間たちは、コルテックスの発電魔法を行使した際に、そのエネルギー源として犠牲になってしまった・・・・・・というわけではないようだが、何か理由があって、皆一緒に何処かへと行ってしまったようだ。


ワルツが姿を消してしまった仲間たちについて、そんなカオスな予想を立てていると・・・


「外部カメラになんかヤバイのが映って、みんな逃げ出したんじゃね?」


と、アトラスが、艦橋の壁の全方位モニターが映し出すその景色を撮影している船外のカメラの前に、何か得体のしれない生物が映ったのではないか、と予想したらしく、おもむろにそんな言葉を口にした。


普段、空を飛んでいる分には、まずありえない話だが、水中に潜っている間は、カメラの前を水性の魔物や魚たちが自由に通過できるのである。

たとえ、小さな魚であっても、カメラのすぐ前を通過すれば、艦橋のドーム状のモニターには、拡大された大きな魚の姿が表示されることだろう。

その場合、深海魚の少々グロテクスな姿が、画面全体に表示されることになるわけで・・・つまり、それを見ていた少女たちにとっては、大変な精神的負担になっていたに違いない・・・と、アトラスは考えたわけである。


その光景を例えるなら・・・お化け屋敷で突然現れる化け物か、あるいはドッキリ系のVR(バーチャルリアリティ)コンテンツ(?)に近い、と言えるだろうか。

まぁ、殺生に慣れた狩人や、少々根暗なシラヌイ辺りは、深海魚を意外に『かわいい』などと思っている可能性も捨てきれないのだが・・・。


「それなら、艦橋の外の廊下で、私たちを待っててもおかしくないんじゃない?特に、狩人さん辺りは、さ?」


ワルツのそんな言葉に対して返答したのは、魔力を使いすぎたためか、元はふっくらとしていたはずの尻尾が濡れたように萎々(しおしお)になっていたコルテックスであった。


「狩人様は、昼食の片付けがあって厨房からいらっしゃったようなので、また元の場所に戻られたのではないでしょうか〜?イブちゃんとシラヌイちゃんは・・・・・・この感じ、船内で迷子になってるんでしょうね〜」


と、一瞬、眼を細めて固まってから、そんな予想を口にするコルテックス。


「それ、否定出来ないのが嫌ね・・・」


彼女の話を聞いたワルツは、イブに前科があったためか、2人が船内で迷子になっている様子をリアルに想像できたために、思わず苦笑を浮かべるのであった。


と、そんな時である。


・・・・・・


「・・・ん?なんか聞こえない?」


ワルツの高性能マイクロフォンに何か小さな音が入ってきたらしく、彼女は耳を(そばだ)てながら、アトラスとコルテックスに問いかけた。


そんなワルツの問いかけに対して、


「幻聴だな・・・」


「幻聴ですね〜」


「なんで、2人揃って、テンポみたいなことを言うのよ・・・」


まるで可哀想なものを見るような表情を浮かべつつ、『幻聴』の一言であしらう2人。


しかし、どうやら、幻聴ではなかったらしく・・・


『ちょっ・・・シラヌイちゃん!や、やめっ・・・!』

『ふっ・・・今日こそは、我が家に伝わる、秘伝の術をお見せしましょう・・・』

『こらこら2人とも、はしゃぎ過ぎるなよ?』

『・・・今日で飛竜は卒業ですな・・・』


そんな声が、遠い廊下の向こう側から響いてきたのである。


「ほら、やっぱり、幻聴じゃないじゃない?」


明らかに聞こえたと断言できたので、再び2人に問いかけるワルツ。

しかし、アトラスとコルテックスの耳に搭載されていたマイクロフォンでは、やはり聞こえなかったようで・・・


『幻聴(だな・・・)(ですね〜)』


2人はそう言いながら、可哀想な表情・・・を通り越して、悲しそうな表情をワルツへと向けるのであった・・・。




ワルツたちが、声(幻聴?)を頼りに、昇降口のある区画へと足を進めると・・・そこには、ワルツが聞いた話し声の通りに、4人の仲間たちの姿があった。


そんな彼女たちが何をしていたのかというと・・・


バシャァァァンッ!!


と、水漏れで溜まっていた海水を使って、室内での海水浴を楽しんでいたのである・・・。


この区画は、エネルギアの中でも最も低い位置にあったためか、相当量の水が溜まっていた。

その上、外の冷たそうな海の水とは違い、船内の空調や配管などで暖められた水は、泳ぐのに適した温度になっていたようである。


「さて・・・。どう反応したら良いのかしら・・・?」


いつの間にか人の姿に戻っていた飛竜と、厨房に戻っていたと思っていた狩人、それに迷子になっているはずだったイブとシラヌイが、それぞれ4人とも、何故か自前の水着を来て、水遊びをしているのである・・・。

ワルツは、そんな彼女たちに対して、何と話しかければ良いのか分からず、途方に暮れてしまったようだ。

まさか、『目の前に海があるんだから、変なところで泳いでないで、外で泳ぎなさい』とは、間違っても言えないのだから・・・。


「良いのではないですか〜?別に室内プールでも〜・・・」


と言いながら・・・何故か、ストレッチを始めている様子のコルテックス。

その様子はどう見ても、皆に混じって泳ぐ気満々である。


「でもよ・・・この水・・・綺麗なのか?」


と、足元に溜まっている水に眼を向けながら、その眼を細めるアトラス。

艦内を流れてきた、ということは、機械油やその他の付着物など、様々な不純物を含んでいるはずなのだが・・・


「・・・綺麗に濾過しておきましたよ?」


と、ワルツたちの後ろから飛んできた声が、アトラスの懸念を払拭した。


「カタリナ姉も泳ぐ気なのか?」


アトラスが振り向くと、そこには水着の上から白衣を着たカタリナの姿があった。

どうやら、この透き通った海水は、カタリナが結界魔法を使って浄化した後の水、ということらしい・・・。

満腹状態で倒れていたはずの飛竜が人の姿になっているのも、恐らく彼女がどうにかしたからなのだろう。


「はい。あまり肌は強い方ではないので、こういった室内のほうが、私的にはありがたいですね」


そう言いながら、白衣の中に手を入れて・・・そして自身の身長よりも大きなビーチパラソルを取り出すカタリナ。

それと同時に彼女はビーチチェアを取り出すと、それらを浅瀬(?)に設置して、そのチェアの上に腰を下ろした。


「・・・もしかして、休憩中?」


「ええ。剣士さんの容体が落ち着いたので、後のことはテンポとシリウス様に任せてきました」


ワルツの問いかけにそう答えると、再び白衣の中に手を入れて・・・そして、トレジャーボックス(シュバル)を取り出して、ビーチチェアの上にゆっくりと置くカタリナ。

流石に、中身を出して、海水に(さら)すようなことはしなかったが、彼女はシュバルにも海水浴の雰囲気を味わわせたかったようである。


ワルツとアトラス、それにカタリナがそんなやり取りをしていると、


「よしっ!おっけーですよ〜!」


コルテックスが準備体操を終えたのか、


タッタッタッ・・・


と、()()()走って行って・・・


「てあっ〜!」


ドシャァァァンッ!!


と、仲間たちの前で、豪快に水柱を上げた。

その様子から推測するに、彼女が作り出す水柱は、彼女の運動エネルギーと、魔法を掛けあわせて作り出した複合的なものだったようだ・・・。


「・・・アトラスも行ってきていいのよ?」


「いや、俺は・・・」


ドゴォォォ!!


「ちょっ・・・何しやがる!姉k」


ドゴォォォォン!!


アトラスが女々しく何やら遠慮しようとしていたので、ワルツは重力制御を使って彼を吹き飛ばして、無理矢理に水中の深みへと沈めたのであった。


そして、その場に残ったのが、シュバルを除けば、ワルツとカタリナだけになった後で、


「・・・カタリナ?話は聞いてる?」


ワルツはカタリナに対して、今回の一件を知っているかどうかについて問いかけてみた。


「・・・マギマウスの件ですね。テンポと狩人さんから話は聞きました」


「そう・・・。なんか、今、面倒なことになってるみたいなのよ・・・あの島」


遺伝子操作の実験に使ったマギマウスを生きたまま投棄している無人島。

その周辺の海域で起こっている異常気象や、島から飛んできた超強力な魔法について、ワルツはカタリナに対し、改めて説明した。


するとカタリナは、トレジャーボックスの中で揺蕩(たゆた)っていた黒い影のようなシュバルのその頭(?)を優しく撫でながら、申し訳無さそうに言葉を返す。


「・・・責任は私たちにあるのですね・・・」


「・・・うん・・・」


肯定は出来ても否定はできなかったために、ただただ小さく頷くしかできなかった様子のワルツ。

それから彼女は、深く考え込んでいる様子のカタリナに対して、明るい表情を浮かべ直してから言葉を続けた。


「ま、貴女が責任を感じる必要はないわ。この件については・・・私の方でどうにかするから、貴女はリアを直す方法だけを考えていてちょうだい?」


「ですが・・・大変なことになっているのですよね?無人島から魔力特異体のマギマウスたちが逃げ出して、本土の方にも到達しているとか・・・。私の方でも何か別に対策を考えたほうが良いのでは?」


ワルツは、そんなカタリナの言葉が何を意味しているのかを想像して、苦笑を浮かべながら返答した。


「いいえ。もう対策は考えてあるから、貴女は動かなくても何も問題無いと思うわ?・・・というか、嫌な予感しかしないから、動かないで欲しいんだけど・・・」


「やはり・・・マギマウスを駆逐するための人工生命体(キメラ)を散布するのは拙いでしょうか・・・?」


「・・・それをやったら、マギマウスだけじゃなくて、多分、全世界から、人間とか他の動物もいなくなりそうじゃない?」


「その時は・・・・・・その時ですね」


と、否定しないカタリナ。

恐らく、彼女は、冗談で言っているはずだが・・・否定しないところを見ると、もしかすると、本気で危険な生物兵器を作るつもりだったのかもしれない・・・。


「・・・うん、大丈夫よ?どうにかなる・・・っていうか、どうにかするから、貴女は絶対に何もしないで・・・」


「そうですか・・・。では、申し訳ありませんが、この件はワルツさんにお任せしようと思います」


そう言って笑みを見せ合うカタリナとワルツ。


こうして、今回のマギマウスの一件には、カタリナが参加することはなく、ワルツ一人によるミリマシンの大量生産によって、片付けられる運びになったのであった・・・。

・・・最近、書き続けていて思うことがあるのじゃ。

ストックを貯めて、1日書かないと・・・次の日書くのが辛いのじゃ・・・。

これが・・・脳筋というやつかのう?

なお、2日以上書かないと、比例的に辛くなっていく模様、なのじゃ。


さて。

明日は忙しい故、さっさと補足に入ってしまうのじゃ。


まずは・・・『味わわせる』という言葉かのう?

これは、誤植ではないのじゃぞ?

『味あわせる』は本来、間違いで、正しくは『味わわせる』らしいのじゃ。

なんか、『味わわせる』をじーっと眺めておると・・・違和感がひたひたと漏れ出てくる気がしなくもないのじゃが、調べてみると正しいらしい故、関心したので取り上げてみたのじゃ。


ちなみにじゃ?

揺蕩(たゆた)う』という言葉については、説明しなくても良いじゃろうかのう?

簡単に言うと・・・ゆらゆらと揺れている様子なのじゃ。

個人的に、この言葉が好きだった故、使ってみたのじゃ。

詳しくはggrなのじゃ。


まぁ、そんなところかのう。

カタリナの殿の言葉で、一部補足が必要かと思う部分が無くもないのじゃが、まぁ、前後の文で予測可能じゃから、省略させてもらうのじゃ。

ご了承ください、なのじゃ!


・・・次回、『めておすとらいく〜!!ドゴォォォォン!!』乞うご期待!なのじゃ?

・・・こうして、この星は、コルの魔法によって滅びてしまったのじゃ。


・・・嘘じゃよ?

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