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7.1-14 どーくつ探検3

それからイブが、飛竜の保護者よろしく、ポケットから出したマナを彼女に飲ませて、無事に人の姿に変身させた(戻した)後。

壁に強く後頭部をぶつけたためか気を失ってしまていた勇者の身体に、シラヌイが偶然持ち合わせていた白い布をかぶせてから、一同はトンネルの中を、先へ先へと進んでいった。

その際、勇者に布をかけていた魔族であるイブとシラヌイが、彼に対して言い知れぬ難しい視線を向けていたのだが・・・彼女たちにとって、本来、天敵(テロリスト?)でしか無い勇者が、物言わず地面に沈んでいる姿を見て、2人がどう思ったのかについては・・・直接言わずとも、その白い布が全てを物語っていると言えるだろうか。


まぁ、それはさておき。

何故、コルテックスたちは、来た道を戻らずに、暗い洞窟の先へと進もうとしていたのか。

勇者が戦っていた大きなミノタウロスを飛竜が倒した(?)時点で脅威は去ったはずなので、さっさと街に戻っても良かったはずなのだが・・・


「いや〜、思うんですよね〜。たかだかミノタウロス一匹に、勇者が苦戦するのはおかしいと・・・。もちろん、勇者がものすごく弱かった可能性も否定は出来ないんですけどね〜。ね〜?アトラス〜?」


と言い出したコルテックスが、一切戻る素振りを見せずに、ひたすら前へ前へと歩き続けていたことが、その最たる原因だったのである。

今もなお先頭を歩き続けていた彼女の尻尾が、右へ左へとブンブンと振れているところを見ると・・・どうやらコルテックスは、まだミノタウロスの家畜化を諦めていないらしい・・・。


「・・・その質問にすごく答えたくないんだが・・・。・・・でも、確かに、ミノタウロスが他にもいる可能性は否定出来ないな。・・・むしろ、そうでないと、勇者が浮かばれないというか・・・」


「アトラスは、さり気なくヒドイことを言いますね〜。勇者様はまだ死んでいないのに〜・・・」


「おまっ!誰だよ!白い布を被せるとか、最初に言った奴!」


「・・・あの、すみません。私です・・・」


「・・・・・・え?・・・なんか・・・すまん」


勢いで言ったは良いもの、実は布をかぶせることについて提案したのが、コルテックスではなくシラヌイだったことを思い出して、シュンとなって謝るアトラス。


その後、頭を上げたアトラスは、先ほどのことを思い出したのか、はっとした表情を見せながらシラヌイに問いかけた。


「そういえば、シラヌイ?もしかしてシラヌイの戦闘って・・・実は特殊だったりするのか?」


剣を敵に対して投げつける・・・。

それ自体は、特別なことではないだろう。

長い投げナイフ、と言う言葉が示す通り、ナイフのような刃物を投げつけるという文化は間違いなく存在しているのだから・・・。


だが、シラヌイの場合は、投げたナイフ・・・もとい大剣のサイズに、まさに()()()問題があった。

自分の身長ほどはありそうな大剣を、片手で軽々と持ち上げると、まるで軽いブーメランを投げつけるかのように、相当な距離が離れていたはずのミノタウロス対して、迷うこと無く投擲したのである・・・。

その様子は、どう見ても、か弱い少女がするような行動には見えなかったのだ。

例えるなら、鬼が棍棒を投げる様子に近いというべきか・・・。


そんな理由があったためか、アトラスは困惑したような表情を浮かべながら質問を口にしたのだが・・・彼の質問に対して、シラヌイは・・・


「えっ・・・?!あ、あのっ・・・」


と、あたふたした後で、何故か小さくため息を付きながら、その回答を口にした。


「・・・やっぱり、おかしいですか?」


「いや、人それぞれに戦い方があるはずから、おかしいとか間違ってる、ってことは無いんだが・・・ちょっと見たことがない戦闘スタイルだったから驚いたというか・・・」


「・・・そうかもしれません。あれは・・・なんというか、非常にお恥ずかしい話なのですが・・・以前、出来の悪い剣を打った時に、イラッとして投げたことが発端で身についた癖というか・・・」


『(うわぁ・・・嫌な癖・・・)』


言葉を向けられていたアトラスだけでなく、周りの者たち全員がそう思ったのか、一様に眉を顰める一同。

恐らくこれから先、シラヌイが鍛冶に勤しんでいる間は、少なくともここにいるメンバーが彼女に近づくことはないだろう・・・。


「そ、そうなのか・・・。癖であんなことができるようになるなんて・・・シラヌイはすごいな・・・」


アトラスは、何か返答しないと拙いと思ったのか、考えついたことを、無理やり、といった様子で口にした。

すると彼の言葉に対して、シラヌイは苦笑を浮かべると、額の左右から2本生えていた小さな角に左手で触れながら言葉を返す。


「いえ、そんなことはありません。鬼人族は、力自慢だけが取り柄ですからね。・・・って言っても、私は全く力が無いので、取り柄らしい取り柄は無いんですけど・・・」


「いや、そんなことはないと思うぞ?俺が音を上げるくらいの勢いで折り鶴を折れるとか、この世界じゃ、多分、姉貴とシラヌイくらいしかいないしな・・・」


そう言いながら、苦笑を浮かべて、頬を掻くアトラス。


そんな彼の発言を聞いて・・・ここまで静かだったコルテックスが再び口を開き始めた。


「そうだったんですか〜。まだまだ余裕があったんですね〜。では今度、腕が使いものにならなくなるくらい、壮絶な仕事を回しますね〜」


「ちょっとまて、コルテックス!普段からのお前に頼まれる仕事には碌なものがないのに、これ以上とか・・・絶対無理だって!」


アトラスはそう言って、首と手を必死な様子で振り始めた。

どうやら彼には、本当に余裕が無いらしい・・・。


「・・・そうですか〜。残念ですね〜。この際だから、身体を壊して、カタリナ様に作りなおしてもらう、という選択もありかと思ったのですが〜・・・。そうなると、身体をアップデートして、今まで以上に馬車馬のように働k・・・・・・おや〜?洞窟の奥の方に何か見えましたね〜?」


「・・・今、本音、言っただろ?」


「よく分かりましたね〜。流石は私の騎士様〜」


「少しは否定しろよ・・・」


と、コルテックスとアトラスが、いつも通りのやり取りをしていると・・・


ブゥン!

ドゴォォォォン!!


という風切り音と爆音が、突然辺りを包み込んだ。


『?!』


(あっぶ)ね・・・」


自分たちに襲いかかってきたモノが何なのか理解できなかったためか、唖然とする仲間たちだったが・・・その直後、アトラスが()()()()()ものに気づいたためか、彼女たちはそれまで以上に、驚愕の表情を浮かべた。


彼が、一体、何を受け止めたのかというと・・・


「そうだよな・・・。こっちが剣を投げたんだから、向こうも同じような戦い方をしてきてもおかしくないよな・・・」


そんな言葉の通り・・・先ほど倒したミノタウロスが持っていたものと酷似した、巨大な両刃斧(ラブリュス)だったのである。

どうやら、トンネルの暗闇の向こう側には、まだ他にもミノタウロスが潜んでいるらしい・・・。


「コルテックスのさっきの警告、でまかせじゃなかったんだな・・・」


そう言いながら、片手で受け止めた大きな斧の刃の部分を・・・


バキバキッ!!


と握りしめて破壊するアトラス。


するとコルテックスは、彼の言葉に眉を顰めると、頬をふくらませながら言葉を返した。


「当たり前じゃないですか〜。ここには、ミノタウロスを捕まえに来たんですから〜」


「観光じゃなかったのかよ・・・」


「それは〜・・・まぁ、ミノタウロス狩りも観光の一種と言えると思うので、齟齬(そご)は無いと思いますよ〜?いちご狩りとかは観光なわけですし〜」


「全く違うだろ・・・っていうか、今、言い訳を即興で適当に考えただろ・・・」


「そんな細かいことを気にしてると、すぐに老けますよ〜?」


『・・・・・・』


最早、どこからツッコんで良いのか分からない状況に、不機嫌な様子で閉口するアトラス。

それとは別に、彼の手によって、いとも簡単に斧が握りつぶされたという状況が理解できなかったためか、アトラスとは違う意味で閉口する仲間たち。


そんな様々な色を含む沈黙が、辺りの空気を包み込んだ頃・・・


ムォォォォ!!


洞窟内を、文字通りの雄叫びが響き渡ってきたのである・・・。

ここからはハイブリッドテレサがあとがきを書いて行きますのじゃ〜。

・・・やっぱり、無理だから、止めるのじゃ・・・。

コルと妾の話し方の親和性が無さ過ぎて、破綻するのが目に見えておるのじゃ・・・。


まぁそれはさておき、なのじゃ。


・・・いやの?

さっさとトンネルの話を終わらせて、次の話に進もうと、ずっと思っておったのじゃ。

それは今でも変わらぬのじゃぞ?

じゃがの・・・。

アレとコレとソレの話をまだしておらぬし、ミノタウロスの話は未だ終わっていない故、早々に切り上げるのが難しいのじゃ。

・・・もう、アトラスとコルの話はお腹いっぱいなのじゃ・・・。

・・・まだ、続くがの。


まぁ、それは、どうにか面白()()()話で誤魔化すとして・・・。

今日の分の補足しようと思うのじゃ?


・・・じゃがの。

今日も特に書くことがないと思うのじゃ。

いや、ちゃんと考えればあるとは思うのじゃが、別に作業しながら物語を書くというのは、中々に難しくてのう・・・。

GWなのに忙しいとか、もう駄目かもしれぬ・・・。


というわけで、これから冷やし中華を作ってくるのじゃ!

え?何故作るかって?


それは・・・・・・美味しいからのう・・・。

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