7.1-04 初めての長旅4
ワルツたちが、5分ほど、賢者からサウスフォートレスの復興状況の説明を受けていると・・・
「お待たせしました〜」
嬉しそうに獣耳をピコピコと揺らしながら、忘れ物と思わしき鞄を肩に掛けたコルテックスが、ゆっくり歩いて戻ってきた。
「〜♪」
「ん?なんか嬉しい事でもあったわけ?」
「いえいえ。ちょっと剣士さんが、モノ言わぬ肉塊になっていただけですよ〜?」
『えっ・・・・・・』
嬉しそうな表情と言動が一致しないコルテックスの発言に、自身の耳を疑う仲間たち。
その中で、最初に我を取り戻し、彼女に問いかけたのは、剣士と一緒に先ほどまで朝食を摂っていた賢者だった。
「あの・・・コルテックス様?一体何があったのですか?」
「そうですね〜。未成年者である私(0歳)が言うのもどうかと思いますけど、剣士様も、エネルギアちゃんも、ちょっと特殊な性癖をお持ちだったようですよ〜?」
『・・・・・・は?』
「すこしショッキングな内容かもしれませんので、成人している方にも刺激が強すぎるかもしれませんが〜・・・それでも聞きますか〜?」
と、いつもの柔和な表情を変えずに、そう話すコルテックス。
『・・・・・・?』
彼女の言葉の意味が分からなかったのか、シラヌイや飛竜、そして何故かユキは、訳が分からなそうに頭を傾げた。
一方、流石に賢者には、その言葉の意味が分かっていたようで、『朝っぱらから何やってんだあいつ・・・』と呟きながら眉を顰めていたが・・・・・・その他、実年齢が最年少であるはずのイブも、その顔を赤らめていたのは、一体どういった理由からだったのだろうか・・・。
「・・・いや、言わなくてもいいわ。どーせ、また、剣士がエネルギアに轢かれたんでしょ?」
賢者やイブとは、また少し異なる、微妙な表情を浮かべていたワルツには、毎度のことなので、大体の予想ができていたようだ。
その際、ワルツの隣りにいた狩人も苦笑を浮かべているところを見ると、彼女にも結末が分かっていたのかもしれない・・・。
「流石はお姉さま〜。詳しく語らずとも理解していただいて、とても助かります。・・・それはもう、説明に困るような状況になってしましたからね〜」
「・・・別に、剣士が私の忠告を聞かずに半端な装備でエネルギアに会いに行って、彼女にボッコボコにされた、って言えばいいだけだと思うんけど?ま、それが剣士とエネルギアの特殊な愛情表現、って言われれば・・・確かに否定はできないんだけどさ?」
「やっぱりそう思いますよね〜」
そう言って、お互い、意味深げに頷き合うコルテックスとワルツ。
すると、2人のやり取りが一段落するのを見計らっていたのか、それともそれ以外に何か理由があったのか、狩人が場を仕切りなおすように口を開いた。
「・・・さて、そろそろ行こうか?」
そう言った彼女の視線の先には、堂々と街の前に着陸したために、サウスフォートレスの市民たちの眼に容赦なくさらされることになった巨大なエネルギアの姿があった。
そして言うまでもないことだが、エネルギア本体だけでなく、エネルギアに乗ってきた自分たちにも、多くの人々の視線が集まりつつあったのである。
恐らく彼女は、人の眼が気になるワルツのことを考えて、早く用事を済ませてしまおう、ということにしたのだろう。
「・・・そうですね。早く用事を済ませるに越したことは無さそうですね」
ワルツも彼女の意図に気づいたのか、頷いてから、仲間たちの前に進み出た。
「ちょっと、伯爵んとこ行ってこようと思うんだけど・・・他にも、一緒に行きたいって人いる?コルテックスとか」
すると、ワルツに水を向けられたコルテックスは、肩からかけていた鞄の上に手を置くと、首を横に振って口を開いた。
「いいえ。今日はオフで来てるんですから、アレクサンドロス夫妻には悪いですけど、町の中の散策をしてみようと思います。何だかんだ言って、サウスフォートレスに来るのって、初めてのことですからね〜」
「そう・・・。でも、その格好で行くの?」
「何かおかしいですか〜?」
「・・・いや、別に気にしないなら良いけど・・・」
と、スク水の姿のままで首を傾げるコルテックスに、細めた視線を向けるワルツ。
ともあれ、本人に気にした様子は無さそうなので、彼女はそれ以上、問いかけるのを止めることにした。
「他に来る人は・・・」
「なら、ボクも一緒に付いて行ってもいいでしょうか?」
コルテックスが来ないというので、ワルツが他に付いてくる者がいないかどうかを問いかけると、お腹に力を入れて何かを隠そうとしていた様子のユキが、おもむろに手を上げた。
「狩人様にはいつもお世話になっておりますので、是非、親御様にはご挨拶したいと思いまして・・・」
「ん?ユキのことを世話した記憶は・・・無いぞ?」
「いえいえ、食事を作っていただいたり、毎朝起こしていただいたり、それに、お風呂の準備をしていただいたり・・・」
(・・・もう、どう考えても、親の役割よね・・・それ)
「そんな感じで、まるで、献身的な奥さんのようなことをしていただいてますから」
「あ、そっちね」
どうやら、ユキにとって、ベルツ伯爵たちに会いに行くことは、親の親、つまり祖父母に会いに行くようもの・・・ではなく、妻の両親に挨拶しに行くようなものに近いのかもしれない・・・。
まぁ、実際には親戚でも何でもなく、単なる赤の他人なのだが、それでも世話になっていることについて礼をしに行こうと考えるのは、流石、250歳を超えるユキならでは、と言えるではないだろうか。
「・・・というわけなんですけど、狩人さん、良いですか?」
これから向かうのは狩人の実家なので、彼女に対して確認を取るワルツ。
「あぁ。もちろんだ。親しい友人のことを親に紹介できる日がまたやってくるなんて、私は幸せものだな・・・」
狩人はそう言って、フッ、っと清々しい笑みをその場に残すと、皆に背を向けて歩き出した。
そんな彼女の後ろ姿に・・・
(そういえば、狩人さん・・・最近までボッチだったのよね・・・)
と、以前、狩人自身が、ボッチ宣言をしていたことを思い出すワルツ。
それからワルツはその場にいた者たちに問いかけた。
「他には・・・いないわね?賢者さんも行かないわよね?」
「あぁ。むしろ、ビクトールのことの方が気になるんだが・・・仕方あるまい。この場で工事の現場監督を続けることにしよう」
賢者はそう言いながら、近くにいた工事関係者へと目配せをした。
副音声で、『作業を続けろ』と指令を出したようである。
「そう。じゃぁ、みんな?1・・・いえ、2時間後にまたここで集合ね?」
『は〜い!』
ワルツの言葉に、まるで生徒のような返事を口にする、平均身長140cm未満の仲間たち。
そんな、彼、彼女たち(?)の返事を聞いて、安心したのか、ワルツはユキと共に、狩人の背中を追いかけていった。
というわけで、ここに残っているのは・・・
コルテックス 142cm
アトラス 150cm
シラヌイ 138cm
イブ 128cm
飛竜 138cm
この5人である。
そんなパーティーのリーダーは・・・
「じゃぁ、私がリーダーやるかもだs」
イブ・・・・・・ではなく、
「では、行きましょうか〜」ニコォ
「・・・ひぃっ?!」
・・・金属製のワイヤーと鋼板で簀巻き状態にしたアトラスを、喜々として引きずっていたコルテックスであった。
そんな、多くを語らずに先頭を歩き始めた彼女の後ろを、文句を言わずに皆が付いて行ったのは、コルテックスがリーダーとしての資質を持っていたためなのか、それとも・・・何か拒否することのできない特別な理由があったからなのか・・・。
ともあれ。
こうして、見た目だけ少年少女たちな一同(?)は、サウスフォートレスの町の中を探検(?)すべく、町に出入りする人々の入出管理を行っていた検問所へと、足を進めたのである・・・。
むー・・・。
まだ読みにくい気しかしないのじゃ・・・。
だからといって、何故読みにくいのか分からぬ今日このごろなのじゃ。
仮眠してすっきりしてから書くと良いのかも知れぬが、今日はねておらぬしのう・・・。
明日は、まともに書けると良いのう。
と、まぁ、それは置いておいて、なのじゃ。
次話辺り、タイトルを変えようかのう?
ここまでがイントロダクションとしても問題ないような気がするのじゃ。
じゃがそうなると、コルたちのサウスフォートレス探検(?)が長引いてしまうかもしれぬがのう?
そんなにサウスフォートレスの中って・・・探検する場所は無かったように思うのじゃが・・・まぁ、よいか。
というわけでじゃ。
今日は補足する場所が無いと思う故、あとがきはここらへんで終わらせてもらうのじゃ。
それに妾にはこれからやらねばならぬことがある故、今日は申し訳ないのじゃが、この辺でお暇させてもらうのじゃ。
それでは・・・zzz・・・
zzz・・・ん?いや、寝てはおらぬのじゃぞ?
・・・zzz。




