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6後後-20 飛竜と戦艦2

艦橋で仁王立ちしながら、初めて使うホログラムモニターと格闘する・・・飛竜。


「ふむ・・・これを押してから、これを押すと・・・」


ピッ・・・


ドゴォォォォン!!


「なるほど。やはり簡単ではないか」


エネルギアから放たれた小型の荷電粒子が、遠くの山(ユキ達の故郷)の頂上を吹き飛ばした様子を見て、彼は納得げに頷いた。


「問題は、これをどうやって利用して、彼奴(きゃつ)の足を止めるかだが・・・」


武器を試射したり、考えこんだりしている間にもゆっくりと街の方へ移動しようとしているプロティービクセンに対して、どう行動するかを考えこむ飛竜。

・・・しかし、


「(これはいかん。街に近づかれてしまってからでは、攻撃できなくなりそうだ・・・)」


今もなお、(ある)き続けている迷宮と、エネルギアの武器の威力を考えて、自身の行動にあまり余裕がないことを悟った。


「(先ずは街ではなく、こちらに注意を向けさせるか・・・)」


そして飛竜は・・・武器選択画面から、一本だけ線の描かれたスイッチを押すと・・・その後で、ジオラマの地面に立つ迷宮の模型全体を、そのウロコだらけの硬そうな手で、撫でるようにして触れたのである。


その瞬間、


チュウィーーーーン!!


まるで空間を引き裂くような、眩しい光の筋が現れた。

空中に漂う空気の分子をプラズマ化させながら進む・・・レーザーである。


それがエネルギアの前面部から、無数に放たれたのだ。


ジュワァッ!!


・・・という音は聞こえてこなかったが、迷宮の表面に当たって、急激に肉を焼いていく無数のレーザー。


そんなレーザーが、迷宮を貫くことがなかったのは・・・どうやら、エネルギアが、わざと焦点をずらしていたためのようである。

先程まで地面を跋扈していた無数の魔物たちに対応するために、貫通性を高めるよりも、殺傷の効果範囲を広げたセッティングにしていたようだ。

そのおかげで、迷宮の内部にいるだろう市民やワルツたちを傷つける事は無さそうである。


「(・・・やはり、凄まじい威力だ・・・。我のブレスも、このくらいの威力があると良いのだが・・・)」


と、そんなことを考えていると、思わず気が高ぶり、艦橋の中でブレスを吹きそうになってしまう飛竜。

しかし、どうにか口を閉じて、ブレスを飲み込むことに成功した。

もしもここで吹き出していたならどうなっていたか・・・彼はふとそんなことを考え、色の変わらない顔を青くした。


すると、


ゴゴゴゴゴ・・・


ゆっくりと移動していた迷宮が、飛竜の思惑通りにエネルギアへと意識を取られたのか、その歩みを止める。

そして・・・


ブォォォォン!!


・・・迷宮に突入しようとしていたワルツたちに襲いかかった時のように、その巨大な腕を、エネルギアに向かって振りかざしてきたのである。


「ふむ。このままだとぶつかるな・・・」


自分の乗る船に向かって迫り来る迷宮の手のひらを前に、腕を組んだまま固まる飛竜。

そして彼は・・・


「・・・許せ、(イブ)よ」


すんなりと諦めた・・・。


その瞬間、


グィィィ・・・


っと、エネルギアの機首が持ち上がったかと思うと、


ブォォォォォォン!!


艦の直下ギリギリのところを迷宮の腕が通過していく。


「?!」


全く揺れも、加速感も感じなかったが、突然変わった景色を目の当たりにして勝手に身体が動き、思わず後ずさってしまう飛竜。

すると、


『ちょっと諦めるの早いんじゃない?ドラゴンさん?』


そんな声が天井に浮いていた、透明なモニターから聞こえてきたのだ。

そう、エネルギアが戻ってきたのである。

どうやら、エネルギアがぶつかる(すんで)のところで操艦したらしい。


「ぬ?エネルギア殿か・・・助かった。礼を言う」


そう言って、エネルギアの声の聞こえた方に向かって、まるで人のように頭を下げる飛竜。

社会的な生活を送って来なかった彼のことを考えるなら・・・どうやら、人の動きを真似しているようである。


『避けるのがギリギリになったのは、僕がここにいなかったことが原因だから礼を言う必要はないけど、別に腕くらい吹き飛ばせばよかったのに・・・』


「・・・確かに・・・」


・・・エネルギアに言われて、飛竜はその失念に初めて気付いたようだ。


それからエネルギアは、スピーカーの向こう側で少しの間だけ黙り込んだ後、飛竜に対して口を開いた。


『ドラゴンさん。一言だけ、言わせてほしいんだけど、いい?』


「どうしたのだ?」


まさか、自分が使えないから役割を外されるのでは・・・と内心で恐れる飛竜。

しかし飛んできた言葉は・・・


『・・・もうやめてよ?船の中で火を吹くの。この船、僕の身体なんだし、痛いんだから・・・』


・・・エネルギアが持っていた、飛竜に対する要望であった。

そんな彼女(?)の言葉に、


「・・・申し訳ない・・・」


飛竜は、本当に申し訳無さそうな様子で、頭を下げたのである。

・・・あるいは、2人の間で和解が成立した、とも言えるだろうか。




それから、2人で協力して戦うことになった飛竜とエネルギア。

飛竜が攻撃手で、エネルギアが操舵手という役回りである。


・・・が、


ドゴォォォォン!!


『ちょっと、ドラゴンさん!どこに向かって撃ってるの?』


的外れも良いところ、といった様子で、遠くの山(ユキ達の故郷)の中腹に突き刺さるレールガンに、エネルギアは不満気な声を上げた。


「いや、相手の動きを先読みして攻撃しておるのだが、近くの(モニター)と遠くの景色とを交互に見ながら攻撃するというのは、どうにも我には難しいのだ」


という飛竜の言葉通り、どうやら彼にとっては眼の焦点を行ったり来たりさせることが難しいようで、迫り来る迷宮の腕に対して攻撃を当てることができなかったのである。


とはいえ、彼の眼が特殊な作りになっているわけではなかった。

そもそもホログラムのモニターは、大雑把な表示しかできなかったので、迫り来る迷宮の手などをリアルタイムで表示することが出来なかったのである。

故に飛竜は、実際に見える景色に対応させる形で、ジオラマに向かって操作を行っていたのだが・・・外を見て、中を見て、と何度も繰り返すことの大変さは、想像に難くないのではないだろうか。


その上、ジオラマの風景がノースアップ(常に北向き)で固定されていたのである。

景色はグルグルと回っているのに、ジオラマは動かない。

この間の位置の置き換え(座標変換)を即時に行うというのは・・・飛竜の頭では、ほぼ不可能に近かったのだ。

・・・なお、言うまでもないことだが、()()()()()にとっても容易ではない。


「・・・だ、だめだ・・・。頭が追いつかぬ・・・」


先程、イブやユキが楽しそうに(?)魔物を攻撃していた様子を思い出しながら、『人の頭は、一体どんな作りになっておるのだ・・・』と、自分の物理的に硬い頭を抱える飛竜。

なお、彼女たちが攻撃していた際は、対象が動くわけでもなければ、外の景色とジオラマの対応付けをする必要も無かったので、ここまで高難易度の攻撃ではなかった・・・・・・と、彼の名誉を考えて、一応記しておこう。


『むー。ドラゴンさん、諦めるの早すぎ』


そんな彼に、再び不満気な言葉を口にするエネルギア。

すると彼女(?)は・・・飛竜にとっては意外なことを口にした。


『じゃぁ、僕が攻撃するから、飛竜さんが船を操縦してよ』


「む?!」


その言葉に、思わず眼を輝かせる飛竜。


「ほ、本当に良いのか?!」


『えっ・・・いや、そのつもりなんだけど』


何故飛竜が嬉しそうな様子なのかエネルギアにはよく分からなかったが、彼女(?)は操縦についての説明を行うために、自分のことを追いかけてくる迷宮から一旦距離を取ると、船を水平にして速度を落とした。


『ドラゴンさんに合った操縦方法ねぇ・・・』


そう口にしてから考えこむエネルギア。

普通に考えれば操縦桿(ジョイスティック)操縦輪(ハンドル)のようなものをミリマシンとホログラムを使って構築すれば良いようにも思うのだが・・・この世界生まれのエネルギアにとっては、操縦装置に関する知識が無かったため、思い至らなかったようである。

この船に操縦するための専用の機器がついてなかったことも、その原因の一つと言えるだろうか。


ちなみに、以前、テンポたちがどうやって操縦していたのかというと・・・モニターに手を当てて、そこから筋電位を取得して操作するという、ある種のキーボードのようなインターフェースを使っていたのである。

ただ、飛竜の大きな腕で操作できるような大きさではなかったが・・・。


つまり、普通の方法で飛竜がエネルギアを操縦することは不可能だったのである。

・・・そう、普通の方法では。


『えぇと・・・』


そう言うと・・・艦橋の通気口から、ミリマシンを集め始めるエネルギア。

それから彼女(?)は、そのミリマシンで、飛竜の翼を包み込んだ。


「な、何なのだ、これは・・・妙に重いぞ?」


と言いつつも、外見上は重さを感じさせない飛竜。


『それは・・・この船を操作するための道具だよ?まぁ、最初は少しアシストするから、少しずつ慣れてって?』


「う、うむ。分かった」


どう操作するのか分からなかったが、とりあえず飛竜は頷いた。

もちろん、エネルギアの方も、操縦方法を知らせずにいきなり操作を任せるような真似をするつもりは無かったようで・・・


『それじゃぁ、最初に、キャリブレーションを行うから、上に昇りたいって感じで羽を動かして?』


そんなことを口にした。

むしろ、飛竜の普段の動きに対応した操作方法を構築することにしたようである。


「ふむ・・・」


そんなエネルギアの言葉に、大空を滑空している際、少しだけ上昇するときのような羽の動かし方をする飛竜。

もちろん、羽ばたくのではなく、飛膜を動かしただけである。


『ふーん、そんな感じで動かすんだ。じゃぁ次・・・』


それからエネルギアはミリマシンを使って、上下(ヨー)左右(ラダー)回転(ロール)、更には加減速の操作に関する動きを計測した。


「次は・・・どうするのだ?」


少々、翼にむず痒さを感じつつ、そんなことを問いかける飛竜。


『じゃあ、本番いってみよっか!』


「・・・は?」


そして唐突に、飛竜の操艦が始まったのである。


・・・いや。

全ての準備が整ったのだ。

昨日は、大変だったのじゃ。

別にあとがきを書くのが面倒になったわけではないのじゃぞ?

・・・ルシア嬢の転移魔法で、風呂に沈められたのじゃ・・・。

やはり、料理のネタは書くものではないのう・・・。

じゃが、これからしばらく先、ミッドエデンに戻った後で料理ネタが・・・いや、今から覚悟しておくのじゃ・・・。

・・・嫌じゃのう・・・。


さて。

補足なのじゃ。

いやの?

エネルギアと飛竜は仲が悪いという設定でも良いかと思ったのじゃが・・・これほどまでに相性の良い者たちもおらぬと思って、仲直りさせたのじゃ。

・・・時間があれば、もう少し細かく書きたかったのじゃが・・・時間に追われておる書き方をしておるから、それは難しかったのじゃ。


あとは・・・あ。

そうじゃ。

もう一つの方の物語を書かねばならぬから、今日はこの辺でおしまいにするのじゃ。

そうじゃのう・・・あっちの話の区切りがよいから、試しに公開してみるかのう・・・。

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