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6後後-18 迷宮探検?4

『わ、ワルツ様とルシアちゃん?!』


ユリアとシルビアの2人が、地面(?)に開いた穴から、ワルツたちが浮かび上がるようにして現れたことに、そんな驚いた声を上げた・・・そんな時であった。


ゴゴゴゴゴ・・・!!


迷宮の壁全体が波打つように変形を始めたのだ。


「あ、ごめん。やっぱ、ダメだったかー・・・」


「えっ・・・何の話ですか?!」


あっちゃー、といった様子で額に手を当てるワルツに、少々焦った様子で問いかけるユリア。


「前にも同じようなことになったけど、迷宮の壁って穴を開けると、内部の構造が大きく変わっちゃうっていう話があったの覚えてる?」


「えっ・・・じゃぁ、これってもしかして・・・」


「そ。ここまでずっと、(ひら)けた空間に出ないように肉の中を進んできたんだけど、そろそろ胃かなって思って、外に出たのよ。そうしたら、こんなことになっちゃった、ってわけなのよ。ホント、運が悪いわね、貴女がた。・・・いえ、むしろ、運が良いって言うべきかしらね?」


『・・・?』


何故自分たちの運が話に出てくるのか分からず、2人が眉を顰めながら首をかしげていると・・・


ピタッ・・・


・・・周囲の壁が、何事もなかったかのように、静まり返ったのである。


「運がいいっていうのは・・・こういうことね。空間を固定したわ」


「えっ・・・つまり、迷宮の中が変形しないってことですか?」


「他の部屋はどうか知らないけど、少なくとも、この部屋の中がこれ以上変形することはないわね」


と言いながら、ビーフジャーキーに齧りつくワルツ。

どうやら空間を固定するために消費するエネルギーは小さく無いようだ。


「で、二人はここで何やってたわけ?」


そんなワルツの問いかけに対して、シルビアが答える。


「えっと、石投げです!」


「違っ!」


後輩ちゃん・・・たまに天然よね・・・、と内心で考えつつ、思わず後輩にツッコんでしまうユリア。

それから彼女は、ワルツに対して、正しい経緯を簡潔に説明する。


「ワルツ様方と別れて王城に戻った際、後輩ちゃんと一緒に、ここへ強制的に転移させられてしまったんです。ですが、自力で逃げ出すことが叶わなかったため、ワルツ様方の救出を待っていた、という次第です」


「・・・で、石を投げていたと?」


「・・・まぁ、そんなところです」


石を投げていた事自体は本当のことなので、ユリアはどこか釈然としない表情を浮かべながらも、ワルツの指摘に頷いた。


「なら、やっぱり、運が良かったわけね」


そう言って一人納得げに頷くワルツ。

そんな彼女に、今度はシルビアが、不思議そうに問いかける。


「あの・・・ワルツ様?何で、耳と尻尾が生えてるんですか?」


「あぁ、これね。これは・・・アレよアレ」


そう言ってから・・・少しだけ考えこむワルツ。

このまま正直に、市民に本当の姿を見られたくなかった、と説明すべきか否かを悩んだのである。

それ自体は、シルビアたちに隠すことでも何でもなかったのだが・・・ワルツの実にどうでも良い矜持(きょうじ)が、彼女の心を悩ませたらしい・・・。


それからワルツは、一人納得したように頷くと、隣で宙に浮いていたルシアの背中に、自身の身体を(ひるがえ)らせるように移動した。

そして、


ギュッ・・・


ルシアに後ろから抱きつくと、


「ルシアのお姉ちゃんをやってたのよ」


そう言いながら自身の髪と獣耳と尻尾の色を、普段の白っぽい金色・・・要するに、今のルシアの髪の色に近い色へと変化させたのである。


・・・すると・・・


「・・・」ポッ


・・・何故か顔を真赤にして、されるがままになるルシア。

そして、


『・・・う、うらやましい・・・』


・・・おそらく3つ以上の意味で、ユリアとシルビアが羨望の眼差しを向けてきた。


「そ、その隙間に、私も挟めてくれないですか・・・?」


「・・・は?」


「いやいや・・・先輩じゃ無理ですって!ここは私が・・・」


「いや、2人とも、一体何を考えて・・・・・・ちょっ、やめっ・・・」


・・・こうして、ルシアを抱っこしたままのワルツは、迫ってきたユリアとシルビアを重力制御で地面に叩き落とす・・・わけにもいかなかったので、二人揃って遠心分離器の刑に処するのであった。

まぁ、早い話が、自分たちの周りでグルグルと回して眼を回させる、というものである。

・・・尤も、彼女たちに反省している様子はなく、むしろ、回転の中心にいたワルツたちに向かって、周回しながら恍惚(こうこつ)とした視線を向けていたようだが・・・。




「・・・で、市民たちを救い出したわけね?」


「うっぷ。はい、そうです。・・・うっぷ」


再び黒い髪に戻ったワルツは、気持ち悪そうな顔色をしながらも、気持ち良さそうな表情を浮かべているユリアたちから、助け出した市民たちのことについて聞いていた。


「ですが、全員ではなく恐らく3割程度ではないかと。うっぷ」


「ふーん。そんなに運んだなんて・・・なかなかやるじゃない。そうそう簡単に出来るものじゃないわよ?」


「あ、ありがとうございます!うっぷ」


と、真っ青な顔色で、笑みを浮かべるユリア。

一方シルビアの方は・・・


「・・・うっっっぷ?!」


・・・市民を助け出した際のユリアの触手魔法(?)を思い出したのか、何か喉からこみ上げてくるものがあったようで、顔色を青から土気色へと変えていた。


「大丈夫?シルビアお姉ちゃん・・・?」


と、心配そうに、限界ギリギリといった様子のシルビアの顔を伺うルシア。


「だ、大丈夫です・・・うっっっぷ?!」


・・・どう見ても大丈夫ではなさそうなシルビアに対して、引き気味の苦笑を浮かべるルシア。

どうやら、ユリアもシルビアも、憧れの者の前で最後の一線だけは超えるわけにいかなかったようで、必死になって込み上げてくるものを抑えているようであった。

恐らくその内心では、先程食べられなかったおにぎりとサンドイッチに対して、感謝しているに違いない・・・。


(ちょっとやり過ぎちゃったかしら・・・)


今更になって、最初の原因が自分にあったことを思い出し、少しだけ後悔するワルツ。


ともあれ。

2人が落ち着くまでは次の行動できないので、ワルツはとりあえず市民たちをこの空間(迷宮)の外へと出すことにした。


「さてと・・・面倒なことをさっさと片付けちゃいましょうか」


そう言うと、迷宮の壁に視線を向けるワルツ。

するとそれだけで、


ボコンッ!


直径50mにも及ぶ、外へつながる大穴が、迷宮の壁に生じた。

恐らく、不可視の攻撃を行ったのだろう。


「で、問題は市民たちを逃している間に襲われないかだけど・・・」


そう言うとワルツは、


ブゥン・・・


重力制御で目の前の空間を無理やり圧縮して、一人だけで開けた迷宮の壁の縁まで移動すると、


「んー、背中か。じゃぁ、問題無いわね」


その穴が、人型の迷宮の表側か裏側のどちらにあるかを確認してから、


フワッ・・・


・・・捕まっていた人々を、そこから見えたビクセンの町の方角へと、これまた重力制御で放り出したのである。


(ま、大きなスライムみたいな迷宮だから、表とか裏とか関係ないかもしれないけどさ?)


空を墜ちていく(?)市民たちの様子を見ながらそんなことを考えるワルツ。

もしも、彼らが途中で攻撃されるようなことがあれば、ワルツ自身が直接動くところだったのだが・・・彼女がそこから見ている限り、その問題は起こりそうにないようであった。


そして、その空間にいた市民たちを全員避難させた後で、ワルツは迷宮を周回するような軌道で飛行していたエネルギアに向かって、無線通信システムを使って話しかける。


『エネルギア?助けだした人々を街の方に避難させたから、この迷宮がそっちの方に向かおうとしたら、何が何でも阻止してね?』


すると、間もなく・・・


『うん分かったよ』


特に変わった様子の無い、いつも通りのエネルギアの言葉が返ってきた。


その言葉が返って来ると共に、すぐに壁に空いた穴から飛び退いて、穴を保持していた重力制御を開放するワルツ。

すると、壁の穴は見る見るうちに塞がっていった。

どうやら、このプロティービクセンは、相当な回復能力を持っているようだ。


そんな穴が完全に塞がろうとしている時、エネルギアの方から、通信が飛んで来る。


『あ、お姉ちゃん?そういえば、さっき、迷宮にカタr・・・ザザザザ・・・』


「あれ?何か言おうとしてたのかしら・・・?・・・まぁいっか」


通信が終わる前に迷宮の穴が塞がってしまったせいか、残念ながら途中で切れてしまったエネルギアの言葉に、頭を傾げるワルツ。

しかし、再び壁に穴を開けてまで聞くほどのことでもないかと思い、彼女はそのままルシアたちの所へと戻るのであった。


ブゥン・・・


「ただいまー」


「お帰り、お姉ちゃん!」

「・・・ワルツ様、転移魔法が使えたんですね・・・」

「・・・うっぷ・・・」


特に驚いた様子も見せずに、ワルツのことを迎える仲間たち。

そんな彼女たちに、ワルツは移動方法の種明かしをした。


「これ、転移魔法じゃなくて・・・どっちかって言うと、空間跳躍とかワームホールって呼ばれる類のものね。だけど、消費するエネルギーに対して、移動できる距離は相当に短いのが難点なのよ・・・。あ、ルシア?真似しちゃダメよ?普通の人がやると、移動してる最中、身体にすっごい力がかかって、ばらばらになっちゃうから」


と言いつつ、左腕が外れる演出をするワルツ。


「えっ・・・う、うん。分かったやらないよ?」


とルシアは言うものの・・・今度何かで試してみようと思っているようだ。

恐らくその実験台は・・・・・・いや、わざわざ説明するほどのものでも無いだろう。


「じゃぁ、行きましょっか?」

「うん!」

「転移と跳躍とワームホールと空間制御・・・どれがどう違うんでしょう・・・」

「う・・・うっぷ!」


・・・そして改めて、4人パーティーによる迷宮探索が始まったのである(?)・・・。

トゥルットゥルットゥル♪

トゥルットゥルットゥル♪


ぬ?うむ・・・いつの間にかあとがきになっておったのじゃ。

もしもエンディングテーマソングがあるなら・・・あの曲が良いのう・・・。

・・・というか、主殿。

さっさと、妾のテーマソングを見つけてくるのじゃ!

頼むから、実は怖い曲だった、的な歌を適当に割り当てるのは止めてほしいのじゃ!


まぁ、それはさておき、なのじゃ。

補足なのじゃ。

書いておって思ったのじゃが・・・

『ひるがえらせる』

この言葉に引っかかったのじゃ。

大した言葉ではないのじゃが、どうしても読みにくかったのじゃ。

不思議なのじゃ。

・・・どうでもよい話じゃがのう?


でじゃ。

ワルツの重力制御を使った空間圧縮移動法は、以前登場してきたから説明しなくとも良いじゃろ?

まぁ、それでも説明するとじゃ。

・・・ワープなのじゃ。

夢がある言葉じゃのう・・・。

いやの?

転移魔法も、空間制御魔法を使ったものも、ワームホールも、全部ワープなんじゃがの?

・・・何なのじゃろうな・・・ワープって・・・。


まぁ、今日はそんなところかのう。

前回のワルツたちの登場に比べれば、あまり進まなかったがのう・・・。


次回は・・・遂に決戦!

ワルツvsカタリナ!

・・・なんて、事は無いのじゃ。

まだまだ、ぐだぐだと駄文が続いてゆくのじゃ。

・・・多分、の。

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