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14.20-06 損失6

「ごめんね、アステリアちゃん。変質者は私が退治しておいたから安心して?」


「は、はい……」ちらっ


「   」ちーん


 アステリアは地面に転がる銀色の物体(?)を恐る恐る避けながら、ルシアの隣に立つ。足下の銀色の物体(?)が、人生に一片の悔いも無い幸せそうな表情を浮かべながら地面に沈んでいるのが、気持ちわr——いや、疑問に思えてならなかったらしい。


 一方、ルシアは、その物体(?)の反応を見て、ピキッとこめかみの血管を浮き立たせる。


「ちょっとテレサちゃん?反省してる?」ビキビキ


「……はっ?!」


 銀色の物体(?)は表情を改めて飛び起きた。ただし、ルシアの方は見ない。


 そしてシレッと言いのける。


「はて……妾はいつの間にこのような場所で寝入っておったのじゃろうか?記憶に無いのじゃ」


「えっ……テレサ様、まさか……記憶が……」


「テーレーサーちゃーん?」ゴゴゴゴゴ


 ルシアからテレサに向かって、不可視の圧力が放たれる。魔法でもなければ、物理的な攻撃でもない、不可視の何かだ。結果、テレサは、身の危険を感じたのか、神妙な面持ちで謝罪する。


「……あ、はい。すみませんでした、なのじゃ。モフモフとした尻尾が目に入って、気付くと、つい抱きついてしまったのじゃ。今では反省しておる(まぁ、後悔はしておらぬが、な!)」


「……怪しいなぁ?」


「まったく……」ふんっ


 テレサはルシアの追求に対し、開き直ったかのように溜息を吐くと、アステリアに対してこう言った。


「アステリア殿。何を悩んでおるのかは知らぬが、抱え込むのは良くないのじゃ?」


「テレサちゃん、何を言って……」


「口に出して言ってみるが良い。口に出して言えば、答えなど、案外すぐに見つかるかも知れぬからのう」


「…………」


 アステリアは黙り込んだ。とはいえ、長い時間ではない。それほど広いとは言えない部屋の中には、ルシアやテレサの他にも、ワルツやマリアンヌ、ユリア、ポテンティア、それにハイスピアもいるのだ。そんな者たちの視線が、すべてアステリアに向いていたのだから、無言を貫くというのは、彼女の性格にとっては難しい話だったのである。


 ゆえに、アステリアはしばらく悩んだ後で、口を開いた。


「あ、あの……私……ここにいても良いのでしょうか?」


 アステリアは、ギュッと手を握り締め、俯きながら、誰に宛てるでもない質問を投げかけた。


 その質問に、テレサは即答で「もちろん」と答えようとして、ルシアに口を塞がれた。ルシアはすぐに、アステリアの悩みが深いことを察したのだ。深い悩みを持っている人物に、即答で単純な回答するのは良くない……。ルシアはそんな事を思ったらしい。


 アステリアが納得できる回答とは何か……。テレサの口を両手で押さえながら考えた末、ルシアは逆に問いかけた。


「どうして、そう思ったの?もしかして、前の事をまだ引きずってる?」


 そもそもアステリアはどうして、ここにいて良いのか、と悩んでいるのか……。以前、アステリアは、自身の無力さを嘆いて、自分が皆と一緒に行動する資格は無いのではないか、と打ち明けた事があった。ルシアはその際のことを思い出して、アステリアがまた同じ悩みを抱えているのではないかと考えたらしい。


 納得できないのなら、納得できる落とし所を探すしか無い……。ルシアがそう考えていると、アステリアから返答が飛んでくる。


 しかし、それは、ルシアが想定していた返答とは少し異なっていたようだ。


「私は……非力です。だから、皆さんのお役に立てない。でもここにはいたい。ここ以外のどこにも行きたくない……。だから私は……力が欲しい……」


「「「「「『えっ……』」」」」」「もがっ……」


「えっ?」


 部屋の中の空気が固まる。どうやら皆、アステリア本人の認識とは、異なる認識を持っていたようだ。


毎朝の日課のようなものなのじゃ。

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