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6中-24 迷宮の外(?)で3

新年早々、グロ注で閲注なのじゃ!

プロティー・ビクセンの中を彷徨っていたユキとイブ。

通気口を抜けて、長い距離を滑り、内臓のような通路を通過してたどり着いた先は・・・何故か迷宮の核だった。


「イブちゃんを離しなさい!」


そう言いながら、穴蔵から、ヌッ・・・っと這い出てきた魔王シリウスに、


『?!』


・・・唖然とする2人。

すると、どういうわけか次第にイブの顔が真っ赤になっていき・・・


「ま、魔王さま!?何て格好を・・・」


そんなことを呟いた。


「え?」


イブの言葉に、ユキは下を向いて、自分の格好を見る。


すると、纏っていたシーツは、(あまつさ)え身体の伸長に合わせて小さくなっていた上、自分やイブの包帯を作ろうと破ったため、際どい長さまで短くなっていた。

かく言うイブの方も、破るのに失敗したためか、それとも滑った際に何処かへ引っ掛けたのか・・・ボロボロになって、もう少しで服の意味を成さなくなりそうになっていたのである。


「・・・困りましたね」


「それだけかよ!」


全く恥じらう様子のないユキに、思わず声を上げるロリコン。


「恥じらいなど、今は良いのです!とにかく、今すぐにイブちゃんを離しなさい!」


そう言ってユキは、ロリコンに対して手のひらを向けた。


「おっとっと・・・俺に攻撃を仕掛けてもいいのかなぁ?」


「うひゃん!ウグッ・・・!」


ロリコンはイブの尻尾を強く引っ張って手繰り寄せた後、彼女を羽交い締めにする。


「攻撃したら、この娘の身の安全は保sy・・・・・・ダメだ・・・ロリっ子を傷つけるとか、俺には出来ない・・・」


「・・・はあ?」


ユキが意味不明な言動をしているロリコンに怪訝な視線を向けていると、彼は徐ろに羽織っていたローブの中に手を突っ込み、何やら銀色をした筒状の道具を取り出した。

そしてロリコンは、特に表情を変えるでもなく、そのままユキへと道具を向けた。


「もう一人いたロリっ娘が、どこへ行ったのかは気がかりだが・・・・・・ここにお前がいるのは好都合だ。この世界の平和のために死んでもらおう。ロリっ娘はロリっ娘でもロリBBA(ババァ)は要らないしな・・・っていうか、お前があの娘、喰ったのか?!マジ最悪だな・・・」


「・・・何を言って・・・」


ロリコンの言動が理解できないイブは、彼に手を翳したまま、眉間にしわを寄せた。


・・・その瞬間だった。


バンッ!


乾いた音・・・よりは、少々水っぽい音がユキの耳に届く。


そして、同時に、世界が傾いていった。


どしゃっ・・・


バンッ!

バンッ!

バンッ!

カチン・・・


そんな音が鳴り響いた後に、


「ーーーー!!」


突然、悲鳴にならない声を上げるイブ。


「流石は50口径のホローポイント。魔王ですら一瞬で肉塊だぜ・・・。これなら、勇者とかイラnぐふっ!!こら、ロリっ娘!暴れるな!」


「シリウス様ぁ!!うわぁぁぁぁ!!」


「・・・チッ!ものすごく良心が咎めるが・・・」


ドスッ・・・


「うがっ・・・!?」


ロリコンに後頭部を強打され、意識を失うイブ。


そんな時であった。


ブゥン・・・


「ん?カペラか。流石は失われし空間制御魔法。ロリっ娘でも、魔王でも関係なく、なんでもホイホイだな」


急に身体の感覚が無くなったために、身動きできないユキからは見えなかったが、どうやらカペラが転移魔法でやってきたらしい。


「・・・何をしている?」


「もちろん魔王退治。見りゃ分かるだろ?っていうか、あの噂本当だったんだな。通気口に魔王が住んでるって話」


「・・・しらん」


「まぁ、調度良かったじゃねぇか。迷宮に喰わせる()()()が出来たわけだし。実際の年齢がどんくらいかは知らんけど、肉体年齢はそんないってないんだろ?・・・というわけでだ。わざわざ、この犬娘を使う必要は無いよな?可哀想だし」


そんなロリコンの言葉を半ばスルーしながら、


「・・・」


ユキの前まで来て、見下すようにして視線を向けるカペラ。


「・・・不本意だが、素体としては申し分ない・・・か。・・・だが、ここまで身体が破壊されてしまっていては、処置を急がなくてはならんな」


すると、彼は、何やら親指大の種のようなものをローブの中から取り出した。


「おまっ・・・こ、ここでヤるつもりか?!俺らも飲み込まれんじゃねぇのか?!」


「・・・ならば、別の場所で作業できるように、延命させることが出来るのか?」


「なんか、すまん・・・」


「・・・まぁいい。事が済んだ後で、さっさと逃げればいいだけの話だ」


するとカペラは、手に持った種を・・・


ズブッ・・・


ユキの体内へと、腕ごとねじ込んだ。

そして何らかの魔法を唱えた所で、真っ赤になっていた手を拭いながら、彼は立ち去っていく。


「・・・?」


その間、彼女には痛みも・・・それどころか感覚も無かった。

何故なら・・・


「うわぁ・・・俺なら絶対できない・・・」


「・・・俺も好きでやっているわけではない」


半身から下が完全に吹き飛んで、(はらわた)が見えている・・・そんな場所へと埋め込んだのだから・・・。


「・・・逃げるぞ」


ブゥン・・・


「おいちょっ・・・置いてくなよ!」


ブゥン・・・


そんな低い音が聞こえたかと思うと、周囲から一切の気配が消えた。




「・・・?」


彼らがいなくなってから手を動かそうとするユキ。

・・・だが、手の感覚は無く、ただ何か気持ちの悪い虚無感だけがそこにあった。


なので、唯一感覚のある首だけを動かして、辺りを見回そうとする。

すると・・・彼女が横になっていた場所から3mほど離れた場所に、何か赤いものが転がっている様子が目に入ってきた。


「(足・・・?)」


その近くには、腕、何か血の塊のような肉塊、臓物・・・。


「(・・・・・・寒い・・・)」


自分に起こったことを理解した途端、猛烈な寒気が身体を襲ってきた。


「(・・・これが『死』ですか・・・)」


この世界に生まれてから250年余り。

突如としてやってきた死に、恐怖でも、寂しさでも、痛みを覚えるでもないユキ。


ただ彼女の中にあったのは・・・・・・後悔だけだった・・・。


「(イブちゃん・・・)」


男たちに再び拐われてしまったイブのことを、どうにか救う手立てがあったのではないか。


「(皆さん・・・)」


何も出来ずに自分が去り逝くことによって、被災した町の人々が不幸になるのではないか・・・。


「(・・・妹達がいるのでこれは大丈夫ですね・・・)」


そして最後に思う。


「(ワルツ様・・・)」


自分が思いを寄せる魔神の顔を思い出して・・・彼女は微笑みを浮かべた。

そしてすぐに、悲しい表情へと変わる。


「(・・・せめて・・・死ぬ前に・・・・・・思いっきり抱きついてみたかった・・・)」


そして迫り来る闇に眼を閉じようとした・・・・・・そんな時である。


ドゴォォォォン!!


「ちょっ・・・待ってくだちゃい!そんな壁の入り方をちゅると、迷宮が()んでしまいまちゅ!」


爆音と共に、何度も聞き慣れた姉の声が聞こえてきた。


『ーーーっ!!』


それから間もなくして、部屋の中を包み込む悲鳴。

その中に、


「ユキっ!」


感覚を失いつつある心を温めてくれる・・・そんな声が聞こえてきた。


「迷宮にほとんど飲み込まれ・・・もう・・・手遅れ・・・」


そう言いながら自分の顔に優しく触れる手に、ユキは最後の力を振り絞って笑みを浮かべると、


「・・・・・・!」


最早、眼は見えなかったが、誰かが頭を持ち上げる・・・そんな気配だけが伝わってきた。


「・・・しゃべれないと思うから目蓋で返事をしなさい。まだ生きていたいなら、瞬き。もう死にたいのなら、眼を閉じなさい・・・」


どこかの物語で、死に際に悪魔に対して心を売り渡し、命を長らえるシチュエーションを、ふと思い出すユキ。

そんな魔神の問いかけに彼女は・・・・・・。

前に、ユキが死なぬと言っておったじゃろ?・・・・・・あれは嘘じゃ。

いや・・・・・・何でもないのじゃ。


というわけで、補足するのじゃ。

ユキ達が通ってきた道は、実はカペラの空間制御魔法で、迷宮の核に繋がるように仕組まれておったのじゃ。

具体的にどの辺からかと言うと・・・、真っ暗な通気口の中で壁が無くなったあたりからかのう。


で、本当ならユキではなく、イブ嬢を・・・・・・いや、この辺は後日書く予定・・・と言う名の未定じゃ。

覚えていたら書くのじゃ。

いや、多分書くのじゃ。


それとじゃ。

これは余談じゃが、ユキの性格は試験的なものなのじゃ。

何の試験かは・・・秘密なのじゃ!

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