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14.19-02 強襲?2

 鉄道が乗っ取られたのではないか、というワルツの言葉に、ポテンティアは『なるほど』と頷いた。彼は、不審な人物が森の中に入ってこないか、大量にいる分体たちを使って監視していたものの、地下の深い場所にある鉄道までは、誰が出入りしているかなど、把握していなかったのだ。


 鉄道を使用する人間は、ワルツ本人たちか、あるいは学生たちくらいもの。そんな鉄道が第三者の手に落ちるなど、ポテンティアにはまったく予測できないことだった。


 現状はどうなっているのか……。ポテンティアは2万人が取り囲んでいる学院と同時に、公都の方も気にしていたようである。学院を取り囲んでいる人々は、分体の目を通じてチラリと確認する限り、公都民ではではなく、見かけない者たちばかり。もしも鉄道を乗っ取って学院までやってきたのだとすれば、公都にいるだろう人々が危険な状況に陥っている可能性は決して低くないと言えた。国のトップたるジョセフィーヌ辺りは特に。


『ワルツ様。お手数ですが、ご協力を願えないでしょうか?』


「協力?珍しわね。大体のことを何でも出来るポテンティアが、私に助けて欲しいだなんて……」


 それだけ大変な事が生じているのだろう……。ポテンティアの問いかけに対し、冗談交じりに相づちを打ちながらも、ワルツは内心で驚いていたようである。


 対するポテンティアは、肩を竦めつつ、こう口にする。


『買いかぶりすぎです——と、冗談を言えないほど切羽詰まる状況なので、対処をお願いいたします。学院については僕が出向き、包囲されている方々の責任者に、即刻この地を離れるよう直談判してみようと思います』


「直談判(物理)ねぇ……。まぁ、この森が人の血で真っ赤に染まらないように注意して頂戴。曰く付きの学院で授業を受けるとか、私、嫌よ?」


『承知いたしました』


「じゃぁ、私は公都の方に行ってみるわね」


 ワルツはそう言った後で、ルシアたちに視線を向けた。


「というわけなんだけど、どうする?ルシアたちは、家で留守番してる?」


 その問いかけに、ルシアは首を横に振った。


「ううん。私も一緒に行く。ジョセフィーヌさんのことが心配だもん」


「公都じゃなくて、学院の方を守っても良いのよ?」


「んー……学院の方って、皆のことを守ると言うより、2万人の不審な人たちを一方的に虐めることになるだけだから、あんまり関わりたくないかなぁ……。それに、下手な事をしたら、私は別に私は悪くないのに、テレサちゃんがイジってくるし」


「……そんな自殺行為を妾が働くと?」ニヤニヤ


「……テレサ。笑顔でそんなこと言っても、説得力が無いわよ?」


「ハッ?!」


 テレサはハッとして顔を両手で押さえた。笑顔を浮かべている自覚は無かったらしい。普段、虐げてくるルシアに対して、反撃できる口実を得られるというのは、存外に嬉しい事だったのだ。


「テレサとルシアって、仲が良いようにも見えるけど、どことなく殺伐ともしているのよね……。まぁ、いいわ。こうして話している間にも、ジョセフィーヌたちが危機的状況に陥っている可能性も捨てきれないもの」


 ワルツはそう口にすると、地下工房にあった別の転移魔法陣を起動する。


「アステリアは気を失っているからお留守番ね。ポテンティアの分体に任せれば良い?」


『お任せ下さい』


「はっ?!その手があったか!」


「テーレーサーちゃん?」じとぉ


「な、なんでもないのじゃ。ポテよ。後は頼むのじゃ」


「マリアンヌはどうする?」


「私は——」


 ワルツに問いかけられたマリアンヌは悩んだ。彼女もまた、アステリアと同様に、ワルツたちに対して何も貢献できていないことを悩んでいる一人だったのである。今回の件は、その良い点数稼ぎ(?)になりそうだったが、どちらに付くかで悩んだらしい。


 とはいえ、彼女が悩んでいた時間は長くはなかった。理由は単純だ。


「私は、()()()()()()()、学院の皆様をお守りしますわ!」


「そう……分かったわ?」


 マリアンヌが何を考えて、ポテンティアと()()に学院を守ろうと思ったのか……。ワルツはふと考えてしまいそうになるが、頭をリセットして、帝都のジョセフィーヌの寝室に直通している転移魔法陣を起動した。


仮眠を取っておったら、寝坊して、危うく今日中に書き切れない所だったのじゃ。

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