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14.18-31 国家運営?31

 人々の背丈の中で、コルテックスは群を抜いて背が低かった。ゆえに、人が群がっている状況で、多くの人々には、何が起こったのか見ることは叶わなかった。


 例外だったのは、コルテックスに剣を振り下ろした者や、偶然近くに立っていたために一部始終を目撃できた者くらいだ。そんな者たちは例外なくこんな声を漏らしていた。


「「「「ひぃっ?!」」」」


 少しは無しは変わるが、世の中には、ごく稀に、トンデモなく大きな力を持った者が誕生する事がある。人々はそんな者たちを、英雄と呼んだり、勇者と呼んだり、魔王と呼んだり、あるいは化け物と呼んだり……。ただ、まぁ、例外なく言える事は——、


「ポテちゃんが作った剣が弱いのでは無くて、どうやら貴方たちが弱いだけのようですね〜。この化け物を相手に、どうぞ戦って勝って下さいな〜?」


——自分の事を"化け物"と宣言する化け物はいないということだ。約一名。コルテックス以外には。


   ズドォォォォン!!


 人々の壁が割れる。コルテックスが拉げた剣を空に向かって投げ捨てた衝撃で、人々が吹き飛ばされたのだ。死人は出ていないようだが、すぐに立てる人間もおらず、呻き声が上がる死屍累々な"道"のできあがりだ。


「どうしたのですか〜?まさか、一発で終わりなどと言うことはありませんよね〜?あぁ、そうです。せっかくですから、ここにいる方々を空間の歪みの中に閉じ込めて、コロシアムのように逃げられないようにしておきましょう。さぁ、有言実行の時間です。私の事を倒して下さい」


 その瞬間、コルテックスを取り囲む人々の更にその外側を取り囲むように、ドーム状の透明な壁のようなものが出来上がった。光や空気は通すが、大きな物質は通さない——そんな都合の良い壁である。結界魔法ではなく、次元の壁らしい。


 そんな意味不明な魔法が展開された状況の中で、まともな精神をしていられる人間はいなかった。人々は今、"化け物"の腹の中、と言える場所にいるのである。逃げ場所など無いのだから、精神に異常を来しても何ら不思議ではない。


 結果、恐慌状態に陥って、右往左往しながら自分から距離を取り始めた人々を眺めつつ、コルテックスはわざとらしく溜息を吐いて、呟く。


「ふむ〜……。勢いで人々を隔離してしまいましたが、これでは一方的なイジメでしかありませんね〜。もう少し骨のある方々だと思っていたのですが〜。さて、どうしたものか〜……」


 コルテックス自身、人々を無駄に傷付けるようなことをするつもりは無かった。人は存在するだけで"資源"なのである。減らせば労働力が減り、ダメージを与えれば、怪我が治るまで、ただ食料を消費するだけの存在になってしまうからだ。


 ゆえに、執政者たるコルテックスとしては、これ以上、怪我人を出すつもりは無かった。


「ふむ〜……あ、そうです」


 コルテックスは徐に虚空へと問いかけた。しかし、彼女が誰に問いかけたのか、人々には分からない。分断された空間の中から見ると、周囲の世界は止まって見えたからだ。


「ルシアちゃん?私の声、聞こえますよね〜?ちょっとルシアちゃんの専売特許を利用させて頂いてもよろしいでしょうか〜?」


 そんな問いかけに対し、止まっているように見える世界の外側から声が返ってくる。ルシアの声だ。


『専売特許?何の話だったっけ?』


「ほらアレですよ〜?アレ。回復魔法です。人を傷付ける事なく殴打する人権無s——おっほん。とっても人道的な魔法です」


『あれ、私の専売特許だったっけ?まぁ、いっか。で、回復魔法を叩き付ければ良いの?』


「えっ……い、いえ、それは私g——」


『まぁ、コルちゃんなら耐えられるよね。テレサちゃんだって、いつも無傷なんだし』


 とルシアが口にした瞬間、空気が変わる。余裕を見せていたコルテックスは、慌てて結界魔法や次元魔法などを展開・強化し、外からやって来るだろう衝撃に備えた。


 そして次の瞬間——、


「えいっ!」


   チュドォォォォン!!


——コルテックスたちがいた場所を中心に、半径3kmに渡って、超強力な回復魔法が落下した。人を押し潰しながら、回復させるという広域殲滅級回復魔法。そんなものが公都を全域を押しつぶしたのだ。


 この日、帝都にいた一部の人々は、心に誓ったのだという。……"化け物"もまた、弱肉強食の連鎖の中に組み込まれた弱者なのだ、と。


弱肉強食のピラミッド(?)

ア嬢>>>>>コル≒妾

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