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14.18-30 国家運営?30

 エンドプラントを伐採しようとする人々のために、ポテンティアは大量の道具を生産していく。地面から次々と斧や鋸が生えてくるという光景は、さながら道具が湧き出る泉のようで、第三者から見れば、どう見ても異常な光景だった。


 しかし帝都民たちにとっては、恵みの雨のようなもので、願ったり、叶ったり。道具に飢えていた者たちは、一切の疑いを持つこと無く、地面から生えた道具を手にして喜んでいた。


 帝都民たちは、それらの道具を使って、エンドプラントの伐採に取り組んだ。とはいえ、簡単に伐採できたのかというと、当然、そんなことはなく……。斧を叩き入れても、エンドプラントの表面には多少、凹みが出来るくらい。幸い、鋸を使えば、少しずつエンドプラントに切り込みを入れる事が出来たようで、皆が鋸を使って、エンドプラントを削り取っていった。


 そして帝都民たちは、時間を掛けて、どうにかエンドプラント2本の伐採に成功する。地面の中にある根についても、ポテンティアが生成したバールのようなものを使い、掘り起こすことができた。


 これで問題は解決した……。ワルツたちはそう考えていたのだが——、


「え゛っ……。なんでこっちに来るの?」


——いったい何がどうなったというのか、斧や鋸、鉄棒を手にした市民たちが、ワルツたちがいたシティーホールを目掛けて、真っ直ぐにやってきたのだ。


 シティーホールの屋上で、ワルツたちは事の成り行きを見下ろしていた訳だが、対照的にコルテックスは、1階部分で作業をしていた。ゆえに、彼女だけ、市民たちに囲まれることになる。


 しかも、彼女は、単独行動をしていたために、テレサの幻影魔法の範囲外。余計に帝都民たちの目に留まることになった。


「ほぇ〜?」


 武器を持った帝都民たちに囲まれてから、コルテックスは事態に気付くことになる。しかしそれでも、彼女の柔和な反応は変わらない。まるで、この事態を想定していたかのようだ。


 そんな中で、帝都民たちの一人が口を開く。


「国を滅茶苦茶にしたのは、お前たちだな!」


 どうやら、コルテックスを取り囲んだ帝都民たちは、彼女がエムリンザ帝国を襲った黒い虫たちの関係者、あるいは黒幕だと考えているらしい。帝都民たちに動揺や迷いが無いところを見るに、誰か陽動役がいて、何かしらの方法で人々と情報の共有を行っているようである。マリアンヌのように、匂いを使った魔法で人の心を操るような者がいるのかも知れない。


 対するコルテックスは——、


「やれやれ〜……」


——と言いつつ、作業を止めて、腰を上げる。


 そして、人々に向かってこう言った。


「えぇ、その通り。私たちは貴方がたの新しい飼い主ですよ〜?」


 その発言は完全に煽りだった。相手を怒らせるための発言だ。


 対する帝都民たちは、コルテックスのその発言に、怒り心頭状態。しかもコルテックスは、狐耳と尻尾を生やした獣人であり、エムリンザ帝国においては、見下される側の存在である。そのため、人々の怒りは余計に燃え上がり、一触即発どころか、いつ血の気の多い者がコルテックスに襲い掛かったとしても、不思議ではない状況になってしまう。


 そんな中でも、コルテックスは落ち着いていた。いや、落ち着いていたなどという言葉では生温い。


「ポテちゃん?この際ですから、斧や鋸だけじゃなくて、皆さんに剣を与えて下さいな〜。特に、よく切れるやつがいいでしょう。なまくらでは可愛そうですからね〜」


『かしこまりました』


 その瞬間、人々の間の地面から、大小様々な剣が地面から生えてくる。ポテンティアの分体たちが、コルテックスに言われたとおりに、鋼鉄の剣を生成し始めたのだ。


「さぁ、それを使って私に斬り掛かってきて下さい。お相手をしますよ〜?何でしたら、全員で斬り掛かってきても良いですよ〜?この際なので、反逆者がどういった末路を辿ることになるのか、見せしめとさせて頂きましょう」


 コルテックスはそう言ってニッコリと笑みを浮かべた。


 結果、大半の帝都民たちは恐怖することになる。圧倒的な自信。圧倒的な技術力。陽動されるがままにここまでやってきた彼らは、ようやく目の前に、常識を越えた未知の存在がいる事を理解する。


 そんな中——、


「俺がやる!」


——と、剣を手に取る猛者が現れる。体格の良い男だ。もしかすると、帝国の騎士だった人物なのかも知れない。


 彼は手に取った剣の重さを確かめ、2、3度素振りをすると、コルテックスに向き合った。


「国を返して貰おう!」


 彼はそう言ってコルテックスに斬り掛かった。人々にとっては目にも留まらぬ速さだ。5m以上も離れた距離を、ほぼ一瞬と言える時間で詰めて、コルテックスに剣を振り下ろした。


   キィィィィン……


 その音は、到底、人を切ったような音ではなかった。しかし、剣は間違い無くコルテックスの首に当てられていた。


「んなっ……」


「おやおや〜?ポテちゃん?切れ味が悪いようですね〜?こんななまくらでは、私の事を傷付けることなんて出来ませんよ〜?これでは、あまりに帝都の方々が可愛そうです。おいたわしや〜」


 などと言いつつ、コルテックスは首元の剣を手で掴むと——、


   ぐしゃり……


——握力だけで、剣を粉砕したのである。


ば☆け☆も☆の〜。

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