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14.18-24 国家運営?24

 人混みの中に、近寄ることの出来ない妙な空間が出来上がっていれば、誰しも同じ疑問を抱くことだろう。……なぜその空間だけ人がいないのか、と。


 人混みの中に、ポツンと妙な空間が出来上がってしまう理由を考えたとき、一般的には、何か汚いものがあったり、何か危険なものがあったり、何か臭いものがあったり……。いわゆる"K"の付く何かが存在していることが多いと言えるだろう。


 実際、人々は、その妙な空間の中に、"K"のつくものが存在しているのでは無いかと興味深げに覗き込んでいたようである。人という生き物は、それがたとえ下らないものだとしても、興味を持ってしまうと無性に覗きたくなってしまうのだ。


 そんな中、不可視の空間の中に人が隠れていると察した人物が現れた。冒険者風の男だ。ポテンティアによる刀狩り(?)に巻き込まれたためか、彼は武器を所持していなかったが、その格好は冒険者か、あるいは長距離を移動する商人か……。町の人々が身につけているような普段着とは少し異なっていて、厚手のコートを纏うなど、今まさに旅に出かけようとしているような、そんな変わった格好をしていたようである。


 そんな見た目の男が、不可視のワルツたちの存在に気付いて、重力制御魔法の斥力の壁の手を触れた。


「ほう?跳ね返される。これは……結界魔法ではないな。直接、"力"を操っているのか?」


 ぐぐっと手を押し込もうとしてくる男を前に、ルシアたちは少しだけ焦っていた。今まで自ら"異常"なことに首を突っ込もうとしてくる人間など、見たことが無かったからだ。


「テ、テ、テ、テレサちゃん、どうしよう?!」


「まぁ、落ち着くのじゃ。ア嬢。そもそも姿を見られて困る事など無いと思うのじゃが?この際、姿を見せるというのも、アリだと思うのじゃ」


 ルシアは、誰かに姿を見られることに否定的だったものの、テレサはあまり気にしていないようだった。


 その違いを不思議に思ったのか、テレサがルシアに向かって問いかける。


「ちなみに、ア嬢はなぜ、皆のことを遠ざけようとしておるのじゃ?」


「えっ?テレサちゃんが幻影魔法を使って私たちの事を隠しているのと理由は同じだけど?」


「妾は、マリアンヌ殿が他人に姿を見られたくないと言っておったゆえ、不可視状態にしておったのじゃが?」


「あ、そうなんだ。私はてっきり、自分の姿を見られたくないから、不可視状態にしてるんだと思ってた」


「……そこまで人見知りは激しくないのじゃ」


 と言って、幻影魔法を解除しようとするテレサ。


 しかしその直前、ワルツから声が掛かる。


「いえ、待って、テレサ。やっぱり、姿を見られるのは、拙いと思うわ?」キリッ


「あ、うん……」

「そ、そうかの?」


「だって、ほら。辺りを見回して?誰も獣耳も尻尾も生えてない純粋な人族ばかりじゃない。こんなところで姿を見せたら、騒ぎになるのは間違いでしょ?」


「……実は単に、ワルツが誰かに姿を見られたくないから、という理由ではなかろうな?」


「…………」


 ワルツは、スッと視線を逸らした。とても自然な視線のそらし方だ。まるで別のものに興味が移った、と言わんばかりの視線のそらし方で、そのあまりの自然さにテレサは溜息を吐いてしまう。


「まぁ、何でもいいがの(素直に言えば良いのに……)」


 ワルツが帝都民に対して姿を見せることに嫌がっている以上、幻影魔法を解除する理由は失われてしまい……。テレサはまだしばらくの間、幻影魔法を継続して展開することにしたようである。


 ルシアもそうだ。重力制御魔法による斥力場を展開しつづけ、誰も自分たちに近寄ってこられないように気を配った。


 しかし、今回に限って言えば、その対応は逆効果だったようである。冒険者風の男が——、


「おい、皆!ちょっとこっち来てみろよ。面白い者があるぜ?」


 仲間たちに声を掛けたのだ。


「んー?何々?」

「なーんでここだけ空間が空いてんだ?」

「うおっ?!押し返される?!」

「へぇ?面白いですね」


 冒険者風の男を除いた他の4人の仲間たち(?)が、ルシアの重力制御魔法の斥力場に触れて、何やら強く興味を抱いてしまったらしい。


 その内に、彼らの行為を見ていた町の人々も真似初めて……。ワルツたちは完全に囲まれてしまうことになる。重力制御魔法で人を遠ざけるつもりが、逆に引きつけてしまうと言う状況に、ルシアは思わず頭を抱えたようだ。


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