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14.18-18 国家運営?18

 コルテックスとポテンティアにその場を任せたワルツたちは、帝都の中を歩き回ることにした。具体的なメンバーは、ワルツ、ルシア、テレサ、アステリア、そしてマリアンヌの5人組だ。


 その内、マリアンヌだけが帝都の中を知っていた訳だが——、


「…………」


——帝都の中を歩き回っている間、彼女はなぜかだんまり。何かを考え込んでいる様子で、ただワルツたちの後ろを付いて回っているという状況だった。


 一方でワルツたちとしては、帝都の中をマリアンヌに案内して欲しかったようである。帝都の中は迷路のように入り組んだ作りになっていて、土地勘の無いワルツたちが案内無しに歩き回るというのは、かなり難しかったからだ。この道は通っても良い道なのか、上の通路に行くためにはどの階段を登れば良いのか、そもそもこの道の先には何があるのか……。そんな疑問を抱きながら、それでも5人は、足を殆ど止める事なく帝都の中を進んでいく。ただし、幻影魔法を展開して、常に不可視の状態になりながら。


「んー、この街並み!これぞ、ファンタジー、って感じね!」

「ふぁんたじー?」

「これはファンタジーなどではなく、町に敵が流れ込んできた際に、足止めをするためにわざと複雑に作った結果なのじゃ。まぁ、障害物などすべてなぎ倒しながら真っ直ぐに進むア嬢にとっては、まったく意味の無い町の構造と言えるがの」

「なんで私が例なのかなぁ?」


 道は分からずとも、ワルツたちは一応、帝都観光を楽しんでいたようだ。とはいえ、彼女たちの目に映るものは、文字通りの街並みと、そこに生きる人々の生活の様子だけ。それを"観光"と表現して良いのかは、また別の話だった。まぁ、ワルツ自身は街並みだけでも、十分観光を堪能できていたようだが。


 そんなこんなでワルツたちは路地を歩いていた訳だが、マリアンヌの他にも、もう一人、悩ましげな表情見せている者がいたようだ。


「あの……ワルツ様?」


 とワルツに問いかけたのはアステリアである。彼女はしきりに空を見上げながら、不安そうに疑問を口にする。


「このような路地を歩いていても、大丈夫なのでしょうか?先ほどのような、よく分からない物体が飛んできたりしても、ここでは分からないのではないでしょうか?」


 つい数十分ほど前、謎の飛翔体が、帝都目掛けて飛んできたのである。その際は、ルシアが転移魔法を使ってどこかへと転移させたので事なきを得たのだが、すぐにまた飛んでこないとは限らなかった。


 しかも、今、ワルツたちがいる場所は、空間が開けていない路地なのである。空は見えているものの、建物と建物の間に挟まれたその場所からでは、飛翔体が飛んできた西北西の空を見上げる事は出来なかった。


 それがアステリアとしては、心配でならなかったらしい。空が見えなければ、いきなり攻撃を受けるのではないか……。彼女はそんな疑問を抱いて、ビクビクしていたようである。


 対するワルツは、顔の前で手をひらひらとさせながら、アステリアの問いかけに首を振った。


「無い無い。あの攻撃は、十中八九、警告攻撃でしかないから、こちらがやり返さない限り、2発目が飛んでくる事は無いわ?」


「えっ……なぜ、そう言い切れるのですか?」


「えっ?だって、滅ぼそうとして攻撃してきたのだったら、ただの質量兵器じゃなくて、爆弾か何かを飛ばしてきた方が効率的だもの。それに、もしもあの攻撃を受けてとしても、爆発しないタイプだから、コルテックスの建てた金ピカの建物が吹き飛ぶだけで、それ以外に被害は出なかったはずよ?あの一発だけでは、私たちを害するつもりは無かった、ってことね。ただね……」


 と、ワルツは前置きを置いてから、ポツリと呟いた。


「別の意味があるのは間違い無いのでしょうけれど、その意味が分からないのよね……」


 あまり空気を読んだり、副音声を聞き取ったりする事が得意ではないワルツとしては、帝都目掛けて飛んできた高速な飛翔体が、どのような意図を持って発射されたものなのか計りかねていたようだ。


「この大陸で大きな顔をするな、っていう警告なのか、それとも顔を出せ、という警告なのか……。他にも意味があったりするのかもね」


 超長距離からのピンポイント過ぎる極超音速の砲撃など、現代世界級の科学技術力がなければ実現できないはず……。魔法で同じ事を再現できないわけではないが、この世界にいる転移者——それも、ワルツと似たようなガーディアン級の転移者からの攻撃である可能性を捨てきれなかった。


 もしも相手がガーディアンだとした場合、被害の出ない攻撃には、特別な意味が含まれるはずだった。彼ら、彼女らにとって、実被害の出る攻撃も、そうでない攻撃も、容易に実現出来るのである。ある意味、コミュニケーションみたいなものなのだ。ちょっと、大質量の何かが飛んでくるだけ……。ガーディアン同士であれば、会話をするようなものだ。……ただし、ガーディアン同士のやり取りで、なおかつ機動装甲があれば、の話だが。


「(なんでこのタイミングなのかしら……。まぁ、私が考えてもハズレを引く確率の方が高いから、コルテックスたちに任せるのが吉ね)」


 どう考えても、答えにたどり着けなかったワルツは、内心で悪態を吐きつつ、考えるのをやめた。


 そして、路地を抜けて、再び大通りに差し掛かったところで、今度は——、


「あの……ワルツ様……?」


——今までずっと考え込んでいたマリアンヌが口を開く。そんな彼女の目には、何やら決意をしたような色が見えていて、真っ直ぐにワルツの目を見つめていたようである。


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