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14.18-10 国家運営?10

 ワルツが急に呼んだにもかかわらず、コルテックスは早速、エムリンザ帝国の再興を目指して、思案を巡らせていたようである。今の時間帯はミッドエデンも昼間のはずだが、それでも、帰ろうとしないコルテックスの様子を見る限り——、


「もしかしてだけどさ……コルテックス。ミッドエデンでの仕事が、面倒臭くなった?」


——としかワルツには思えなかったようだ。


 だが、そういうわけではなかったらしい。


「いえいえ〜。いまやミッドエデンは、私がいなくとも円滑に回る国です。私が多少さb——議長の座を空席にしたところで、誰も困る人はいませんよ〜?」


「……お兄様以外に〜、って?」


「……否定はしません」


「ふーん……まぁ、いいけど」


 どうやら、ミッドエデンのことは、兄であるアトラスに、すべて丸投げするつもりでいるらしい。さすがはワルツの妹、といったところだろうか。


 対するワルツも、せっかくここまでコルテックスを呼び出した手前、ミッドエデンに無理矢理返すという気にはなれなかったらしく、そのままエムリンザ帝国の再興について任せることにしたようだ。


「市役所とかを建てるって……どうやって建てるの?ルシアの魔法を使うの?」


「それは確かに手っ取り早い方法ですが、それだと国民に示しが付きませんからね〜。ここはズババッと、ミッドエデンの……いえ、統治者の絶対的な力というものを、庶民に見せつけるべきだと思うのですよ〜」


「……資本主義国家にするんじゃなかったの?」


「それとこれとは話が別ですね〜。資本主義も、やろうと思えば、お金の力を振りかざせば、どんな事でも出来ますからね〜。ここは、お金の力で強引に解決しちゃいますよ〜?」


 と、不審な発言を口にしたコルテックスは、何を思ったのか、ポテンティアの方へと振り向いた。


「さぁ、ポテちゃん。エムリンザ帝国から奪った有り金をすべて出して下さい」


『もしやこれが恐喝……』


「恐喝ではありませんよ〜?これは誤差。そう誤差みたいなものです。ポテちゃんが持っている個人資産に比べれば、エムリンザ帝国から回収した貨幣や金銀財宝など、ちょっと買い物をしたときに余るおつりのようなものではないですか〜。それを出すように強請るのは、恐喝とまでは言えないでしょう?」


『はいはい、分かりましたよ。エムリンザ帝国を制圧する際に回収した貨幣などの貴金属類を出せば良いのですね?原型は留めていませんが良いですか?』


「えぇ、えぇ。問題はありません。どうせ潰すのですから〜」


「いやいやいや、しれっと話を進めているけど、何それ?ポテンティアの個人資産って何?エムリンザ帝国より多いの?」


『ははは。もう、冗談ですよ。ワルツ様』


 と言って、ワルツからの問いかけを笑って誤魔化すポテンティア。実際、彼が隠し持っている資産がどのくらいかは不明だが、全世界に散らばっているマイクロマシンたちを使って貴金属や財宝の類いを集めれば、並みの国家よりも多くの資産をため込むことが出来るのは確かだろう。よほど、ルシアとワルツがタッグを組んで、財宝探しをするよりも、遙かに効率的に集められるのではないだろうか。


 まぁ、それはさておき。


『とりあえず、溶かして一塊にした貴金属の山を、そこの空き地に、ドンと置いておきますね』


 と、ポテンティアが口にした直後のことだ。


   カサカサカサ……


 町中の隙間という隙間から、黒い虫たちが一斉に吹き出してきた。例えるなら、黒い濁流が町を飲み込むかのごとく、だ。


 その光景を見た町の人々は悲鳴を上げて逃げ惑う。以前、ポテンティアがエムリンザ帝国を制圧した際にも、虫型に結合したマイクロマシンたちを利用したためか、黒い虫たちの行軍は、人々の記憶にトラウマとして刻み込まれていたのである。しかも、叩いても、潰しても、燃やしても、凍らせても、水で流しても、虫たちは止まらないのである。いわゆる"G"と呼ばれる黒光りした昆虫などより、よほど質が悪い悪夢のような存在だと言えた。


 そんな虫たち——もといポテンティアの分体たちは、それぞれ隠し持っていた貴金属を、宮殿跡地に積み上げ始めた。ポテンティアたちの姿は黒いというのに、積み上がっていく貴金属の塊は金色。そのギャップを前に、人々は言葉を失う。


 唯一の例外は、ワルツやコルテックスたちくらいのものだ。


「ある程度集まったら、建物の形にプレスしていきましょうか〜」


『鍛造ですか?ちょっと、僕には難しいですよ?それ。マイクロマシンの集合体なので、衝撃にはあまり強くないのです』


「いえいえ、プレスは私がやるので安心して下さい」


 と口にしたコルテックスは、徐に右手を真横に伸ばした。


 そこには何も無い。ただの虚空だ。


 しかし、彼女の手は、その虚空に溶けるかのように、スゥッ、と消えていく。手の先だけを転移魔法でどこかへと転移させたのだ。あるいは小さな転移門をそこに作り出した、と表現した方が良いかも知れない。


 そして、彼女が異空間から手を引いた結果、コルテックスの手に握られていたものは——、


「「「「「『……棒?』」」」」」


——長い鉄の棒のようなものだった。しかし、これまた異様に長く、コルテックスが引いても引いても、止める気配を見せない。


 いったい何の棒なのか……。皆が首を傾げながら、コルテックスの行動を観察していると、棒はようやく50mほど引き出されたところで、ようやく途切れた。


 しかし、途切れたと言っても、切れたわけではない。ようやく"本体"が見えてきたのだ。


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