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14.18-04 国家運営?4

 自宅でワルツの帰りを待っていたアステリアは、なにやら嬉しそうに尻尾を振りながら、椅子に座ってボンヤリと外を眺めていた。旅行に行くのが楽しみな子ども、といった様子だ。


 ちなみに、彼女は、家の住人の中ではマリアンヌに続いて背が高く、ルシアとテレサよりも背が高いので、見た目は子どもっぽくはなかったりする。実際には、ルシアの1つ上、つまり14歳なので、子どもとも大人とも言えない年齢だったりする。


 そんな彼女がふっさふっさと尻尾を振っていると、家の中の空中に、転移魔法陣が現れる。ワルツが展開した転移魔法陣だ。


 なぜ、空中に転移魔法陣を浮かべるのだろう……。そもそも、どうやって、転移魔法陣を浮かべているのだろう……。アステリアが転移魔法陣を見上げて、不思議そうに観察していると、魔法陣の中心から、ワルツが——、


「ただいま」シュタッ


——と落ちてきた。


「お帰りなさい、ワルツ様!」


「あれ?アステリアだけ?」


「あ、はい。他の方々は、まだ準備しているところです」


 というアステリアの言葉通り、ルシアもテレサもポテンティアもマリアンヌも、その場にはいなかった。彼女ら曰く、大きな町に行くのだから、"お(めか)し"が必要、とのことらしい。


 対して、アステリアの場合は、粧し込むような服も無ければ、化粧を出来るような部分もなく……。まさに着の身着のまま。学生服のままで出発しようとしていたようだ。顔も含めた全身が毛に覆われているので、化粧のしようが無かったのだ。


 すくなくとも、アステリア本人は、化粧をする方法がないと思っていたようだが、それでも、身だしなみを整えるために出来ることが無いわけではない。


「貴女は準備しなくても良いの?」


「えっ?あ、はい。このままで行こうと思います」


「……アステリア」


「は、はい?」


「ちょっと、ここに座りなさい」


「は、はあ……」


 何か怒っている様子のワルツを前に、アステリアは少し心配になる。


 一体何をされるのか……。アステリアが身構えていると、何やらトゲトゲとした感覚が、頭の上の方から伝わってきた。櫛の感覚だ。アステリア自身は櫛を持っていないので彼女のものではない。ワルツがどこからともなく取り出した櫛を使って、アステリアの髪(体毛?)を梳かし始めたのだ。


 突然の出来事に、アステリアはピシリと固まる。なぜ自分は髪を梳かされているのか、理解出来なかったらしい。それも、"主人"と言えるようなワルツによって。


「ど、ど、ど、ど、どうしたのですか?!ワルツ様?!」


「ほら、動かない!」


「ひゃ、ひゃい……」


 アステリアは椅子に座りながらガチガチに固まった。もしも顔に感情が文字として浮き上がる魔法があるなら、アステリアの顔には、大混乱、と書かれているに違いない。


 一方、ワルツは、アステリアの髪に櫛を通しながら、苦々しい表情を浮かべていた。


「毛の質は良いんだけど、ゴワゴワなのよね……。貴女、お風呂入ったとき、シャンプーとか、リンスとか、使ってないでしょ?なんか微妙に獣臭いし……」


「け、獣臭い……。え、えっと……何ですか?その、"しゃんぷー"や"りんす"というものは……」


「毛をサラサラにしてくれる特別な洗剤よ?ほら、ルシアとかテレサとか、髪の毛も尻尾の毛も長いけど、サラサラしているでしょ?あれはシャンプーとリンスを使って洗っているからよ?今度からは、貴女も遠慮無く使いなさい」


「えっと……どうやって使ったら良いのでしょうか?」


 機械であるワルツの家にも風呂はある。しかも浴槽付きだ。温泉ではないが、地下水をボイラー(ルシアの人工太陽)で温めるタイプで、24時間、いつでも入ることの出来る掛け流し風呂である。


 そこにはシャンプーとリンスのほか、各種洗剤がおいてあるのだが、どうやらアステリアには、そのいずれも、使い方が分からないらしい。まぁ、たとえ分かっていたとしても、元奴隷である彼女の場合は、遠慮して使わない可能性も否定は出来ないが。


 そんなアステリアの言葉を聞いたワルツは、ふと何かに気付いたらしく、アステリアの髪を梳かしながら、こう言った。


「そう、知らないのね……。貴女が分かっていないということは、マリアンヌ辺りも使い方を分かっていなさそうね。今晩辺り、ルシアやテレサに教えて貰うと良いわ?」


 ワルツと長い付き合いであるルシアとテレサが洗剤の使い方を知っているのは当然だった。しかし、出会って1ヶ月も経っていないアステリアやマリアンヌが知らないのは当然のこと。


「(他に教えておかなきゃならないことって、何かあったかしら?)」


 少なくとも、ドライヤーの使い方を知らないのは確実だろう……。その他にも教えておかなければならないことが無いか、ワルツは考えを巡らせたようだ。


機械狐「……むっ?!今、どこかで獣臭い狐の気配が……」

光狐「……私の髪を梳かしながらそれ言うって……つまり、その言葉、私に言ってるのかなぁ?」

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