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14.17-27 極秘プロジェクト?27

 ルシアたちのエクストリームなゲーム(?)が5種類ほど行われて、時刻は夕方に差し掛かる。目を覚まさない5人の編入生たちを前に、ワルツもマグネアも諦め掛けた——そんな時だ。


   のそり……


 一人の編入生が徐に上体を起こす。その様子は、ちょうどいま目を覚ました、といった様子ではなく、しばらく前から目が覚めていて、今までずっと狸寝入りをしていた、といった様子だった。それほどまでに、目を開けてから上体を起こすまでの動作がスムーズだったのだ。一般的に、長いこと眠っていた人間というものは、寝ぼけながらゆっくりと頭を覚醒させるという動作があるはずだが、彼にそういった動作は見られなかった。


 そんな彼の様子を見ていたワルツは、少し不機嫌そうな表情を見せた。しばらく前から目を覚ましていたのなら、早く起きて欲しかったのだ。待っている分の時間を別のことに充てられたかもしれないのだから。


 とはいえ、最後まで狸寝入りされるよりはマシだと考えたのか、ワルツは、はぁ、と溜息を吐いてから、話しかけた。


「おはよう。随分と遅い起床ね?」


 ワルツがそう口にすると、ルシアたちの方に気を取られていたマグネアが、慌てて後ろを振り向いて声を上げた。


「ウエンツ!あぁ!良かった!このまま寝たっきりになるかと思っていましたよ!」


 どうやら、最初に目を覚ました彼は、ウエンツと言う名前らしい。そんな彼は、なぜか眉間に皺を寄せながら、マグネアへと問いかけた。


「マグネアよ。儂は今、非常に混乱しておる。なにがどうなっておるのか、どう聞けば良いのか、ベッドの中でしばらく考えていた。だが、答えを見つけられん。なぜ儂らは月におる?どうやってここまでやってきた?あの子らは何者だ?あの空に浮かぶ青い物体は何なのだ?……そんな疑問が同時に浮かんでくるが、いっぺんに聞いても、答えられはしないだろう……。質問する儂自身、覚えていられる気がせん……」


 どこか諦めたようにそう口にするウエンツという老人に、マグネアも戸惑い気味に返答する。


「えぇ、その気持ちは分かりますよ。ウエンツ。私自身、あの娘たちがどうやってあのような莫大な魔力を弄んでいるのか、理解が追いついていませんが……まぁ、その話は一旦、横に置いておきましょう。まずは、あなた方……いえ私たちが、なぜここにいるのか、その理由から説明します」


 マグネアはそう口にすると、ワルツに向かって視線を向けた。その視線が、"説明しろ"と言ってるのか、あるいは、"説明しても良いか"と問いかけているのかは不明だ。


 対するワルツは、前者だと判断し、自ら返答する事を決める。そして、同時に考えた。


「(説明用のプレゼン資料を前もって作っておこうかしら?少なくとも、あと4回、説明しなきゃならないものね。あぁ、配布するタイプの資料が良いわね。一々、説明するのも面倒臭いし……)」


 プリンターと紙を作る必要がありそうだ……。そんな事を考えながら、ワルツは空中にホログラムを浮かべた。


 宙に浮かぶ複数の丸い球体がクルクルと回る様子を見て、ウエンツは目を見開き、そして頭を抱えて溜息を吐いた。彼の頭では、この時点で、理解が追いついていなかったらしい。なぜ宙に絵が浮かんでいるのか。そして動いているのか……。恐らくは酷い頭痛が彼のことを襲っていることだろう。


 しかし、考えても仕方がないことは考えない、という研究人生の中で身につけた処世術(?)を活用し、彼は思考を切り替える。


「それは……"惑星"と言ったかの?」


 ウエンツはワルツに問いかけた。彼から見たワルツは、見た目と歳を誤魔化しているがゆえに仲間内から"化け物"と比喩されているマグネアよりも若く見えていた。いや、周囲で遊ぶ少女たちの中でも、一回り若く見えていたと言うべきか。


 それゆえに、彼は警戒していたようである。孫娘のように可愛く見えるものの、他の子らのように遊ぶわけではなく、マグネアと共に自分たちの看護をしてくれていた少女。そんな彼女が、見たことも無いような魔法(?)を使い始めたのだ。マグネアのように歳を誤魔化している可能性が高い……。そう考えれば、警戒するのも仕方のない事だろう。


「(なんだか、失礼な視線を感じるわね……)」


 ウエンツから向けられた視線に、諦めと蔑みの成分が含まれているように感じられたのか、ワルツは内心で不満を感じながら返答する。


「そう。私たちが普段暮らしている場所は、こっちの惑星。つまり、今、空に見えているあの青い星のどこかよ?で、今、私たちがいる場所は、貴方たちが"月"と呼んでいる場所の表面。そこに作られた施設の中ね。移動の方法は、魔力にモノを言わせた転移魔法陣よ?まぁ、ただの転移魔法陣じゃなくて、色々手は入れているのだけれど」


 ワルツの不満は、内心に留まらず、声にも出ていたようだ。


 そんな彼女の、少しぶっきらぼうな説明を聞いたウエンツは、反射的に口を開いて何かを言おうとしたが……。しかし、すぐに口を閉ざしてしまった。そして彼は短く言った。


「……そうか」


 と。


 そんな彼は、何か色々と諦めたような表情を見せていたが、ワルツには気付くことは出来なかったようだ。


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