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14.17-17 極秘プロジェクト?17

さりげなく伏線が張られていたりするかもだし?なのじゃ。

 医務室の中で、ワルツがカタリナに対して事情を説明している間。マグネアは複雑な思いでその様子を見つめていた。


 月面研究所計画をミッドエデン関係者には話さない、とワルツが事前に話していたにも関わらず、目の前でそのミッドエデン関係者に対して話していること。その当の関係者が、知人を救ってくれた事。そして何より、その手際の良さ……。複雑に絡み合った出来事の中で、マグネアは2人に話しかける言葉を見失っていた。


 一方、カタリナはワルツの言葉を静かに聞いていたようだ。眉を顰める事もなければ、溜息を吐くことも無い。ただ静かにワルツの言葉を受け入れていく。


 そしてワルツが月面研究所計画について話し終えた後。カタリナはワルツに問いかけた。


「なぜミッドエデンに……いえ、コルテックスたちには秘密にするのですか?」


 カタリナが話を聞く限り、敢えてミッドエデンを計画から遠ざける必要性は考えられなかった。いや、一つだけ、可能性を考えていたようだが、"絶対"が付くほどにありえない事だと考えていたようである。すなわち——ワルツがミッドエデンと敵対するという可能性だ。


 対するワルツは色々と考えた上で、端的に理由を説明した。


「……私の機動装甲を再建造するために、口出しされたくないし、技術も盗まれたくないからよ?特に、コルテックス。あの娘、この惑星上だと、どこにでも現れるから」


「……なるほど。コルテックスたちに知られると危険な技術なのですね?」


「危険は危険なのだけれど、私だって、あの娘たちが技術を悪用するなんて事は考えてないわよ?でもね……なんていうのかな……プライバシーっていうの?私にとって機動装甲っていうのは、身体の一部なのよ。それを隅々まで知られるって、恥ずかしくない?」


「…………」


 カタリナは考え込んだ。一瞬、ワルツが何を言っているのか理解出来なかったらしい。


 しかし、カタリナは、ワルツの発言を否定することなく、そのままの意味で飲み込んだ。ルシアに次いで長い時間をワルツと共に行動してきた彼女にとって、ワルツの発言を否定する理由も、疑う理由も無かったのだ。彼女の中にある物差しは、ワルツという名の"非常識"が基準なのだから。


「……そうですね。確かに、自分の身体のことを知られるというのは恥ずかしいことです」


「でしょ?だから、誰にも知られない場所で、機動装甲の建造をしたかったのよ」


「分かりました。私はてっきり、ワルツさんが、ミッドエデンと決別するのかと思っていました。もし、コルテックスたちが邪魔なら、彼女たちを消そうとも思いましたが——」


「ちょっ?!」


「でも、その様子でしたら大丈夫そうですね」


 カタリナはそう言って、女神のような優しげな笑みを浮かべた。しかし、その発言は魔王も真っ青になるような内容で……。実際、ワルツは、顔を青ざめさせていたようである。


「(カタリナだったら、割と本気でコルテックスたちに勝てそうなのが怖いわね……)」


 カタリナは、自らの力で文字通りの"アンデッド"になれるのである。斬っても撃っても潰されても死なない正真正銘の化け物だ。


 しかも、彼女の相棒は、体内に無限(?)の空間を内包した謎の生命体シュバル。コルテックスたちがシールドなどを開発して、防御を固めたとしても、その存在ごと喰われて終わるのは想像に難くなかった。


「さすがに、そこまでする必要は無いわよ……」


 コルテックスたちを敵に回すより、よほどカタリナを敵に回した方が恐ろしいのではないか……。というより、カタリナのように、コルテックスたち以上に、敵に回すと恐ろしい存在が周囲には数多くいるのではないか……。ワルツの脳裏には何人か、敵に回してはならない人物の表情が浮かんでくる。なお、その中に、テレサはいない模様。


「……という訳なんだけど、どうする?カタリナも一緒に参加する?月面研究所計画」


 話が一段落付いたところで、ワルツはカタリナに問いかけた。


 対するカタリナは、迷うこと無く首を横に振った。


「いえ、私にはやらなければならない事がありますし、ワルツさんが私の事を必要とするならすぐにでも駆けつけられますから、今の状態で大丈夫です。ただ……」


「ただ?」


「ワルツさんの方からは私に会いに来られますが、私の方からはワルツさんの方に会いに行けないのは寂しい所です」


「…………そう」


 言われて見ればその通りだ、と思ったのか、ワルツはその場で何かを作り始めた。青い宝石のようなものをポケットから取り出して、それを金属の破片と組み合わせて、ペンダントのようなものを作っていく……。


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