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14.17-03 極秘プロジェクト?3

冒頭部で日本語がおかしかったゆえ、修正したのじゃ。

『……といったように、富の再分配により、権力の集中を制御して、餓死者が出ないよう制御しながら、国家として力を付けないよう抑え込んでおります』


「はぁ、なるほど……。まったく分かりませんでしたわ!」


 マリアンヌは開き直った。ポテンティアが何を言っているのか、彼女の言葉通り、まったく理解出来なさすぎて、頭の中が真っ白になってしまったのだ。


 それほどまでにポテンティアの説明は意味不明すぎた。いや、意味が不明なのではない。意味はハッキリとしているが、彼のエムリンザ帝国での行動が常軌を逸しすぎていたのだ。


 まず、国全体のすべての人間たちから貨幣を没収する。貴族の資産は、貨幣どころか、住居から服一つに至るまで、すべて没収だ。


 その上で、困窮している者だけに貨幣を与える。すると貨幣の奪い合いが発生するので、それを物理的な手段で鎮める……。という行動を全土で繰り返し、ポテンティアは、たったの数日だけで、国民すべての貧富の差を無くしてしまったのである。強制(物理)的な社会主義国家を作り上げたと言えるのかも知れない。


 稼ぐことで生きている商人たちも例外ではなく、彼らからもむしり取るように、資産をすべて没収したらしい。もちろんその資産は再分配の対象だ。


 農民も例外では無い。彼らが丹精込めて作った作物も強制的に再分配の対象である。


 その結果、皆、働く気力を無くしてしまったようだ。働かなくとも生きていくために最低限の食料や物資はどこからともなく配給されるのである。働けば負け、ということを皆が身を以て体験したのだから、当然の結果だと言えた。


 ただ、人というのは、放っておいてもジッとしていられない生き物らしく、一部には趣味に没頭する者が現れたようだ。絵を描いたり、モノづくりをしたり、着の身着のままで旅に赴いたり、没収されると分かっていても田畑を耕したり……。そういった者たちによって、国の中における富の生産は、未だ細々と続いているのだとか。


『まぁ、分からなくても大丈夫です。ちなみに、マリアンヌ様も戻られますか?』


「え゛っ」


『今のエムリンザでは、僕らマイクロマシンが生活の全面サポートをしておりますから、食っちゃ寝の生活でも、健康的に生きていけますよ?』


「い、い、いえ、遠慮しておきますわ……。率直に言って……地獄のような場所に思えますもの……」


 マリアンヌのその発言は、的確な表現だと言えた。何しろエムリンザ帝国の現状は、ポテンティアによる報復攻撃の結果なのである。より具体的には、レストフェン大公国への政治的攻撃に対する報復であり、人的被害を出すこと無く国を滅ぼす寸前まで貶めることが目的だった。


 一見すれば、地上に出来た楽園である。そして、別の観点で見れば、人から向上心と努力を奪い去られた地獄のような世界。そんな場所に帰りたいかと問われれば、否と答えるのも当然と言えるだろう。まぁ、一部には、喜んでエムリンザ帝国に集まってくる人々もいたようだが、彼らの話は置いておこう。


『しかし、困ったことがあるのですよ』


 どうやら今のエムリンザ帝国において、ポテンティアにとっても困った出来事が起こっているらしい。


『国家が国家として成り立たなくなってしまったので、周辺諸国からの圧力が強くなっていましてね?にもかかわらず、政府が存在しないという状況になっているものですから、交渉のしようもなくて……』


「え゛っ……それって拙いのでは……」


『えぇ、とても拙いのですよ。挙兵してきたエムリンザの隣国の者たちから、金品や武装の類いを強奪し続けているせいで、結果的にエムリンザの富が大きく増えておりまして……』


「……はい?」


『攻めてきた者たちを放置すれば、反撃する手段を失ったエムリンザは滅んでしまいますから、エムリンザの代わりに、僕が国を守っているのですよ』


「いえ、聞きたいのはそちらの話ではなくて……」


『あぁ、攻めてきた国の兵士たちから金品を強奪しているという話ですか?いやぁ、彼らは良い材料です。この世界には捕虜についての国際法がありませんからね。装備品はすべて剥ぎ取った上で、素っ裸で奴隷扱いです。資金的にも人材的にも、まったく美味しい人たちですよ。本当、このままだと、エムリンザが潤いすぎて、罰にならなくなってしまいそうです』


「え、えぇ……」


 マリアンヌは引いた。ドン引きした。やはりどう考えても、ポテンティアの言葉が理解出来なかったらしい。理解することを頭が拒否したのだ。


 しかし、それこそが、ワルツたちが率いるミッドエデンの力なのである。いまやエムリンザ帝国は、ミッドエデンによる政治的な実験場と化していると言えるのかも知れない。

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