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14.16-20 ワルツ先生3

「ミレニアって、たまに口が悪くなるのね……」


「えっ?私……何か言いました?」


「「「えっ」」」


 どうやらミレニアは、集中していると、自分が汚い言葉を口にしていても気付かないらしい。もちろん、多重人格——というわけではないはずだ。


「まぁ、いいわ……」


 深く掘り下げると、藪蛇になる気がしたのか、ワルツはそれ以上、ミレニアの発言に首を突っ込むようなことはしなかった。その代わりにワルツは、本来の授業へと戻ることを決める。


「今回はラリーとミレニアにそれぞれ、一例として剣技と魔法(?)を見せてもらったのだけれど、皆にやって欲しいことは、剣技と魔法を組み合わせた、魔法剣とも言うべき技術の会得よ?」


 と、ワルツは堂々と口にするが、そんな技術がこの世界、あるいは現代世界に存在するわけではない。あったらいいな、という適当な思考により生み出された、文字通り適当な技術である。


「でも、さっきのミレニアの攻撃は、魔法剣として悪くなかったかも知れないわね。まぁ、剣……っていうか木剣は、木っ端微塵になっちゃったみたいだけど……」


 カサカサと動く黒い物体を滅しようとして投擲されたミレニアの剣は、着弾(?)と共に、急速冷却と爆縮現象に巻き込まれ、粉砕して無くなってしまったのである。それを剣技とは呼ぶには、些か乱暴が過ぎたのだが、剣に魔法の効果を付与させて攻撃する、という意味では、ワルツの想像に近い結果となっていたらしい。


「ミレニアの場合は、剣を再利用して攻撃できれば、それだけで魔法剣だと言えると思うわ?ラリーの場合は……まぁ、頑張って魔法を使ってね?剣技の腕は悪くないと思うから」


「自分でも何をしたのか覚えてないのだけど……」

「…………」ムスッ


 ワルツと斬り結んだ(?)2人は困惑していたようだ。ミレニアの場合は、無意識のうちの攻撃だったらしく、自分がどうやって木剣に魔法を纏わせて攻撃したのかを覚えておらず……。そしてラリーは、そもそもからして、魔法が苦手だったらしく、ワルツの言葉に不貞腐れていたようだ。


 そんな2人の反応を見て、2人とも魔法剣がどんなものなのかを想像出来ていないと察したのか、ワルツはルシアに対し視線を向けた。


「ルシア?出来る?」


「んー……お姉ちゃんがどんな事を考えているのかは分からないけれど、魔法と剣を組み合わせることは出来るかなぁ?」


 そう言ってルシアが手にしたのは、木剣——ではない。


「んしょっ、と」


 彼女はしゃがみ込むと、その場の地面に手を置いた。すると、地面が赤熱して、さらにはパチパチと小さな爆発が起こり、ドロドロに溶けてしまう。


 そこにルシアは躊躇すること無く手を突っ込んだ。赤熱した地面は、溶岩や溶鉱炉の中身に近い、物質が超高温化している状態なのである。そこに手を突っ込めば、怪我などでは済まないのは自明。ワルツやテレサなどは慌てたようだが、ルシアの顔に痛みを感じている様子は無い。


 彼女の手は、溶融した地面の中にあっても燃えても溶けてもいなかった。手と溶融した地面との間に、冷たい空気の層を作り出していた上、エンチャントによって、史上最強レベルの耐熱効果が全身に付与されていたので、火傷をする要因がどこにも無かったのだ。


 結果、ルシアは、溶融した地面の中から、赤熱した棒のようなものを引き抜いていく。地面を溶かして作った、即席の剣だ。見た目はレイピア。大きな針、と言っても良いかも知れない。乱暴に扱っても簡単には壊れず、かつ軽い剣を即席で作るとなると、レイピアが丁度良かったらしい。


 ルシアは、出来上がったレイピアをテレサに見せびらかしながらドヤ顔を決めて……。そして、自分が想像する魔法剣を展開し始めた。ちなみに、クラスメイトたちは、ルシアが魔法で剣を作った時点で、"魔法剣"だと思っていたりする。


   キィィィィン……


 ルシアが手にしていた即席レイピアから、異様な音波が生じる。振動しているらしい。その周波数は、可聴域を超えて、超音波の領域に突入した。


 それだけで、レイピアが赤熱する。レイピアが振動を吸収して、熱エネルギーに変換され始めたのだ。しかし、ルシアはそれを氷魔法で強制的に冷却して、赤熱しないよう制御する。


 その状態を維持したまま、ルシアは近くにあった的の前に立つと——、


「私が考える魔法剣、っていうのは——」


——その剣をふりかざすのではなく、的の上にただ置いた。


 それだけで——、


   サクッ……


——的はバターを切るよりも簡単に切れてしまった。超音波カッターと同じ原理だ。非常識なレベルで振動をしているので、レイピアが的に当たっただけで、的を構成する分子が粉々に分解されてしまったらしい。


「——まぁ、こんな感じかなぁ?」


 そう言って後ろを振り向くルシア。そんな彼女の視線の先で、ワルツを含めたクラスメイトたちが皆黙り込んでいた理由は、敢えて言うまでもないことだろう。


全「(参考にならない……)」

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