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14.16-14 研究所14

 その光景を見て、口をポカーンと開けるのは、今度はワルツの方だった。


「は?」


 ワルツは思わず目を疑った。アステリアが何をしているのか、彼女にはまったく理解出来なかったのだ。


「ちょっ……アステリア?!何してるの?!」


「ひっ?!」


 銀色の何かを育てていたアステリアは、ワルツの声に慌てたのか、魔法を止めた。すると、地面からニュルニュルと這い出した銀色の物体の成長もピタリと止まる。高さは大体1mほど。葉は無く、根、あるいは幹のようなものだけが渦を巻くように宙へと突き出ている、といった様子だ。


 魔法を止めたアステリアは、慌ててその物体について説明する。


「こ、これは、そこの地面に種のようなものが埋まっていたので、試しに魔法で成長させてみたものです……。すみません。勝手なことしてしまいました」


 アステリアは申し訳なさそうな様子で事情を説明した。


 そんな彼女には、目の前の物体が植物なのか、自信が無かった。植物操作の魔法が使えることに気付いたのは、つい先日のこと。魔法を使った感覚では、確かに"種"の気配はしたものの、成長した謎の物体は、植物のようには見えなかったからだ。


 ワルツたちから見ても、植物には見えなかったらしい。


「植物……っていうか、バネよね?」

「確かに、バネなのじゃ」

「バネだね……」

「バネって……何ですの?」

「バネ……?あぁ、言われて見れば……」


 と、見た目についての感想を口にするワルツたちだったが、彼女たちを取り巻いていた空気が不意に変わる。ワルツが怪訝そうな表情を浮かべたのだ。


「いやいや、ちょっとまって、アステリア。バネな訳がないのは分かっているんだけど……それ、本当に種を成長させた……植物なの?」


「…………ごめんなさい。私にもよく分からないです……。でも、植物を成長させる魔法を使ったら生えてきたので、多分、植物なんじゃないかと思います……」


「……月に植物があるなんて、本当ならありえないことなんだけど……」


 そんなワルツの言葉通り、月に植物の種子、あるいは植物そのものがあるなど、地球の"月"を基準として考えればありえない事だった。水も空気も無く、またオゾン層も無い環境において、大型の植物が繁栄するなど、生物学に考えると異常事態。アステリアの言葉をその通りに受け止めるのなら、大発見どころの騒ぎではなかった。まさしく、地球外生命体だ。


 しかし、そんなことなどあるのだろうか……。そう考えたワルツは、他の可能性を考える。例えば、惑星アニアから持ち込んだ植物の種子を成長させたものなのではないか。あるいは、植物以外の何かを惑星アニアから持ち込んで、地面に刺したのではないか……。そう考えた方が、ワルツとしてはまだ信じられたようである。


 しかし、ワルツは、その目で植物(?)が成長する瞬間を見ていたのである。ゆえに、現段階において、可能性として最も高いと考えられるものは、アステリアが惑星アニアから新種の植物の種子を持ち込んだ、というものだったが——、


「ちなみに、アステリア?その辺の地面の中に、他に種は埋まってる?」


「えっと……あ、はい。ここにあります」


「成長させてみて?」


「はい」ニュルニュル「こんな感じで良いですか?」


「   」


——アステリアが2本目の植物(?)を成長させた姿を見て、ワルツは言葉を失った。最早白目を剥いていたと言っても良いかも知れない。


 ワルツは認めざるを得なかったのだ。アステリアの使った魔法が、月に自生する植物の種子を育てた、という事実を……。


「……まぁ、地球外生命体との遭遇は今に始まった事じゃないから、そういうものと受け入れるしか無いわね……」


「えっ?」


「ううん。独り言。それにしても、この植物、どんな原理で生命活動をしているのかしらね?光合成をするわけでもなければ、捕食するような仕組みがあるわけでも無さそうだし……。魔力でも吸っているのかしら?」


 と、ボソボソと口にしたところで、ワルツはふと1000年ほど前の時代にタイムトラベルをした際の事を思い出す。


「(そういえば、ルシアが、魔法で月を燃やしたことがあったわね……)」


 もしもその当時、月に何かしらの植物があったのだとすれば、この植物はルシアが放った魔法からエネルギーを吸収して、成長するように進化した植物なのではないか……。


「…………」ちらっ


「うん?」


「……この世界って、ルシアの魔法で成り立っている生態系とかあったりして、なんて思っただけ」


「えっ……」


 困惑する妹に対し、ワルツは詳細を説明すること無く、銀色の植物(?)に近付いた。


 そして彼女は躊躇すること無く、その銀色の植物に手を触れたのである。


魔神「やっぱり、バネね。これ」びよんびよん

機械狐「バネのなる木……ふむ。極めて興味深いのう」

光狐「実ってるわけじゃないし」

夜狐(姉)「はぁ、よかった……信じてもらえました」

臭気魔女「ですから、バネとは?」

学院長「(魔力の与え方を調整すれば、任意の形状に成長させられる……?)」ごくり

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