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14.16-05 研究所5

 ワルツによる説明は、一種の授業と言えた。科目はもちろん天文学。学生たちの年齢を考えるなら、理科と言っても良いかも知れない。なお、言うまでも無いことかも知れないが、この世界においては、未だ存在しない科目である。


「これが太陽、こっちが月で……これが私たちのいる星ね。あぁ、こんなちっちゃな球体だけ見せられても分からないわよね。もっと拡大すると——」


 某検索エンジンが提供する世界地図よろしく、ワルツたちがいる惑星アニアが拡大されていく。遠目から見れば、地球と見間違えてしまうかのような青い星だ。しかし、更に拡大していけば、地球とはまったく異なる大陸と海の形が映し出されていく。惑星から突き出た世界樹なども、細かく表示されていたようだ。


 連続的に拡大されていくホログラムディスプレイ魔法(?)を見ていた生徒たちや、マグネア、ハイスピアなどから質問が飛んでくる事は無い。皆、ポカーンと口を開けたまま、宙に浮かぶ青い球体を見つめていたからだ。言葉を失うほどに興味を惹かれていたのか、呆れていたのか、それとも困惑していたのかは不明だが、皆、同じ表情を浮かべながら、宙を見上げていた。皆に共通して言えることは、その目がキラキラと輝いていたことくらいか。


「この青い球体……っていうか、星が、いま私たちのいる惑星アニアね。で、さらに拡大していくと——」


 ワルツはディスプレイに映っていた惑星アニアを拡大して、2つの大陸だけを表示した。ミッドエデンがある大陸と、ワルツたちが今いる大陸だ。横一線に切り込みの入ったミッドエデン側の大陸は、今、ワルツたちがいる大陸よりも2周りほど小さく、かなり離れた場所にあることが見て取る事が出来た。その間は、ひたすらの海だ。


 2つの大陸を表示したところで、ワルツは一旦——、


「こっちがミッドエデンがある大陸で、こっちがレストフェンがある大陸ね」


——と拡大を止めて説明してから、再び拡大を始める。今度はレストフェン大公国がある側の大陸を拡大していく。


 レストフェン大公国がある大陸は、非常に大きく、南北のアメリカ大陸を合わせたくらいの大きさがあった。形状は大体四角。その内、レストフェン大公国は、東の端の真ん中辺りに位置していた。


 ワルツはレストフェン大公国付近を表示し、公都や学院がある森まで、細かく拡大していく。


「ここが公都で、こっちが学院ね」


 誰もが言葉を失っている中、ワルツは更に地図を拡大した。今度は学院の直上だ。


 学院の周りは広大な森に囲まれている——わけではなかった。学院が森の中にあるのはたしかだが、大きな森の縁の方に、学院が建てられているといった様子だ。


 森はもっと西まで続いており、密林の様相を呈していたようである。南米アマゾンの大森林のようなものだ。その森林がすこしレストフェン大公国側に突き出た場所に、学院は建てられていた。


 ワルツの地図はどんどん学院へと近付いていく。ついには、学院の校舎を空撮したかのような画像まで拡大された。


 "地図"が、未だ正確ではないレストフェン大公国において、ワルツが表示したホログラムの地図は、段違いの精度を誇っていた。学院の敷地ですら、正確に描かれたものは存在せず、実際に空から見たような学院の()()に皆が釘付けになる。


 しかし、そこで終わらないのがワルツクオリティ。今度は真上から表示ではなく、斜めからの表示に変わる。


 その瞬間、学生たちの間で声が上がった。上からの地図だけでなく、横から学院を覗き見られるとは思っていなかったらしい。しかも学院のホログラムはゆっくりと回っていて、その中では、人が歩いている様子までもが見て取れた。


 結果、皆が思う。……まさか、この教室の中も見ることが出来るのだろうか、と。


 そんな学生たちの予想は当たっていたようだ。


「この教室があるのはここね」


 と言って、特別教室だけを拡大するワルツ。

 

 そこに映っていたホログラムは、ワルツが今、目で見ている景色を3D化したものだった。ワルツの授業を受ける学生たちの姿が、リアルタイムで映っていたのだ。


 しかし、原理が理解出来ない学生たちは、ワルツが何かしらの方法で外から覗き込んでいるのではないかと思ったらしく、皆、一斉に外へと目を向けた。ところがそこにあるのは何も無い空間だけ。外の景色とディスプレイを見比べながら、皆、不思議そうに首を傾げていたようだ。


 

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