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14.16-04 研究所4

「ただし、『マグネア殿は例外で』」


 テレサは言霊魔法に一言付け加えた。月面研究所計画を関係者以外に口外しない、と制限すると、新規の参加者に声を掛ける事が出来ないからだ。


 そんなテレサの突然の発言に、生徒のみならず、マグネアやハイスピアの表情にまで、クエスチョンマークが浮かび上がる。テレサが何をしたのか、皆、分からなかったのだ。言霊魔法を受けた者は、その効果が表面化するまで、自分が魔法を受けた事を知覚できないのである。


 対するテレサは、いましがた使ったばかりの言霊魔法を、再び言霊魔法を使うことでもみ消そうかとも考えたようだが、うまい(ことば)が見つからず……。とりあえず問題を棚上げにすることにしたらしい。まだ皆、言霊魔法の存在には気付いていないのだから、一切触れなければバレる可能性は低い、と考えたらしい。突然意味不明な発言をする変人だと思われるかもしれないとも考えていたようだが、そちらについては深く考えないことにしたようだ。


 小さな混乱が教室の中を取り巻くも、それが大きな問題に発展することは無く……。また、ワルツの方も、皆の反応をゆっくりと観察するつもりは無かったのだ——、


「じゃぁ、説明を始めるわね」


——ワルツは徐に立ち上がると、意味ありげに指をパチンと鳴らした。


 その瞬間、ワルツの指先に無数の魔法陣が浮かび上がる。それはすべて、転移魔法陣を応用した転移とは異なる効果を持つ魔法陣。具体的には、光の粒のようなものを浮かび上がらせる魔法陣で、空中で何かがキラキラと光っていた。


 光の粒は、小さな火魔法のようなものだった。空中のごく小さな領域に熱エネルギーを集中させることで、空気をプラズマ化し、発光させたのだ。


 最初は1点の光から始まり、それが魔法陣の増加と共に無数に増えていく。同時に、ワルツの指先に浮かぶ魔法陣の数も幾重にも増えて……。最終的にワルツの指先には、バームクーヘンの原木のような分厚い魔法陣が、幾重にも浮かび上がっていた。


 それによってワルツがしたかったことは何か。その結果が、クラスメイトたちの目の前に浮かび上がる。


「なに……あれ」

「はは……ありえねぇ……」

「空中に絵を描いたのか……?」


 ワルツが作り出したものは空中ディスプレイだった。それも3Dのホログラム。しかもフルカラーだ。ワルツの転移魔法陣は、単に空気をプラズマ化するだけでなく、波長の操作もしていたらしい。特定の光波長以外を取り除くように転移魔法を使えば、本来白色で輝くはずのプラズマがフルカラー化する、というわけである。もはや、人間には不可能な技術(わざ)だ。


 そんな魔導ホログラムディスプレイ(?)を使い、ワルツは昨日マグネアに説明したものと似たような内容のものを表示しつつ、クラスメイトたちに対して説明を始める。


「これが何か分かる人、いる?」


 ディスプレイに表示されたものは、複数のボールのようなものだった。真ん中に眩い光球があって、その周りを小さなボールたちが複数回っているという代物だ。言わずもがな、太陽系の縮小モデルである。まぁ、この世界の太陽を、そのまま"太陽"と表現して良いかは、また別の問題だが。


 そんな太陽系のモデルを前に、生徒たちはポカーンと口を開けたまま固まっていて、ワルツの問いかけが耳に入っていない様子だった。マグネアやハイスピアたちも似たようなものだ。2人とも、まさか教室内でホログラム魔法(?)を見ることになるとは思わなかったのだ。


 ワルツのそのホログラムディスプレイが魔法だとするなら、紛れもない複合魔法となるわけだが、数百人、数千人、あるいは数万人集まって、皆で魔法を使っても実現不可能なトンデモ魔法だと言えた。そんなものが目の前に突然現れたのだ。皆が唖然とするのは当然である。


 唖然としていなかったのは、ワルツのトンデモ行動に慣れ親しんだルシアたちくらいのものだ。


「ふーん。やろうと思えばこんなことが出来るんだ」

「いや、人には無理ではなかろうか?というか、転移魔法だけでこれだけのことを実現してしまうのが、ワルツのすごいところなのじゃ」

「なんか、すごすぎてよく分からないです……。すごいんですか?この魔法……」

「ア、アステリアさん?混乱していなくって?」

『僕にひとこと言っていただければ、ディスプレイの変わりをしましたのに……』


 身内5人は平常運転(?)で、ワルツのディスプレイを見て、それぞれ冷静に(?)感想を口にしていたようである。


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