14.15-17 箍2
「「「 」」」
ウィィィィン……ガションッ!!
「「すんごい!これ!」」
機能までの作業は何だったのか、と疑問に思えるほどの勢いで大木を運び、そして乾燥炉へと運んでいく二足歩行型ロボットを前に、多くの学生たちが言葉を失っていた。ちなみに、閉口していたわけではなく、口は開けっぱなしで、息をすることさえ忘れている様子だ。
教員たちも同じで、学院関係者たちは、校舎の窓から身を乗り出したり、グラウンドの縁までやってきたりして、ロボットが木材を運ぶ姿を眺めていたようである。それほどまでに皆が、ロボットに興味津々だったのだ。
ただ、不思議な事に、その中に学院長の姿は無かった。ワルツたちが何かをやらかせば、必ず文句を口にする彼女は、ワルツたちが何かをしているその瞬間には、いつも姿を見せないのだ。後で学院長室にワルツを呼んだり、何かの機会で偶然顔を合わせたときに文句を言うなど、直ちに呼び出すようなこともしなかった。
「(これだけ大々的に木材を運んでいるのに文句を言いに来ないって、不思議よね……)」
ちょうど、学院長のマグネアに言いたいことがあったワルツとしては、すぐにマグネアが飛んでくるものだと思っていたのだが、やはり今回もやって来なかったので、首を傾げてしまったようである。
「まぁ、いいや」
ワルツは開き直ると、ルシアたちに対して色々と指示を出す。
「ルシア?乾燥炉を増やすから、横穴を大量に作ってもらえるかしら?できれば、いっぺんに3、4本入れられるくらい大きなやつを大量に」
「う、うん……良いの?昨日も増やしたばかりだけど……」
「えぇ。ちょっと自重していられなくなってきたから、さっさと作業を終わらせるわ?テレサも鉄道車両を量産してもらえるかしら?16両編成くらいの長いやつ」
「へ、変形はしなくても良いかの?変形するやつは作るのが大変なのじゃ……」
「変形する奴を作れないわけじゃない、っていうのがすごいわね……。まぁ、普通の車両で良いわ?」
その他、新規でレールを作成したり、切り替え用レールを作成したり、複線化したりと、ワルツは次々に指示を出していく。そもそも転移魔法陣を使えば、レールを作る必要も、輸送する必要も無いのだが、そうしないのは、ワルツの中に残った最後の"自重"がかろうじて機能していたためか。
その間、作業できることが無かったクラスメイトたちの間で、ポテンティアを筆頭に、木材輸送についてのルールが決められていく。複数の車両で木材を運搬するということは、下手をすれば衝突事故や、オーバーランなどの問題を引き起こす可能性があるからだ。一応、授業時間中における鉄道運用時は、フェイルセーフ機能として、ポテンティアの分体たちが信号の変わりをする予定になっていたようだが、将来的には授業時間外にも使用される可能性が高かったために、基本的な運用ルールだけは決めておくことにしたようだ。
『駅に入る手前では、必ず徐行するように』
「ポテくん。徐行って何ですか?」
『具体的な定義は……いえ。とにかくゆっくりと走って、駅に止まっているかも知れない前の車両にぶつからないようにして下さい、ということです』
「あぁ、なるほど」
『あと、左側通行を厳守して下さい。必ず左側を走行すれば、ぶつかる可能性はありませんから。もしも右側を走るようなことになったときは、魔法やトーチを使って、緊急事態である事を周知するようにしてください』
「でも、駅とかはどうするんだ?到着した時と出発するときで、左右が……なんていうか……逆になるよな?」
『ですから駅の前で徐行するのですよ。既に駅に車両が止まっていた場合、切り替えポイントで衝突する可能性があるので、先の車両がいなくなってから、駅に入って欲しいのです』
「「なるほど……」」
と、ポテンティアの説明に相づちを打つミレニアとジャック。ただ、他の者たちはちんぷんかんぷんと言った様子で、しきりに首を傾げていたようである。まぁ、すぐに運用が始まるわけではなく、まだ仮の説明だったので、今のところすぐに理解する必要は無いのだが。
魔法学院……?




