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14.14-48 仕上げ48

 一方、皆が持てる力を出し合って、木材の運搬という難題に立ち向かっている間。テレサは皆とは少し異なる事をしていたようだ。もちろん、暇を持て余してサボっていたわけではない。木材の運搬を効率化させようと奮闘していたのだ。


 そんな彼女の隣には、極端に影の薄いクラスメイトであるフィンもいて、グラウンドの木材の山の前で2人揃って、何やら作業をしてるようだった。2人の様子に、木材を運んでいた薬学科の双子は気付いていたようだが、彼女たちに見えていたのは、影の薄いフィンを除いたテレサだけ。そのためか、双子の姉妹には、テレサが授業をサボっているようにしか見えなかったようである。とはいえ、2人がテレサに話しかけるようなことはしない。サボっているように見えて、何か重要なものを作っている可能性も捨てきれなかったからだ


 実際、その通りだった。テレサもフィンも真剣になって、地面に文字を書いたり、何かを組み立てたりしている、といった様子でだった。モノづくりをする上で万能とも言える"錬金魔法"を使えるフィンに、テレサがアイディアを提供して、モノづくりに励んでいたのである。


 2人は何を作っていたのか……。それは、授業まもなく終わりを迎える時間帯に明らかとなる。


「ふっふっふ……。これなら、最初から最後まで、木を下ろすことなく、運べるのじゃ」

「うん」


 というテレサの言葉とフィンの相づちの通り、彼女たちは木材を運ぶための輸送車両を作っていたのだ。とはいえ、先日、テレサが突貫で作り、現在双子の姉妹たちが乗り回している輸送車両のことではない。テレサとフィンはまったく新しい輸送車両を造り上げたのだ。


 その見た目は、鉄道の車両のようでもあり、地面を走るトラックのようでもあった。というのも、タイヤの他に、鉄道用の車輪も取り付けられていたからだ。


 要するに、テレサの言葉通り、グラウンドにある大木を乾燥炉に入れて、そして乾燥した木材を公都に運ぶまでの工程において、一度グラウンドで木材を積み込んだら、公都で荷物を下ろすまで、一度も木材を下ろさなくても良くなるような輸送車両を造り上げたのだ。テレサたちは、皆が木材の輸送に四苦八苦している様子を見ていたらしく、どうにかしなければならないと考えたらしい。


「妾たちにはこのくらいしか出来る事が無いからのう。他者たちからすれば、サボっておるように見えたかも知れぬが……これさえあれば、他の者たちの作業はずっと簡単になるはずゆえ、大目に見てくれるじゃろう」


 そう言いながら、テレサは運転席に取り付けられていた魔石に魔力を注ぎ込んだ。すると次の瞬間——、


   ブロォォォンッ!!


——と、魔導エンジンに火が入る。相変わらず五月蠅いのは、消音器(マフラー)の製作に手を抜いたせいか。


「うむうむ!エンジンの調子も良いのじゃ!」


「でも五月蠅い……」


「目的を達成するためには目を瞑らねばならぬ時もあるのじゃ。音については、追々、修正していけば良いじゃろう」


「ん」


 助手席(?)に乗り込んだフィンに対し、テレサが複雑そうな表情を浮かべながら、事情を説明していると——、


   カーン、コーン……


——と学院の最上部に取り付けられていた時計台の鐘が鳴る。正午を知らせる鐘だ。要するに、休み時間の始まりである。


 魔導エンジンが奏でる爆音の中でも授業終了の鐘の音は聞こえたのか、テレサは残念そうに魔導エンジンを止めた。


「今日は車両の製作だけで終わってしまったのじゃ。まぁ、放課後辺りに、残りの作業は妾の方でやっておくかのう」


 テレサはふぅと息を吐きながら、肩を竦めた。彼女としては、昼まで、車両の作成に時間を掛けるつもりは無かったのだ。予定では、作成した車両に大木を積み込んで、リフトで"駅"に下ろし、乾燥炉の中に車両ごと入れておく、というのが午前中の目標だったのだが、車両の作成に思いのほか時間が掛かってしまい、目標が達成できなかったらしい。


「手伝う?」


「いや、妾一人で十分なのじゃ。どうせ、ア嬢とか、他の者たちもおるはずじゃから、手伝ってもらってパパッと終わらせておくのじゃ」


「ん」


 フィンの返答は短いが、その副音声が「任せた」と言っていると感じ取ったテレサは、放課後に残った作業を終わらせることを心に決めたのであった。


  ◇


 そして放課後。


 自体は予想外の展開を見せることになる。


「んなっ?!」


 テレサとフィンが協力して製作した新型輸送車両が、忽然と姿を消していたのである。


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