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6中-03 雨の町並み-前編3

ユキの一人称を修正したのじゃ

ブゥン・・・


「はい、到着しました」


プロティー・ビクセンの中央広場からほど近い場所にあった最寄りの転移魔法陣を使って、デフテリー・ビクセンへとやってきた一行。

このような転移魔法陣が王城を除けば町の中に6箇所ほどあるらしい。


「こっちは夜なのね(なんか、ミッドエデンの地下大工房みたい)」


転移した後に見えてきた街の光景を見て、呟くワルツ。


「朝と夕方頃はどちらの町も太陽が出ていますが、基本的には昼夜が反転していますから」


そう言いながら、再び傘を広げるユキ。


「しかも、迷宮の中なのに雨なのね・・・」


そう言いながら、ワルツは見た目ほど高くないはずの空に浮かんでいた雨雲に対して視線を向けた。

昼夜は異なるようだが、どうやら天候は両方の街で同じらしい。


「はい。天候に関しては、プロティーもデフテリーもリンクするように作られてますから。(デフテリー)で晴だったのに、(プロティー)に出たら雨だった、なんてことになったら嫌ではないですか?」


「・・・そうね・・・」


と肯定しながらも、ユキからの問いかけに、ワルツは少々困っていた。

そもそも、雨具が必要ない彼女にとっては、雨でも晴れでも実はあまり関係無かったのである。


(雨に濡れるって、どんな気分なのかしら・・・)


今は周りに仲間たちがいることもあって、重力制御の『傘』を作っているが、それを無効化してしまえば、特に対応しないかぎり、雨はワルツのホログラムの身体をすり抜けて落ちていくことだろう。

逆に言えば、意識することで雨に当たることもできるのだが、服や肌に染み込むというわけではないので、普通の人にとっての『濡れる』とは意味が異なるのである。

まぁ、15年間生きた間(?)、雨を見ていつも同じことを考えていたので、わざわざそれを口にするようなことはなかったが。


「では、早速、街の中を案内させていただきますね。早くしないと、街の人達がみんな眠りについてしまうので」


「なんか、年がら年中、みんなが時差ボケしてそうな街ね・・・」


「え?」


「いえ、何でもないわ」


例え転移魔法を使ったとしても、短時間の内に惑星の裏側まで行くような移動手段は未だこの世界には無いので、時差ボケについて説明しても分かってもえないと思ったワルツは、説明を省略することにした。


「それで、最初はどこから案内してくれるのかしら?」


誤魔化すようにして、ユキに話の先を促すと、


「そうですね・・・」


中央広場へと視線を向けた彼女は、口に手を当てて少し考えてから言った。


「街の作り自体は、プロティーと全く同じなので、道などについての説明はいらないかと思います。流石に、建っている店などは異なりますが、政府機関系の施設や教会などは全く同じと考えていただいて構いません。なので、この街で()オススメ(火関連)のお店などを中心に紹介して回りたいと思います」


そう言いながら、嬉しそうに広場へと足を進めるユキ。

彼女の言葉通り、メインストリートから見える第3王城の手前には、カタリナ家・・・もとい、プロティー・ビクセンにあった巨大な教会と同じデザインの建物が(そび)え立っていた。


(あの教会は・・・表の教会の分家ってことになるのかしらね?)


なお、この世界の教会の司祭が世襲制かどうかは不明である・・・。




・・・1時間程街の中を練り歩いた後、


「・・・ぐすっ・・・」


ユキの瞳からは大粒の涙が溢れていた・・・。


「そんな気にしてないから、気を落とさなくてもいいわよ・・・」

「うん、歩くのには慣れてるから気にしないで?」

「私も失念していました」

「こういった街は初めてです・・・」


そんなユキに、各々に声を掛ける一同。

一体、何が起ったのかというと・・・


「まぁ、表の世界では昼時なんだし、この世界では真夜中でもおかしくは無いわよね・・・」


つまり、ユキが予想していた時刻よりも少々遅すぎたのか、店が軒並み閉店していたのである。

どうやら、イブの見送りに、思ったよりも時間がかかってしまっていたらしい。

あと、この時間で開店しているとすれば、酒場くらいものだが・・・熱い物が好きなユキであっても、流石に男ばかりでむさ苦しい場所には近寄りたくないようである。


「折角、サラマンダーのお爺さんが経営する喫茶店とか、目の前で豪快に調理してくれるステーキハウスとか、燃えるカクテルを扱ってるバー・・・あ、こっちは今でもやってますね」


「いや、ちょっと待ってユキ!まだ表は昼間だからね?今から飲酒とか、流石に拙い・・・っていうか、未成年がいるからそういうところはちょっと・・・」


と、(現代世界基準で)仲間たちのことを思うワルツ。

なお、実は自分が下戸であることは、彼女だけの秘密である。


「そうですよね・・・」


(燃える)お酒が飲めないことに心底残念そうな表情を浮かべる250歳過ぎのレディー(ユキ)だったが、思い通りに案内ができていないことから、このままでは面目丸つぶれだ、と思ったのか、直ぐに立ち直って次なる目的地を考え始める。


「次に行くとすれば・・・やはり昼食になると思うんですけど・・・」


だが、眠ってしまったデフテリー・ビクセンと、被災したがために軒並み店が閉店状態になっていたプロティー・ビクセンの一体どこに行けばまともな食事にありつけるのか・・・ユキ自身にも分からない様子であった。


その他で確実に昼食が取れる場所といえば・・・


「・・・あとは王城?」


ということになるだろうか。

・・・しかし、


「いえ・・・ちょっとそれは難しいかと・・・」


ワルツの提案に否定的なユキ。

どうやら、不用意に魔王城に行って妹達に見つかると捕まってしまうらしい。


「んー・・・困りましたね・・・」


そんな本格的に昼食について悩み始めたユキと共にワルツ達も一緒に悩んでみたが、そもそもこの街に土地勘がないルシアとシルビアはもちろんのこと、元ビクセン市民であるユリアにもいい案は思いつかなかったようである。


そんな時、再びワルツが口を開く。


「そういえば、ここにある城って第3って言ってたわよね?じゃぁ第2がある場所に店って無いの?」


「第2王城がある場所は、プロティーからの避難者を受け入れるための空間なので、店らしい店は・・・あ」


そう言ってから固まるユキ。

そして、何かいい案を思いついたのか、嬉しそうな表情を浮かべてから言った。


「そういえば、プロティー・ビクセンの第5王城がある空間に、政府職員向けのいい店があったのを思い出しました」


「・・・ねぇ、ユキ・・・ビクセンには全部で何個、お城があるの?」


「え?8つですよ?プロティーとデフテリーにそれぞれ4つ。合計8つですね」


『・・・』


そんなユキの発言に、言葉を失う仲間たち。

どうやらユリアも、全ての城に行ったことはないらしい。


「なんでそんなに(はこもの)ばかり建てたのよ・・・」


「いえいえ、ボクの代では1つしか建ててないですよ?前皇たちが歴代で1つずつ建ててきたものですから。ちりも積もれば・・・というやつです」


(いや・・・普通、王城って何代にも渡って使い回すものでしょ・・・。まぁ、迷宮の中に場所があるから出来ることなのかもしれないけど・・・)


・・・と思いつつも、改造するために(ほとん)ど建て直したに近いミッドエデンの王城のことを思い出さなくもないワルツ。


「では早速、案内しますね。ゆっくり行って閉店されても困りますし」


「いや、私たちが行くから閉店するってわけじゃあるまいし、ゆっくり行っても大丈夫だと思うけど・・・」


「いえ。慢心が今回のような自体を招いたのです!ここは思い立ったが吉日ではないかと」


そしてユキは胸の前で、ギュッ、と握りこぶしを作るのであった。


というわけで。

こうしてワルツ達は、今度こそ汚名をそそがんと決意を固めたユキを先頭に、第5王城のある迷宮(プロティー・ビクセン)へと足を進めたのである・・・。

修正作業と並行して書くというのは、やはり大変なのじゃ・・・。



さてと。

そろそろ話を進めようかのう。

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