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14.13-04 大森林4

機械狐「ア嬢の所だけは嫌なのじゃ……ア嬢の所だけは嫌なのじゃ……ア嬢の所だけは——」


光狐「……面と向かって言われると傷つくんだけど?」

 マグネアが伝えた処遇。それは——、


「……というわけで、申し訳ないのだけれど、今日から3日間、皆さんには木々の伐採を手伝って貰う事になりました!」


——特別教室の()()を巻き込んで、学院周りの木々の伐採をおこなうというものだった。マグネアが帰ってクラスメイトたちとハイスピアが教室にやってきた後、ワルツが説明する。


 伐採した木々は、一旦、グラウンドに集められた後、各地の町に売られることになった。木材は、家などの材料にも燃料にもなるので需要が高く、また曲がりの無い真っ直ぐな木材となると伐採できる地域はレストフェン大公国内には無く、輸入に頼らざるを得なかったので、高く売れるのは間違いなかったからだ。なお、売却金は5割がワルツたちの所に入り、もう5割が学院やクラスメイトたちに分配されることになっていたりする。


 目的はそれだけではない。特別教室の生徒たちに、ルシアが使うような魔法を教える事も目的の一つだ。少なくとも学院には、ルシアほど、大出力で高度な魔法を使える人物はいないので、可能なら伐採に必要な魔法をルシアから皆に教えるようにと、マグネアから指示を受けたのだ。


「じゃぁ、講師の先生を紹介します。ルシア先生です!」


「えっ?あっ!ルシアです!えっと……学院長先生からは、遠慮無く皆に魔法を教えて欲しいって言われてるから、みんな、頑張ってね!」


 ルシアのその言葉に、クラスメイトたちの大半は顔を青ざめさせた。この数日でルシアたちの異常性(?)を痛いほど理解していた彼らは考えてしまったのだ。……ルシアが遠慮せずに授業を行えば、きっとトンデモないことに——いや死人が出るに違いない、と。


 しかし、学院長からの指示というので拒否はできず、またハイスピアが引率に付くはずなので、皆、渋々、ルシアの授業を受けることにしたようだ。なお——、


「ちなみに今回、私は、生徒としてルシアさんの授業を受ける予定です。皆さん、同じ生徒として、よろしくお願いしますね?」


——ハイスピアは学生側の席に座っていて、引率する気は毛頭なかったりする。


  ◇


 というわけで、特別教室の一行は、グラウンドまでやってきた。まずは、グラウンド近くの大木から伐採することにしたのである。


 その際、グループ分けと役割分担が行われることになった。こういったシチュエーションにおいては、いつも大体約一名が何故か余ってしまうという謎の状況に陥りやすいのだが、今回は彼女にも大きな役割があったので、一人だけ余ってしまうようなことは無かった。


 というのも、大木の伐採とは、大きな危険が伴うものなので、グループに1人は木が倒れる方向を制御できる人物が必要だったからだ。それが出来る人物は、ワルツ、ルシア、それにポテンティアの3人だけ。ゆえに、グループ分けはその3人を中心に分けられることになったのである。7人、8人、8人のグループ分けだ。


 グループ分けの方法は単純で、皆、希望する人物のところに別れる、という形になった。具体的には、ミレニアとジャック、それにマリアンヌはポテンティアの所に。ハイスピアとアステリアはワルツの所に。そして——、


「では、妾もワルツの所——」


   ガシッ


「テレサちゃん?どこに行こうとしてるのかなぁ?」ゴゴゴゴゴ


「……もうダメかも知れぬ」げっそり


——テレサはルシアの所に別れることになった。


 その他の学生は、ハイスピアがいるワルツの所か、ミレニアがいるポテンティアの所に別れようとした。皆、ルシアたちの所には行きたくなかったらしい。


 結果、1グループ最大8人だというのに、10人を大きく超えた人数が2つのグループの所に集まってしまい……。自由に別れるというグループ分けは、早速破綻してしまうかのように思われた。


 が、ワルツたちの所に付こうとしていた2名の学生たちが考えを変えてから、クラス全体の流れが大きく変わる。


「じゃぁ、私たちは、ルシアさんたちのところに行くわ?」

「話を聞く限り、どのグループに分かれても同じみたいだもの」


 薬学科に所属する双子の姉妹たちだ。


 そんな2人の姿を見て、今度はミレニアとジャックが行動に出る。


「ここで争っていても仕方無いものね。私たちもルシアさんのところに付こうと思うわ?昨日の……魔法の練習の続きもしたいしね」

「俺もまだ中途半端だからな。ルシアちゃん。よろしくな!」


 そんなクラスメイトたちの流れに合わせるかのように、他のクラスメイトたちもルシアたちのところへと並んだ。迷宮探索の際に、一緒にグループになった者たちだ。そんな彼らの目が死んでいるように見えたのは、おそらく鬱蒼と生い茂った森の影が顔に掛かっていたためだろう。


 こうして、特別教室のメンバーは、無事に3グループへと分かれることになった。とはいえ、いきなり伐採するようなことはしない。


「じゃぁ、最初にデモンストレーションをするから、こんな感じでやる、って覚えてね?」


 危険が伴う作業だったので、まずはワルツたちがお手本を見せることにしていたのである。


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― 新着の感想 ―
[良い点] 2915/2915 ・あらー。なんかもう色々といつもどおりに酷いですね [気になる点] なぜか余る現象。2で割ったあまりは1と0の2通りですからね。けっこう確率高い [一言] 伐採リアル…
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