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14.12-32 無力?32

「どうすればあんなに強くなれるのかしら?」


 無事教室に辿り着き、皆で弁当を平らげた後、ミレニアは徐に、ポテンティアへと問いかけた。ワルツたちの事を側で、彼女たちの事を観察すれば観察するほど、自分たちとワルツたちとの間には、隔絶した何かがあるような気がする……。この時のミレニアは、そんな感覚を覚えていたのだ。


 それはジャックも同じだった。


「なんていうか、頑張っても、ポテたちみたいな強さにはなれない気がするんだよな……。根本的に何かが違うというか……」


 対するポテンティアは、苦笑しながら返答する。


『頑張ることで力が付くのは、間違いありませんよ?ただ、具体的にどう頑張れば力が付くのかは、お答えはできませんが……』


「そこが知りたいところなのよ……。ねぇ、ポテくん!強くなるコツって何?」

「俺にも教えてくれ!ポテ!」


『いやはや……困りましたね……』


 ポテンティア自身はマイクロマシンの集合体であり、元から大きな力を持っていた。それゆえに、ミレニアとジャックからの問いかけに明確な返事をすることができず……。ポテンティアはしどろもどろになってしまう。


 そんなポテンティアたちとは別に、似たような話題で盛り上がっている一角があった。


「マリアンヌさんって、すごい腕力だよね。剣を放り投げてどこかに飛ばしてたけど、あれ、どうやってやったの?」

「それ、私も気になります!」


 ルシアとアステリア、そしてマリアンヌの一団である。さきほどの剣術の授業で、マリアンヌが魔法を使わずに木剣を放り投げていた姿(?)を思い出して、ルシアとアステリアが事情を問いかけていたのだ。


「えっ……気になりますの?」


「そりゃ気になるよ。だって私、基本的には非力だし」


「「えっ」」


「……二人が何を考えているのかは何となく分かるけど、魔法を使わなかったら、私、非力だからね?ホントだよ?」


 ルシアに対して真ん丸な目を向けるアステリアとマリアンヌの表情は、まったく同じ副音声を語っていたようだ。即ち、そんなわけがあるか、という副音声を……。なお、実際、ルシアは、魔法を使わない場合、どうしようもなく非力である。


 しかし、アステリアとマリアンヌの表情を見る限り、反論しても信じてもらえそうになかったので、ルシアは話を切り上げて、元の話題に戻すことにしたようだ。


「わ、私の事はとりあえず置いておいて……マリアンヌさんの力って、魔法を使ってるわけじゃないよね?魔力は感じられなかったし……」


「私の力は……その……私の正体に起因するものですわ?でも、恐らくは筋力ではなくって、魔法だと思いますわよ?鍛えていませんし、殿方みたいにムキムキでもないですもの。多分ですけれど、種族……というか血筋に、自動的に働く魔法みたいなものが仕掛けられているのだと思いますわ?」


「なるほど……」


 ルシアは、マリアンヌの説明を聞いて納得しているようだった。ルシアが使うオートスペルを応用して、身体強化の魔法を必要なときに自動的に発動するようにしておけば、似たような事が出来るからだ。


 それと同時に、ルシアはあることを思い出す。


「……あ、そうだ。アステリアちゃん。前に、強くなりたいって言ってたよね?」


「えっ?は、はい!強くなりたいです!」


「じゃぁさ、オートスペル覚える?」


「オートスペル……?」


「自動魔法とも言うんだけど、普通、魔法って、使う時に呪文を唱えたり魔力を練ったりするものじゃん?そうじゃなくて、事前に準備しておくことで、使いたいときに勝手に発動するようにするための方法。それがオートスペルだよ?」


「えっと……"おーとすぺる"を使うとどんな事が出来るのですか?」


 どうやらアステリアは、オートスペルがどんなものなのか、想像は出来ていても、どう活用すれば良いのか分からなかったようである。それはマリアンヌや、少し離れた場所にいたミレニアたちも同じだったらしく、皆、ルシアの説明に耳を傾けているようだった。


 そんな中で、ルシアは言った。


「規模にもよるけど、上級魔法が、ものすごく簡単にできるかなぁ?」


 その瞬間、転移魔法のごとく、ミレニアとジャックがルシアの所に駆けつけてきたのは言うまでもないことだろう。



先生「あはははは〜♪」


魔神「先生、いい加減元に戻って下さい。……はぁ、ダメね。重傷だわ」


機械狐「仕方ない……記憶を消すかの」


先生「?!」びくぅ

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