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14.12-12 無力?12

 数分だけ時間は遡り……。食事を食べて、出発の準備を済ませたワルツたち一行が、学院に向かって歩いて行く。経路はいつも通り、村と学院とを真っ直ぐに繋ぐ陸橋を通って。


 陸橋から見える景色が良いという点も、いつもの通り。空には殆ど雲は無く、今日も一日、天気は良さそうだった。


 普段と違うのは、今日の授業くらいだろうか……。そんな事を考えながら、ワルツたちは陸橋の上を普段と変わらない様子で雑談をしながら歩いていたわけだが、学院に辿り着く直前、彼女たちは、普段とは異なる展開に遭遇することになった。


 学院の門の前に、上級生と思しき者たちがずらりと20人ほど並んでいたのだ。そんな彼らの視線は真っ直ぐにワルツたちの方を向いていて、何やら不穏そうな雰囲気を放っていたようである。


 そんな学生たちの姿に最初に気付いたのはアステリアだった。彼女は、上級生たちの姿に気付いた途端、ポツリと呟いた。


「あれ、何でしょう?」


『「「「「「あれ?」」」」」』


 アステリアの視線の先に向かって、ワルツたちの視線が向けられる。それに呼応するように、上級生たちも、ワルツたちの方へと近付いてくる。


「あれって……たしか、昨日の夜に学院に到着した馬車に乗ってた人たちじゃないかしら?ほら、BBQをしてたときに、何台か馬車が来てたでしょ?あれに乗ってた人たち。まぁ、顔までは一々覚えていないけど」


 ワルツがそう話すと、ルシアが「どこからの馬車かなぁ?」と首を傾げた。それに対してアステリアが返答する。


「あの乗り合い馬車は、公都からの馬車です」


「「公都?」」


「暗くてよく見えなかったかも知れませんが、馬車の横の札に書かれていましたよ?」


「公都ねぇ……」

「公都かぁ……」


 ワルツとルシアの声が重なる。2人とも何か思うことがある、といった様子だ。


 その際、もう1人、頭を抱えている者がいたようだ。テレサだ。


「……つまり、あの者たちはもしかすると……いや、もしかしなくとも、公都での妾たちの行動を見ておったということかの……」


 そんなテレサの言葉を裏付けるように、ポテンティアがこう言った。


『そういえば、一部の上級生たちが、国軍の入隊体験をするために、公都に行っているという話を聞いた事があります。もしかしたら、その方々なのかも知れません』


「つまり……」


『皆さん、ご立腹、というわけです』


 心配そうに問いかけるアステリアに対し、ポテンティアは淡々と推測を口にした。


 実際、上級生たちは、公都で国軍の入隊体験をしていた者たちで、諸事情により今まで学院に帰ることが出来ず、昨日になってようやく帰校したばかりだった。昨日の時点では、もうヘトヘトな状態で疲れ切っており、BBQをするワルツたちに関わる元気すらなかったようである。


 それが今日になって、英気を養い、下級生たちに色々と話を聞いてみたところ、公都で起こった災害とも言うべき事柄が、数名の下級生たちによって引き起こされた出来事かもしれないと知り……。どういうことなのか、と問い詰めるために、話題に上がった問題児たちを待っていたのである。


 しかも、その問題児というのが、学院の外でバーベキューをしていた者たちだというのだ。自分たちはヘトヘトになっているというのに、その原因となった下級生は、野営の()()()()をしているなど、到底許せる事ではなく……。彼らは怒りに満ちあふれていた、というわけだ。


 ワルツも、上級生たちがどういう境遇にあったのか、詳しく説明を聞かずとも想像が出来ていたようである。彼女たちは公都までジョセフィーヌを送り届けた時点で、不特定多数の公都民たちに顔を見られていたので、その中に学生、あるいは学生の関係者がいれば、いつかは今回のように絡まれることがあるのではないか……。そんなネガティブな思考を頭のどこかで描いていたのだ。


 ゆえに、ワルツの眉間に皺が寄る。どう対応したものか……。ワルツは考え込んだ。


 結果、重力制御システム辺りを使って適当に遇い、さっさと登校しよう——そんな考えに至るのだが、その直前。


   ズドォォォォン!!


 晴天の空を強大な雷魔法が走り、ワルツたちと上級生たちとの間のちょうど中間地点にある陸橋の地面にクレーターを穿ったのである。言わずもがな、ルシアの雷魔法だ。


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[良い点] かみなり [気になる点] ううう。なんか面倒くさいのはいつもの
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