表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2841/3387

14.11-24 登校24

   ドゴゴゴゴゴッ!!


 地響きと共に、迷宮の入り口が隆起して、地面が割れる。それも大規模に。何かが地面を押し上げて、表に出てこようとしていたのだ。もしもラニアの町を転移させていなかったなら、今頃大惨事に発展していたに違いない。


「お姉ちゃん。あれ、どうする?本当に危険そうなら、お月様か太陽辺りに転移させちゃうけど……」


「ルシアってホント半端ないわね……。まぁでも、今はまだ転移させなくて良いわ?ちょっと考えていることがあるのよ」


「「「『考えていること?』」」」


 ワルツの発言に、ルシアたちは一斉に訝しげな表情を浮かべた。ワルツが何かを考えていると発言するときは、それなりの確率で碌な事を考えていないからだ。


 実際、ワルツは、こんなことを言い出した。


「ポテンティア。貴()があれの相手をしなさい」


『はい?僕が、ですか?何故です?』


「考えたんだけど、魔石って、お金になるわけじゃない?で、私たち、そんなにお金を持っているわけじゃないじゃない?じゃぁ、せっかくだし、魔石を回収して売ったら良いんじゃないかな、って思って」


『あぁ、なるほど』


 そうは言いつつも、ポテンティアは内心、ワルツの言葉に否定的だった。というのも、ポテンティアはワルツのように一文無しというわけではなく、むしろ、国家予算クラスの資金を持っていたからである。先日、エムリンザ帝国に報復攻撃を加えた際、国の貨幣という貨幣を、自身のマイクロマシンを使ってすべて回収した結果だ。


『(まぁ、かの国の資金を手元に回収したというだけで僕自身が使うわけではないので、自由に使えるお金が多くないというのは確かなのですからね……)』


 ポテンティアは、エムリンザ帝国から資金を奪ったものの、いつか返そうと思っていたのか、資金に手を付けるつもりはなかったようである。


 故に、彼女(?)は、ワルツからの指示に従うことにしたようだ。


『わかりました。僕が相手をしましょう』


 と、ポテンティアが口にすると、ワルツがこんなことを言い出した。


「助かるわ?あと、もう1つだけ注文を追加しても良いかしら?」


『はい?どんな注文でしょうか?』


「大した事じゃないんだけど——」


 ワルツがそう口にした瞬間——、


   ズドォォォォン!!


——と迷宮の入り口にあった岩や土が、空に向かって吹き上がる。さながら噴火のようだが、そういうわけではない。


 地面から出てきたものは、白くて丸い球状の物体。直径は10m程だろうか。


 球体の半分ほど頭(?)を覗かせた謎の球体に視線を向けながら、ワルツはまったく怯むことなく、ポテンティアに対してこう言った。


「あれを人の姿で倒してほしいのよ。できれば、ラニアの町の人たちに見せつけるようにして、ね。多分、彼ら、今頃立ち直って、町からこっちを観察しているはずだから」


『……なるほど。つまり、ワルツ様は、先ほど大きな魔石を回収したために、皆さんの注目を浴びているから、僕を目立たせることで有耶無耶にしてしまいたい、と言うわけですね?』


「そ、そ、そういうわけでは……なくないかも知れないんだからね?」そわそわ


「「「『…………』」」」


 ポテンティアの問いかけに対し、妙な言い回しの肯定を返すワルツを前に、皆が微妙そうな表情を見せた。思った通りだった、と言わんばかりの表情だ。


 その間も——、


   メキメキメキ!


——迷宮の入り口からは、白い何かが出てこようとしていたようである。どうやら、地面から見えていたものは単なる球体ではなく、()()()に当たる部分だったらしい。


 そして更に見えてきたのは——、


「なるほど。巨大なスケルトンだったわけね……っていうか、むしろ、がしゃどくろ?」


——頭幅10m、推定身長200m近い、巨大なスケルトンの姿だった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ