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14.11-22 登校22

最後の文で、同じ単語が連続しておったゆえ、修正したのじゃ。

 迷宮から出てきた少女——もといワルツから差し出された巨大な魔石を受け取ったハイスピアは——、


「え、えへへへ……って、んにゃっ?!」ドンッ


——魔石を持ち上げられず、素っ頓狂な声を上げながらその場に魔石を落としてしまう。魔石の大きさは直径40cmほど。密度がその辺の岩と同じくらいだとすれば、重さはおよそ500kg。到底、人間が持てるような重さではなかったのだ。


「なにこの重さ?!ん゛ーっ!ぐぬぬぬっ!!んごごごごっ!!はぁはぁ……む、無理。腰が死ぬ……」


 ハイスピアは魔石を落としてしまった事に申し訳なく思いながらも、持ち上げられないほど重い魔石を前に、驚きが隠せなかった。ワルツがここまで軽々と魔石を運んできたことが、ハイスピアには信じられなかったのだ。


 そんな2人のやり取りを見ていた冒険者たちも、口を開けたまま固まっていたようである。彼らは当初、ワルツが手にした魔石を見て、どうせ中身がスカスカの軽い魔石なのだろう、などと考えていたようだ。


 だが、ハイスピアが手にした魔石を落としてしまい、その上、淑女が口にしてはならない類いのうなり声を上げながら魔石を持ち上げようとしている光景を見ている内に、考えを改め始めたようである。……もしやあの魔石は中まで詰まっている魔石で——、


「まさか、あの娘が魔物を倒したのか……?」

「馬鹿な……」

「ははは……いや、あり得ないって」


——少女(ワルツ)がたった一人で、強大な魔物を倒してしまったのではないのか、と。


 そんな中、一部の冒険者たちが、ワルツたちに直接事情を問いかけようとして、彼女たちに近付こうとする。遠巻きにやり取りを観察するよりも、直接聞いてみれば良いと考えたらしい。


「おい、ちょっといいk——」


 と、強面の冒険者(?)がワルツたちに話しかけようとした、その瞬間だ。


   ゴゴゴゴゴ……


 町を異様な気配が包み込む。魔力の気配だ。常人には、息をするのも難しいほどの魔力が、町を包み込んだのだ。


 その気配に、強面の冒険者(?)や、町の者たちは、例外なく皆が崩れ落ちてしまう。ハイスピアたちも例外ではない。


「ぐおっ?!」

「な、なに……これ……」

「くっ……!」

「何だ……この気配……っ!」

「こ、これは……魔力……」


「……は?」


 唯一、魔力に気付いていない者は、ワルツだけだった。彼女は地面に膝をつく人々を前に、ぽかーんと口を開けた後、眉を顰める。


「どうしたのよ。皆……」


 しかし、返答はない。皆、意識を保つのでギリギリだったらしい。


 そんな中、町の入り口の方から4人組の少女たちが現れる。ルシア、テレサ、ポテンティア、それにアステリアの4人だ。


 彼女たちは、魔力に包まれた町の中でも平気な様子でワルツの所までやってくると、周囲の者たちが崩れ落ちている惨状(?)について、ワルツへと問いかける、


「お姉ちゃん……これ、どういう状況?」


「さぁ?よく分からないわ?少し前に、皆、急に、こんな感じになっちゃったのよ」


「もしや……ア嬢の魔力を調整し切れておらぬのか……?」


「ちょっとなにそれ。まるで私が悪いみたいに言わないでよね?っていうか、アステリアちゃんは平気な顔をしてるじゃん!」


「あははは……」


『まぁまぁ、お二人とも。喧嘩しないでください。ところでワルツ様』


 ポテンティアがワルツに向かって問いかける。


「うん?」


『町の中では何が起こっていたのですか?先ほど町の中から煙が上がっていたことと、今の状況とは、直接関係が無いように感じられるのですが……』


「中々鋭いじゃない。実はね——」


 ワルツは、足下に落ちていた魔石に視線を落としながら、ポテンティアたちに事情を説明する。


「なんか、迷宮の中から強い魔物が出てきそうになっていたらしくてさ?町の人たち全員で、魔物を抑え込もうとしていたのよ。だけど、埒が開かなそうだったから切り込んで、魔物を真っ二つに斬って……で、魔石だけ回収してきたら、こんな状況になった、ってわけ」


『……つまり、ワルツ様にも訳が分からない、と?』


「うん、そういうこと」


 と、珍しくワルツが、事情を説明した直後の事だ。


   ヲ゛ォォォォォンッ!!


 咆哮とも地響きとも言えない大きな音が、町全体を包み込んだのである。


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